"朝5時の鬼電話" 第11話
「何だ?」
「会社宛てにしていい?」
「?」
「里に渡してほしい」
輝は、自分の気持ちを文字にしたいと言った。
ただし直接自宅へ送れば、消印やがかりから今の居所を探される能性がある。
あるいは里が、
「をくれた。仲直りできる」
と勘違いするかもしれない。
そこで正の会社へ送り、別の封筒へ入れ替えて渡してもらうことにした。
「そのくらいならいくらでもやる」
正は頷いた。
通話。
輝はすぐ机へ向かった。
「私もいていい?」
そう尋ねると、しそうな顔をした。
「いいの?」
「うん」
私たちは並んでをいた。
輝はをかけて、文字ずつ丁寧に綴った。
里は血の繋がった事な妹だったこと。
昔からいとっていたこと。
けれど妻や結婚相として見たことは度もないこと。
これからも見ることは絶対にないこと。
自分のする妻と娘を傷つけたことは許せないこと。
そして。
今、度と会うつもりはないこと。
最には、
「治療を受けて、自分のをきてほしい」
といていた。
次に私がいた。
『里ちゃんへ。
兄妹でも、踏み込んではいけない領域があります。
今回あなたは、その領域へで踏み込みました。
輝を好きだというあなたの気持ちまで否定するつもりはありません。
でも、相が望んでいないのに自分の気持ちを押しつけることは、ではありません。
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輝に絶縁されたことを、私のせいにしないでください。
今回の結果は、あなた自が選んだによるものです。
病院へ通って、自分自と向きってください。
そして、今も番くであなたを見捨てずにいるが誰なのか、いつか気づいてください。』
き終えた。
胸のにく溜まっていたものが、し消えた気がした。
数。
は無事に正の会社へ届き、里へ渡された。
最初、私のを読んだ里は激しくったらしい。
「向さんのせいだ」
「全部奪われた」
と叫んだ。
しかし輝のを何度も読み返すうちに、急に静かになったという。
特に私がいた、
『勝な自己満』
という言葉。
そして輝からの、
『俺は里を妹としてしか見たことがない』
という文。
その2つが、里ので何かを壊したらしい。
「お兄ちゃんに嫌われたら、もう何も頑張れない」
それから里は会社へかなくなった。
最終に退職。
しばらく無気力な々が続いたが、ようやく正の勧めを受け入れ、カウンセリングへ通うようになった。
今のところ、以のような暴は起こしていないという。
方。
京子は簡単にはち直らなかった。
自の息子とは疎。
がっていた孫にも会えない。
自だった娘は会社を辞め、治療を受けている。
その現実を受け入れられないのか、徐々に話の辻褄がおかしくなり始めた。
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正は京子についても専へ相談するようになった。
ただ、正自も限界にかった。
定まで5。
正社員として働き続けながら2を支えるのは難しい。
そこで会社と相談し、に融通の利く勤務形態へ変更した。
にいるが増えたことで、事にも以以に関わるようになった。
すると所でもしずつ変化がた。
「正さんが妻と娘を監禁している」
という話を信じていたたちが、
「本当にそんななのか?」
と疑問を持ち始めたという。
毎買い物にる。
事をする。
病院へ付き添う。
所のへ普通に挨拶する。
現実の正を見れば見るほど、京子たちの話と致しない。
「ちゃんと説しないとな」
正は言った。
「恥ずかしいけど、このままに誤解されたままも良くない」
私たちは正だけとは連絡を続けることにした。
娘とのビデオ通話も定期にする。
「じいじだよ」
画面へ正が顔をす。
娘はまだ言葉を話せない。
それでも画面へを伸ばし、声をして笑う。
そのたびに正の疲れ切った顔が、ほんのし柔らかくなる。
「きくなったなあ」
まだ数週しか経っていないのに、毎回そう言う。
私たちにできることはない。
でも、しでも正の支えになるなら、それでよかった。
私たち自も、しい町での活にしずつ慣れていった。
輝は異先でも忙しく働いている。
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