"北アルプスの0.5秒" 第10話
数。
本は桜の族を訪ねた。
古い事件ファイルを持って。
「申し訳ありませんでした」
玄関先でくをげた。
「私は、犯を見つけられませんでした」
桜の兄が本を見る。
「でも、今は見つかった」
「私は何もしていません。今の刑事たちが……」
母親が静かに言った。
「あなたもずっと忘れてなかったんでしょう」
本は顔をげる。
「15」
母はさく頷いた。
「それなら、もういいです」
本の目に涙が滲んだ。
方。
療養病院の坂本にも、桜が見つかったことが伝えられた。
「桜が……」
坂本は窓のを見た。
「そうか」
が犯だとらされた、坂本はしばらく誰とも話さなかった。
自分を騙していた桜。
自分を裏切った。
それでも桜がんだきっかけに、自分の鳴り声があったことは消えない。
あの。
自分が勢ので桜を追い詰めなければ。
彼女が森へらなければ。
が追わなければ。
違う未来があったかもしれない。
「俺も悪かった」
坂本は介護士へ呟いた。
「俺があいつを物みたいに扱ってた」
介護士は何も言わず聞いていた。
その。
坂本は残っていた財産の半を、岳救助や域福祉などへ寄付する続きを取った。
罪を償ったことにはならない。
桜が戻ることもない。
ただ、15「殺し」と呼ばれ続けた男なりの最の理だった。
健は起訴された。
広告
検察は映像。
基局記録。
命保険。
偽装婚。
鈴への送。
そして本の自を組みわせた。
側は最まで、
「殺はなかった」
と主張した。
「偶発な転落だった」
「突きばしたことは認めるが、殺害目ではない」
裁判ではこの点がきな争点になった。
しかし検察は、転落に救助を求めず、証拠を隠し、目撃者をで黙らせ、虚偽の説を続けた点をした。
さらに、命保険を含む期な詐欺計画もらかになった。
法廷では何度も俯いた。
傍聴席には桜の族がいた。
桜の兄が最に見陳述へった。
「妹は違ったことをしました」
静かな声だった。
「坂本さんを騙そうとした。被告だけでなく、別のまで利用していた。それは許されることではありません」
法廷が静まり返る。
「しかし、だからといって命を奪われていいわけではない」
は顔をげなかった。
「私たちは15、犯を坂本さんだとって憎んできました」
兄は度息をえた。
「違った相を憎み続けました。その15を返してほしいとは言いません。返せないことは分かっています」
声が震えた。
「ただ、もう度と嘘をつかないでください」
は初めて目を閉じた。
判決の。
法廷にはくの記者が集まっていた。
裁判は事件の経緯をつずつ読みげた。
広告
坂本への計画な接。
偽装婚。
財産を狙った詐欺。
事件当の虚偽供述。
鈴次郎への50万円。
期の証拠隠し。
そして桜を突きばし、転落も救助を求めなかった事実。
健はい刑を言い渡された。
判決を聞いた瞬も、彼はほとんど表を変えなかった。
ただ退廷する直。
傍聴席にいる桜の母親へ度だけ顔を向けた。
母はを見なかった。
膝のに置いた桜の若い頃の写真だけを見つめていた。
裁判。
事件を解決へ導いた佐藤匠は、保管資料を理していた。
机のには例のビデオカメラがある。
15。
誰にもられず、鈴次郎のクローゼットに隠されていたさな械。
もし鈴がきているうちに勇気をして警察へ持ってきていたら。
もし15の捜査での通信記録を詳しく分析していたら。
もし警察が坂本だけを見ず、の関係者にも同じ疑いの目を向けていたら。
事件はもっとく終わったかもしれない。
佐藤はそう考えた。
だが過は変えられない。
「鈴さんも、ずっと怖かったんでしょうね」
若い刑事が言った。
佐藤は頷く。
「50万円を受け取った瞬からな」
「共犯なんでしょうか」
佐藤はし考えた。
「法律どう見るかは別として、本のではずっと罰を受けてたんじゃないか」
と関わらず。
仕事を転々とし。
最は1でくなった。
クローゼットの奥には、捨てられなかった真実が残っていた。
そのの。
アルプスは再び葉の季節を迎えた。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
嘘葬りの豆腐店
1991年、茨城の古い商店街で、豆腐屋の嫁・美香が突然姿を消した。 姑と夫が語ったのは、「男を作って夜逃げした」という話。幼い息子を置いて消えた母親として、美香の名は商店街で長く汚され続けた。 しかし6年後、借金による強制執行で高橋豆腐店が取り壊されることになる。誰も近づこうとしなかった裏手のボイラー室。そのコンクリートを掘り返した時、そこから現れたのは、色褪せたスカーフと小さな金の指輪だった。 男と逃げたはずの嫁は、なぜ自宅の床下にいたのか。 そして家族は、6年間何を隠し続けていたのか。 雨の夜に消えた母の名誉を取り戻すため、古い商店街の沈黙が少しずつ崩れ始める。ミステリー|行方不明1.9萬字5 0 -
完結第13話
消えた退院前夜
1991年5月、静岡県の総合病院で、退院を3日後に控えた43歳の女性・田中道子が忽然と姿を消した。 手術は無事に終わり、回復も順調。財布も保険証も病室に残されたまま、彼女だけが夜の病院から消えていた。 最後に確認されたのは、消灯時間の午後9時。翌朝、看護師がカーテンを開けた時、そこに道子の姿はなかった。 自ら出て行ったのか。誰かに連れ去られたのか。それとも、病院の中で何かが起きていたのか。 家族は必死に行方を探し続けるが、手がかりは見つからないまま季節だけが過ぎていく。 そして8か月後、病院の監査で見つかった小さな異変が、すべてを変える。 消えた投薬記録。数の合わない睡眠導入剤。修正されたカルテ。 信じていた病院の奥で、道子に何が起きていたのか――。ミステリー|真相|行方不明1.9萬字5 0 -
