"断髪新郎の逆転婚礼" 第10話
「何の話してるんだ?」
「健太さんが、どうしてあんな髪にしたのかって話」
「お兄ちゃん、なんで?」
兄は何でもないことのように答えた。
「おもそうだし、美紀のお母さんも、やけに髪のことを気にしてただろ」
私は黙った。
「彩佳は治療だけど、普通に活も仕事もできてる。俺からしたら、今の髪型だってただの髪型なんだよ」
兄は自分のくなったへ触れた。
「それなのに、髪がないとかいとか、それだけで変な目で見られるのはおかしいだろ」
「だから自分も?」
「どうせなら俺もくしちゃおうかなって」
健太はしれたところにいた礼子さんを呼んだ。
「お母さん」
礼子さんが恐る恐るづいてきた。
「どうですか、僕の髪」
「え? ああ……似ってるわ」
「僕もそういます」
健太は笑った。
「だったら彩佳の今の髪だって、別に変じゃないですよね」
「えっと……そうね」
兄の表がしだけ真剣になった。
「お母さん、今まで彩佳に族の縁を切れとか、今も帰れとか言ったそうですね」
礼子さんは線を逸らした。
「もし僕が美紀に、『お母さんと族の縁を切れ』って言ったら、どういます?」
「そんなの嫌に決まってるでしょう」
「ですよね」
兄は静かに頷いた。
「僕も同じです」
その会話を聞いていた美紀さんの父親が驚いた顔で妻を見た。
「礼子、お、本当にそんなことを彩佳さんに言ったのか?」
広告
「だ、だって私は美紀が配で……」
「だからって族の縁を切れなんて、よくそんなことが言えたな」
「私はただ……」
まだ言い訳しようとする礼子さんへ、健太が言った。
「お母さん」
礼子さんが黙る。
「彩佳は事な族です。それは僕が結婚しても変わりません」
兄の声には迷いがなかった。
「だからもう2度と、彩佳を傷つけるようなことは言わないでください」
美紀さんも隣へった。
「そうよ、お母さん」
そして私の腕へを回した。
「さっきも言ったけど、彩佳さんは私の恩なの。そして今から私の妹でもあるんだから、傷つけたらお母さんでも許さないよ」
「分かったわ。もう言わない」
礼子さんはさな声で答えた。
すると美紀さんの父親も厳しい表で言った。
「本当だな。今度また同じようなことをしたら、俺も今のことを考えるぞ」
礼子さんの顔が引きつった。
「今って……何よ」
「おとの族のあり方を考えるということだ」
「それって婚?」
「族の縁を簡単に切れと言えると、これからも族でいられるか俺にも分からない」
礼子さんは完全に黙り込んだ。
自分が私へ投げつけてきた言葉を、今度は自分が向けられるになったのだ。
披宴が終わった、兄は予定通りをることになった。
美紀さんは最初、私たちので3暮らしをしてもいいと言ってくれた。
広告
「彩佳さん1にするの、やっぱり配だもの」
「美紀さん、お兄ちゃんと同じこと言ってる」
私は呆れながら笑った。
「私、もう派なだから。1暮らしできるよ」
「本当に?」
「むしろ1で活できないのは、お兄ちゃんの方だから」
健太が満そうな顔をした。
「なんで俺なんだよ」
私は美紀さんへ真剣な表を作った。
「美紀さん、覚悟してね。お兄ちゃん、料理以はかなり壊滅だから」
「おい」
「靴は裏返したままだし、で試作品作って、疲れてその辺で寝ることもあるから」
「ああ、それは聞いた」
美紀さんが楽しそうに笑った。
「これからは私が踏まないように気をつけないとね」
「違うだろ。俺を踏まないようにって言ってくれよ」
「その辺で寝てるが悪いでしょ」
私が言い返すと、美紀さんが声をげて笑った。
結局、兄夫婦は2でしい活を始めた。
「何かあったらすぐ連絡しろよ」
引っ越しの、兄は最まで配そうだった。
「分かってる」
「族だからな」
「うん」
私は笑顔で2を送りした。
のは急に静かになった。
寂しくないと言えば嘘になる。
