"朝5時の鬼電話" 第8話
里の敵が再び私へ向く。
「あんたのせいで優しかったお兄ちゃんが変わった!」
「……」
「お兄ちゃんを返してよ、この棒女!」
正に押さえられながら、私へ掴みかかろうとする。
肘が正の脇腹へ当たる。
「里!」
「して!」
いいをしたが、自分のを全く抑えられない。
その姿を見ながら、私のにあった恐怖がしずつりへ変わっていった。
私は娘のをそっとで塞いだ。
そして里を真正面から見た。
「里ちゃん」
「何よ!」
「いい加減にして」
私がい調で言ったことで、里が瞬止まった。
これまで私は、彼女からたい目で見られても何も言わなかった。
嫌を言われても流してきた。
だから私がここまでを表にすとはっていなかったのだろう。
「輝のことが好きなのは、もう分かった」
「だったら――」
「でもそれと、私になりすまして悪い噂を流すのは別問題」
私は歩も引かなかった。
「として、やってはいけないことをしてるってまだ分からない?」
里の顔が歪む。
「あかりちゃんがやったことは、族だから笑って済ませられることじゃない」
「……」
「私は嫁だから、あなたとは血が繋がってない」
さらに言う。
「警察に相談することだってできるし、被害届を考えることだってできる」
警察という言葉に、里の目が揺れた。
「そんな……」
京子がを挟む。
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「内のことなんだから、そんな事にしなくてもいいでしょ」
私はもうため息しかなかった。
自分の娘がになりすまし、評判を落とすために計画にした。
しかも婚旅まで追跡している。
それでも京子には、
「内のこと」
で済ませられるらしい。
「向」
輝が私の肩にを置いた。
「あとは俺が何とかする」
「でも」
「娘と先に帰ってて」
私のへタクシー代を握らせる。
「ここに向がいる限り、里も興奮し続ける」
確かにその通りだった。
「分かった」
私は娘を抱き直した。
「輝も無理しないでね。何かあったら連絡して」
し迷い、付け加える。
「あと……警察って言ったの、言いすぎだったらごめん」
輝は驚いたように私を見る。
そして優しくを撫でた。
「俺の代わりに言ってくれてありがとう」
その言葉で、しだけが軽くなった。
義実をてからし歩き、タクシーを呼んだ。
娘はあれだけの騒ぎのでも、途からぐっすり眠っていた。
それだけが救いだった。
自宅へ戻ったは、考え込まないように事と育児へ集した。
洗濯。
娘の授乳。
オムツ交換。
乳の準備。
はなほどく過ぎていった。
夕方く。
玄関がく。
「ただいま……」
輝だった。
声だけで分かった。
疲れ切っている。
リビングまで来ると、娘に声をかける余裕さえなく、ソファーへく座り込んだ。
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「お疲れさま」
私は何があったのかすぐには聞かなかった。
キッチンへき、コーヒーを淹れる。
りが広がると、輝はようやくし体を起こした。
「ありがとう」
自分には普通のコーヒー。
授乳の私にはノンカフェイン。
2分を持ってリビングへ戻った。
んだ、輝が言った。
「向」
「うん」
「話したいことがある」
「何?」
輝はく息を吐いた。
「会社にったら、司に今のことを全部話す」
私は黙って聞く。
「それで」
輝は私を見た。
「別支社への異願いをそうとう」
「異?」
「このままここで活するの、もう俺が無理だ」
予していなかった言葉だった。
しかし輝の顔を見れば、軽い気持ちではないと分かった。
「向と娘を、里が簡単に来られる所に置いておけない」
今起きたことは、ただの族喧嘩ではない。
そう輝は判断したのだ。
私が帰ったも、輝は、里と話したらしい。
しかし、
「向が専業主婦になったのは俺が頼んだからだ」
と説しても、
「そんなはずない」
と言われた。
「向は政婦じゃない」
と言っても、
「お兄ちゃんが騙されている」
で終わる。
「夫婦のことにをすな」
とっても、
「私の方がお兄ちゃんを理解している」
と返される。
「全部堂々巡りだった」
輝が両で顔を覆う。
「挙げ句の果てには、恥ずかしい話までさせられた」
その言い方が気になった。
「恥ずかしい話?」
「……」
「何?」
「いや」
「気になるんだけど」
輝は顔をげない。
「もしかして、私に専業主婦になってほしかったのって、ほかにも理由あった?」
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