完結第13話
長野中部山岳紅葉山カップル失踪事件
2019 年 10 月、韓国束草・雪岳山で忽然と姿を消した 20 代の恋人カップル。 山の監視カメラに最後の後ろ姿を残し、それきり跡形もなく消えてしまった二人。 大規模な山間捜索を何度も行ったものの、衣類の切れ端一つ見つからず、3 年間も謎のまま放置されていたこの失踪事件。 3 年後、排水溝の底から発見された一台の携帯電話。 本体に復元された記録の中に、たった 9 秒(原文 6 秒調整可)の謎の通話履歴が残っていたのです。 撮影した第三者の姿は監視カメラにも目撃談にも一切残らず、臨時インターネット電話番号からかかってきた不可解な電話。 通話直後、二人のスマホが同時に電源オフになる不可解な記録。 リュックの隠しポケットから出てきた手描き地図と謎のメモ「ここへ行けばある。17 時 25 分より前に渡るな」。 警察が調べても特定できない撮影者、地図に載っていない危険な山道、時系列が繋がる不自然な証拠たち… 長野(原文韓国束草に統一)の山に隠された、誰も想像できない真相とは? 年配の方も分かりやすく時系列順に整理した事件全貌、今すぐ全文を読んでみてください。真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 0 -
完結第13話
隠された十五年の物語
2005年、日本で誰も深く探ろうとしなかった不気味な過去がある。 生涯質素に暮らし、一文無しに近い老夫婦がいた。 一生懸命働き、大金とは無縁の日々を過ごしてきた二人に、思いがけない幸運が舞い込んだ。 閑古鳥が鳴くパチンコ店で、前代未聞の大当たりを出し、一夜にして大金を手に入れ、念願の一戸建てを購入したのだ。 苦労の末に手にした新居で、穏やかな老後が待っているはずだった。 だが誰も予想しなかった——引っ越してたった3日、老夫婦は新居ごと跡形もなく消え失せた。 庭の草木は新しく植えたばかりの瑞々しさを残し、部屋のお茶はまだ温かく、布団も整えられたまま。 主人だけが、この世から忽然と姿を消したのだ。 警察が数日間捜索したものの、手がかりは一切なく、最終的に不可解な失踪事件として処理された。 だが地元の古株の住民は皆知っている。この予期せぬ大当たりは、贈り物ではなく、命を懸けた交換取引だったと。 大金を手にした直後に消えた理由とは?空き家の下に隠された真実とは? 当時誰も口にできなかった封印された真相を、今こそ完全に解き明かす。真実|裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.9萬字5 2 -
完結第13話
消えた母の 10 年地下室
1993 年、お盆の帰省途中で姿を消した若い母親―10 年後、地下室で衝撃の真実が明らかに! 隣に住む親切な青年が、彼女を長年地下室に監禁していた悪夢の物語。 幼い息子だけが地下室に隠れた母と遭遇し、守らなければならない秘密を抱える。 夫の不審な観察、祖母の疑念、犯人の焦り… 積もった疑惑がついに決定的な瞬間を迎える。 10 年間の監禁、脅迫、欺瞞が一気に暴かれる衝撃結末。 失われた家族の絆が、長い悪夢を乗り越えて再びつながるまでの全記録。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 0 -
完結第13話
マカオに消えた花嫁
2010年4月、マカオへ新婚旅行に訪れた日本人夫婦・田中浩司と山田愛子は、ホテルに荷物を残したまま忽然と姿を消した。 最後に確認されたのは、観光地の監視カメラに映った2人の姿。部屋に争った形跡はなく、財布も荷物もそのまま。誘拐か、事故か、それとも自ら消えたのか――事件は真相不明のまま、12年という歳月に埋もれていった。 しかし2022年、1人の女子大生がSNSで見つけた写真が、凍りついた時間を動かす。 マカオの街で中国人女性と寄り添う中年男性。その顔は、12年前に失踪したはずの夫・田中浩司に酷似していた。 では、彼と一緒に消えた妻・愛子はどこへ行ったのか。 幸せな新婚旅行の裏で、あの夜、本当は何が起きていたのか。 SNSに映った“夫の顔”が、12年間隠されてきた衝撃の真実を暴き出す。ミステリー|真実|行方不明2.0萬字5 0 -
完結第13話
消えた23人の観光団
2025年9月29日、福岡に約2700人の団体観光客が一斉に降り立った。 その日を境に、日本各地で不可解な失踪が相次ぎ始める。タクシー運転手、配達員、宿泊施設の関係者――いずれも夜、一人で行動することの多い男性たちだった。 やがて糸島の海岸で発見された身体の一部が、事件の扉を開く。 捜査を進める刑事・鈴木健二は、失踪した観光客、黒いワゴン車、古い倉庫、医療機器販売会社、そして横浜港へ向かう冷凍コンテナという、ばらばらに見えた点を追い始める。 これは単なる失踪事件ではない。 観光の人波に紛れ、日本の空き倉庫や港を利用して動いていた国際犯罪組織。その裏には、人間を“商品”のように扱う恐ろしい取引が隠されていた。 救える命はまだ残っているのか。 そして、海へ消えた男と「王」と呼ばれる人物の正体とは――。 福岡から始まった小さな違和感は、やがて日本全体を揺るがす闇へとつながっていく。ミステリー|真相2.0萬字5 0