みかん小説
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"一つの証拠が暴いた8年間の嘘" 第3話

やがて社用は、ガラス張りの威容を誇る超層ビル――富士ホールディングス本社へと到着したのだった。

受付を済ませ、案内された最くの応接で待つこと数分。 製の扉が静かにき、すらりとしたの女性が部へとを踏み入れてきた。 彼女が現れた瞬、部の空気が変し、張り詰めた緊張が満ちた。

その女性こそが、瀬美咲さんだった。 富士ホールディングス営業部の管理担当者であり、社令嬢にして、社内から「契約の鬼」と恐れられる物。

だが、その容姿は、周囲から囁かれる威圧つ名とは真逆の印象を与えていた。 絹のように滑らかで艶やかな黒髪が肩へと優美に流れ落ち、仕ての良い品なグレーのパンツスーツは、無駄のない引き締まった体のラインを際たせつつ、で洗練された気品を漂わせている。その佇まいは、息を呑むほどに美しかった。

「本はご忙の、貴なおをいただきありがとうございます。営業部主任の財と申します。名刺をどうぞ」

は普段の軽な声をく落とし、響きのあるトーンを作って挨拶した。 スーツの襟元を片で軽くえ、まるで自分が主役を務める台の央にでもっているかのような、ゆったりとした優雅な所作を演じてみせる。

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に持った名刺を差し作にも、わずかなタメを入れて「流のビジネスマン」を演しようとしていた。その瞳の奥には、相の反応を値踏みし、計算く見定めるがギラギラと滅していた。

しかし、美咲さんは差しされた名刺に線を落とすことすらなく、ややかな瞳で財を見据えた。

「申し訳ありません。ご提案の契約については事にお断りさせていただいておりますので、名刺の受け取りはご慮させていただきます」

氷のような言が内に響いた。 俺は隣で、財の顔筋がピキリと引き攣るのを肌でじた。 彼が得としていた「自信に満ちた男の演」は、相に受け入れられなかった瞬、脆くも音をてて崩れっていた。

「な、瀬様……回までの弊社の説では、があったかと判断いたしまして、改めて私の方から詳細なプレゼンを――」

「アポイント自体はお受けしておりますので、とりあえずお座りください。お話だけは伺いますので」

美咲さんの言葉遣いは極めて丁寧だったが、その声の芯には鋼のようなさと揺るぎない拒絶が宿っていた。 俺たちは静かにげ、革張りのソファへと席についた。

着席するなり、美咲さんの涼しげな瞳が、財の隣に座る俺へと向けられた。

「そちらの方は?」

の問いが投げかけられたのは、この瞬だった。

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は先ほど恥をかかされた鬱憤をらすかのように、俺を「卒で無能な運転」として紹介し、嘲笑いながら俺の肩を叩いたのだ。

しかし、美咲さんは財の卑屈な嘲笑に眉ひとつかさず、静かに俺を見つめて言った。

「社内の方であれば、名刺をいただけますか?」

の嘲笑を背に浴びながら、俺はスーツの内ポケットから名刺入れを取りし、枚の名刺を両で差しした。

「あ……はい。発部の、朝倉と申します」

名刺を受け取った美咲さんは、そのさな片に印刷された文字に、じっと目を落とした。 その瞬内の空気がふっと揺らいだ。 美咲さんの呼吸のが、確かに変わった。 まるで、に凍りついていたが、音をてて過へと巻き戻っていくかのような――そんな錯覚を覚えるほどの静寂が流れた。

美咲さんは名刺を両切そうに握りしめたまま、ゆっくりと顔をげた。その瞳は微かに潤んでいた。

「……朝倉さん。しだけ、きりでお話しできますか?」

「え?」

その言葉に、最も激しく反応したのは財だった。彼は目を丸く見き、引き攣った元から声をずらせた。

「ど、どういうことですか!? こいつはただの発部の平社員ですよ!? こいつとで話すことなんて、何かありますか!?」

美咲さんは財の方を切見ることなく、静かに、しかし無を言わせぬ調で告げた。

「すぐに済みます。

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