"寿司屋で暴かれた嫁" 第5話
相はそのボランティアの女性。40代半で、加藤恵子と名乗っていたそうです。
「俺は反対した。りって半だぞ。しかも親父は80過ぎだ。おかしいだろう。でも親父は聞かなかった。それどころか、俺が反対すればするほどって突っぱねるようになった」
田さんの声が、だんだんくなっていきました。
「女は巧みだった。親父に『息子さんはお父さんの幸せを考えてくれない』と吹き込み、しずつ族から切りしていった。話をしても『今は忙しい』と言われるようになり、訪ねても女が玄関にてきて、『お父様は体調が悪いので』と追い返された。気がついたら、親父と俺はほとんど会えなくなっていた」
それから1ほど経った頃、達夫さんの座からきな額が何度も引きされていることに、たまたま田さんが気づきました。
に確認すると、定期預もすべて解約されていた。
総額でおよそ3000万円。
さらに、自宅の登記がき換えられていました。名義が達夫さんから加藤恵子に変更されていたのです。
「慌てて親父のにったよ。そしたら、もぬけの殻だった。女は消えていた。のはきれいに片付けられていて、女の私物は1つも残っていなかった。親父だけが、がらんとした居に呆然と座っていた」
田さんは唇を噛みました。
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「親父の顔を見てな。俺はあの顔を忘れられない。何が起きたかもよく分かっていなくて、ただぼんやりと『恵子さんはいつ帰ってくるんだろう』って言うんだよ。82歳の親父が、子どもみたいな目をして」
すぐに警察に届けました。しかし、加藤恵子は偽名でした。所も偽り。使われた類も偽造で、調査はみませんでした。弁護士にも相談しましたが、すでに名義変更された産を取り戻すのは困難だと言われました。
そして、ショックを受けた達夫さんは急速に衰えていきました。事も喉を通らなくなり、昼もぼんやりして、話しかけても反応がくなりました。病院では、精神なショックで認能が急激に落ちていると言われたそうです。
半、達夫さんは肺炎をこじらせてくなりました。83歳でした。
「医者は肺炎が直接の原因だと言った。でも俺は分かってる。親父を殺したのは、あの女だ」
田さんはめかけた湯呑みを見つめたまま、静かにそう言いました。
私は何も言えませんでした。胸が詰まって、言葉がてこなかったのです。
しばらくの沈黙の、田さんが顔をげました。
「節子さん、俺は親父がんでから、ずっとあの女を探していた。警察にも何度もを運んだし、自分でも調べた。そしたらな、うちだけじゃなかったんだ」
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田さんは被害者を支援するNPOとつながり、同じようなによる被害が全国になくとも4件あることをったそうです。
名古では70代の元公務員が退職2000万円を奪われました。阪では74歳の元教師が、息子の再婚直までんでいた相に財産を狙われました。福岡では80代の未が、命保険の受取を変更させられかけました。
いずれも、1暮らしの齢者や資産のある庭に「善の第者」として入り込み、信頼を勝ち取ってから財産を奪う。やりはほとんど同じでした。
「でもな、全部名が違うんだ。加藤恵子、佐々美奈、ゆかり、林島優。毎回名を変えて、見た目もしずつ変えている。髪型とか、化粧とか。でもな」
田さんが、私の目をまっすぐ見ました。
「目だけは変えられないんだよ」
昨、カウンター越しに美咲さんを見た、田さんは目で分かったそうです。
「あの目だ。親父に寄り添って笑っていた女の目。忘れるはずがない」
私は黙って頷きました。
もう、疑う気持ちはありませんでした。
寿司をたのは、もう昼くでした。
曇り空からが差し、商の通りには昼休みのたちが歩き始めていました。私はゆっくり歩きながら帰りました。取りはかったのに、のは議なほどはっきりしていました。
怖い。
でも、確かめなければいけない。
帰宅して、私は初めて美咲さんの荷物を調べました。美咲さんは普段、浩司のマンションで暮らしていますが、うちに泊まることもあり、2階の客に着替えや私物をし置いていました。
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