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"閉ざされた玄関の暗証番号" 第3話

「悪いとは言ってないわよ。でもね、最の私はまるで、このであなたの顔を伺いながら暮らしているような気分なの」

桜は階段をゆっくりとり、リビングの入りち止まって澄子を見つめた。

「お義母さんが……どうして私の顔を伺う必があるのですか?」

澄子は呆れたようにため息をつき、布巾を絞りながら答えた。

「私のでね、私がお客さんを呼ぶのにも、あなたの表を伺わなきゃいけないからよ」

桜の呼吸が瞬止まった。

「……私の、ですか?」

澄子はあまりにも当然といった様子でそうにした。桜はすぐにそのを問い詰めることはしなかった。今の目は、誰がこのの主であるかを黒つけることではない。ただ、病気の体で病院にき、体を休めたいだけだった。

「私、お義母さんのお友達がいらっしゃるのを嫌だと言ったことは度もありません」

さなきゃ分からないものよ」

澄子はく吐き捨てるように言った。桜はこれ以、同じ押し問答を繰り返す気力を失っていた。病院へくため、玄関のシューズボックスのに置いてあったハンドバッグをに取った。その背に向けて、澄子のややかな声が容赦なく浴びせられた。

「そんなに私と暮らすのが嫌なら、数にでも帰って休んできなさい」

桜のが完全に止まった。

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ゆっくりと踵を返し、義母を見据えた。

「……何とおっしゃいましたか?」

「体調も悪いんでしょう。実で数、ゆっくり休んできなさいって言ってるのよ」

桜は澄子の目をじっと見つめ返した。

「私が病気なのに、どうして私がていかなければならないのですか?」

澄子の顔から切の笑みが消え失せた。張り詰めた沈黙がに流れる。やがて澄子は顎を引き、桜をたく見ろすように言った。

「それにね、ここがいつからあなたのになったの?」

桜はすぐには答えなかった。胸の奥で何かが静かに、だが決定に音をてて崩れていくのをじていた。自分はこの豪邸を自分のものだと主張したことなど、ただの度もない。

「……私が、自分のだと言ったことは度もありません」

「じゃあ何なのよ」

桜は澄子の瞳をまっすぐに見つめ返し、静かに、だが確な調で言った。

「勇気さんと私が、んでいるだと言ったんです」

澄子の表りで張った。

「勇気とあなたがんでいる? 勇気が誰の息子だとってるの!」

桜はそれ以、何も言えなかった。なぜ義母が平然とこの邸宅を「私の」と呼ぶのか、なぜ息子が結婚したも、庭内のあらゆる決定権が自分にあると信じて疑わないのか、その理由がようやく腑に落ちた。桜にとっては「夫婦の庭に義母が同居している」

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という認識だったが、澄子にとっては「息子のものはすべて自分のもの」であり、結婚した息子も嫁も、自分の領域の部に過ぎないと考えていたのだ。

に、目に見えない確な境界線が引かれた瞬だった。そして、その決定な線を先に踏み越えてしまったのは、ならぬ義母の方だった

苦しい沈黙がリビングを支配していたその、玄関の子錠がピピッと軽な音をてて解錠された。

「ただいまー」

買い物袋を両に提げた勇気の妹、弓がるい声をしながら入ってきた。しかし、リビングの央で張り詰めた空気を漂わせてち尽くすの姿を見るなり、弓のがぴたりと止まった。

「……何かあったの?」

弓はを交互に見つめた。澄子は元の布巾を几帳面に角く畳み直し、たい声で言った。

「あなたのお義姉さんがね、私と暮らすのが嫌みたいよ」

桜は即座に澄子へ線を向けた。

「お義母さん、私がいつそんなことを言いましたか?」

「勇気とあなたがんでいるなんでしょう? 私がいるのが目障りだってことじゃない」

弓の困惑した線が桜へと向けられた。

「お義姉さん、本当にお母さんにそんなこと言ったの?」

桜はもどかしさに胸を焦がしながらも、に声を荒げることだけは避けた。

「弓さん、そういうで言ったのではありません」

「じゃあ、どういうことなの?」

桜が経緯を説しようと息を吸い込んだ瞬、澄子がそれを遮るように割って入った。

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