みかん小説
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"閉ざされた玄関の暗証番号" 第2話

今度は蔵庫にしまってある果物がどこにあるか分からないという用件だった。

桜は照る額を押さえながら、もう度階段をりた。蔵庫の野菜から季節の果物を取りし、洗いして皮を剥き、皿に彩りよく盛り付けてテーブルへ運んだ。往復しただけで膝が震え、息ががってしまう。部に戻った桜は、ベッドに倒れ込むようにして横たわった。

枕元のスマートフォンをに取ると、張先のアメリカにいる勇気からメッセージが件届いていた。

『現の会議が終わったよ。君は何してる? 体調変わりないかい?』

桜はしばらくの、青る液晶画面を見つめた。体調を崩していること、が38度を超えていることを打ちけようかと指が迷った。しかし、今回の張が勇気の会社にとって今の命運を握る極めて型契約であることをす。余計な配をかけて夫の集を途切れさせたくはなかった。

『お疲れ様。私はにいるよ。事な契約、お仕事頑張ってね』

く返信を打ち、送信ボタンを押すと、桜はスマートフォンをシーツのに伏せた。

それからほど経ち、玄関のい扉がき、続いて見送る声と笑い声が聞こえてきた。客たちが帰ったのだ。玄関がバタンと閉まり、広い敷のにしんと静けさが戻ってきた。

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桜は胸を撫でろし、これでようやく誰にも邪魔されずに眠ることができるとった。

しかし、その静寂を破るように、またしても階から澄子の声が響いた。

「桜さん! 桜さん、ちょっと来て!」

桜はベッドから体を起こし、廊すりの隙からリビングを見ろした。テーブルのには、先ほど使った湯呑みや果物の皮が散らかった皿が、そのまま放置されていた。澄子は腕を組んでその傍らにっていた。

「桜さん、これ片付けてくれない?」

桜は階段のすりを両く握りしめたまま、そのち尽くした。いつもなら、何も言わずに階り、黙々と片付けを引き受けていただろう。しかし、今の体はっていることすら限界に達していた。

「お義母さん……申し訳ありませんが、弓さんが帰ってきたらお願いできませんか? 私、どうしても体が辛くて、これから病院にきたいんです」

階段のから見げる澄子の表が、微かに、だがらかに険しく歪んだ。澄子は満げに眉を吊りげ、ややかな声で言い放った。

「弓は今事な約束があってかけてるのよ。疲れて帰ってくる子に、そんな雑用を頼むわけにいかないでしょう」

桜はその言葉をにし、全の力が抜けていくような衝撃を覚えた。わずすりを握るに力を込める。

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「……私も、今すごく辛いんです」

澄子はそれには答えず、無言でテーブルのの湯呑みをに取った。そして、独り言のように、だが桜に確実に届く音量で呟いた。

「お客さんがいるは、ちゃんとりてきていてたのにねぇ」

桜のが止まった。自に戻ろうとしていたを止め、ゆっくりと澄子の方へと振り返った。

「お義母さん……私が、仮病を使っているとでもおっしゃりたいのですか?」

澄子はにした湯呑みをテーブルにことんと音をてて置いた。

「いつ私がそんなこと言ったの?」

「たった今、そうおっしゃいましたよね」

澄子は腕を組み直し、階段のつ桜をじっと見据えた。

「おかしいとっただけよ。最のあなたは、昔とずいぶん変わったから」

「私が……何を変えたというのですか?」

はね、私が何か頼んでも、こんなにいちいち言い返したりしなかったじゃないの」

桜は言葉を失い、唇を噛み締めた。澄子が満を抱いていたのは、今のお茶しや片付けのことだけではないのだと、その初めて悟った。義母にとってだったのは、嫁が病気で苦しんでいることではなく、これまで何でもしく従っていた嫁が、初めて「できません」と拒絶の志を示したことそのものだったのだ。

「お義母さん……私がしているに、事を伝えなかったことが、そんなに悪いことなのでしょうか」

澄子は濡れた布巾をに取り、無造作にテーブルを拭き始めた。

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