"朝5時の鬼電話" 第9話
しばらく黙った。
輝は観したように言った。
「向の料理を独り占めしたかった」
「……え?」
今度は私が固まった。
「だから」
まで赤くしている。
「で働いてた、俺が好きだった料理をの客もべるだろ」
「当たりじゃない」
「分かってる」
「それが仕事だから」
「分かってるって」
輝は恥ずかしそうにを掻いた。
「でも結婚したら、向の料理を俺とか、将来できる族のために作ってほしいなってって」
昔の記憶が蘇る。
確かに輝はへ同僚と来ても、私の料理を絶対にシェアしようとしなかった。
「ちょうだい」
と言われれば、
「嫌だ」
と皿を守っていた。
「それで専業主婦に?」
「もちろんそれだけじゃないぞ」
慌てて言う。
「夫婦のも欲しかったし、俺の収入なら無理して働かなくてもいいとったし」
「でも料理独占したかったんだ」
「……うん」
私はわず笑った。
「笑いすぎ」
「だって」
結婚して2。
子供までいる。
それでもらなかった面がてくる。
しかも、こんな変なの最に。
「い理由だったんだね」
「墓まで持っていくつもりだったのに」
恥ずかしそうな輝を見ていると、議とが軽くなった。
やがて輝は咳払いをした。
「それで本題」
「はい」
「異のことだけど、向のご両親にも今回の事を話したい」
私はし驚いた。
「うちの両親に?」
「うん」
輝は真剣だった。
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「俺の内が向を巻き込んだ」
「……」
「結婚する、お父さんとお母さんから事な娘を預かったんだ。今回のことを黙って引っ越すのは違うとう」
確かにそうだった。
私と輝は、両の承を得て正式に結婚した。
今さら里1の歪んだ考えで、
「ふさわしくない」
などと言われる筋いはない。
「分かった」
私はそので父へ話した。
旅から戻っていた両親は、最初驚いていた。
私と輝が順番に説すると、話の向こうがく沈黙した。
やがて父が言った。
「向」
「うん」
「怖かっただろ」
その言で、張っていたものがし緩んだ。
「……うん」
「輝君」
「はい」
「向と孫を守ろうとしてくれてありがとう」
輝はくをげた。
話なのに。
「いえ。俺の族のことで……」
「それは違う」
父ははっきり言った。
「里さんがしたことは里さんの責任だ。君の責任じゃない」
私は横で輝のを握った。
優しいほど、
「自分がもっとく何とかしていれば」
と責任を抱え込む。
だから父の言葉は、輝にも必だった。
「必なことがあれば何でも協力する」
母も言う。
「娘と赤ちゃん連れて、いつでも帰ってきなさい」
その夜。
私たちはようやく今の方向を決めた。
逃げるのではない。
里が簡単にをせない距を作る。
自分たちの族を守るために。
翌。
輝は社すると真っ先に司へ向かった。
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の急な休みを謝罪し、事を説。
そして別支社への異願いをした。
帰宅、輝はそののことを話してくれた。
「最初はちょっと渋い顔された」
「やっぱり?」
「族の問題で異ってなると、会社も簡単には判断できないんだろうな」
司から、
「そこまでする必があるのか」
という趣旨のことも言われたらしい。
輝はその、こう返した。
「部は、自分の奥さんが私の妻と同じことを内からされても、らないふりをしますか?」
司が黙った。
「夫が妻を守らないで、誰が守るんですか」
その言葉で、事の刻さを理解してもらえたという。
会社側も確認をめ、
「緊急性がある」
と判断した。
ただ、異先が決まるまでがかかる能性がある。
そのも今ので暮らし続けるのはだった。
数。
私の両親がで片4かけて迎えに来てくれた。
しかも普通のではない。
レンタルトラック。
「お父さん?」
玄関をけた私は目を丸くした。
「最限だけ持っていこうとってたんだけど」
「で具運ぶ方が面倒だろ」
父は荷台を指した。
「積めるだけ積め」
母も娘を抱きながら言う。
「赤ちゃんのものも結構あるんだから」
私は胸がいっぱいになった。
きな具。
季節れの。
すぐには使わない器。
持っていけるものは運びした。
実に入りきらない荷物は、くのレンタル倉庫へ預けることにした。
輝は仕事の引き継ぎがある。
私は娘と先に実へを寄せた。
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