けれど議とはなかった。
族はれて暮らしても、族なのだと分かっていたからだ。
それから数か。
いがけないらせが届いた。
礼子さんに乳がんが見つかったのだ。
幸い期発見で、私と同じように命に関わる状態ではなかった。
しかし抗がん剤治療が始まり、髪が抜け始めると、礼子さんはきなショックを受けたという。
広告
おすすめ作品
-
完結第16話
閉ざされた玄関の暗証番号
田園調布の豪邸で暮らす田中勇気と妻・桜。勇気は一人暮らしになった母・澄子を思い、妹の弓とともに同居を始める。しかし、その優しさは次第に家族の境界線を曖昧にしていった。 勇気が海外出張中、桜は高熱で倒れながらも義母の来客対応を強いられる。初めて「できません」と拒んだ彼女に、澄子は怒りを募らせ、桜本人の意思を無視して荷物をまとめ、家から追い出してしまう。 夫に心配をかけまいと黙って耐える桜。しかし異変を感じた勇気は急いで帰国し、隠されていた真実を知る。 妻を守れなかった自分の過ち、そして母が家族への感謝を「支配する権利」と勘違いしていたことに気づいた勇気は、家族の在り方を見直す決断をする。 本当の家族とは何か。愛情と依存の違いを描く、再生と絆の物語。嫁姑|第二の人生|修羅場2.4萬字5 0 -
完結第14話
返されなかった合鍵
25年間、誰にも知られず借り続けられていた203号室。 夫の葬儀の日、見知らぬ女性から渡された一本の合鍵が、妻・千鶴の人生を大きく揺さぶる。 亡き夫はなぜ、家族に隠れて古い部屋を借りていたのか。 そこに残されていたのは、31本のカセットテープと、一人の少女の思い出だった。 最初は裏切りだと思った秘密。 しかし調べるほどに明らかになる、夫が25年前に背負った約束と、誰にも話せなかった苦悩。 守ることと、信じること。 家族を思う気持ちと、誰かを救おうとする気持ちは、時にすれ違ってしまう。 一つの合鍵から始まった真実の先で、千鶴が見つけたものとは――。人生逆転|相続|修羅場2.0萬字5 13 -
完結第12話
一万八千円の飯
自分の家族が経営する5つ星ホテルで、何気なく注文した一品の炊き込みご飯。 メニューでは1,800円に見えたはずなのに、会計明細には「18,000円」と記されていた。 帰国したばかりの後継者・小川優馬は、単なる表示ミスだと思い責任者を呼ぶ。だが、レストラン責任者は「社長が承認した価格です」と言い切った。 父が守ってきたホテルで、なぜ一杯のご飯が10倍の値段になっているのか。 優馬が調べ始めると、異常な価格変更、不可解な仕入れ、法人客への不自然な請求、そして継母・里見の影が浮かび上がっていく。 やがてその小さな違和感は、20年前に亡くなった実母・秋子の死、奪われた母方の財産、腹違いの弟の秘密、そして恋人だと思っていた女性の正体へとつながっていく。 始まりは、たった一杯の炊き込みご飯だった。 だが、その18,000円の明細は、運海ホテルに隠された20年越しの闇を開く鍵だった――。因果応報|修羅場1.7萬字5 0 -
完結第12話
復讐とんかつの逆転便
とんかつ弁当を注文した堀川琢磨の前に現れたのは、高校時代に自分を見下していた金持ち令嬢・柏木綾音だった。 かつて高級ブランドを身につけ、貧しい琢磨を笑っていた彼女は今、実家のとんかつ店を守るため、配達員として頭を下げていた。 「お前が配達?令嬢なのに?」 復讐心に火がついた琢磨は、自分の成功を見せつけるため、何度もとんかつ弁当を注文し続ける。 だが、届く弁当の味は想像以上だった。 そしてある日、綾音が差し出した冷凍とんかつの試作品が、琢磨の運命を大きく動かしていく。 過去の屈辱、消えない傷、落ちぶれた令嬢の謝罪。 復讐のつもりで始まった注文は、やがて小さな老舗店を救い、琢磨自身の孤独な人生まで変えていく――。因果応報|人生逆転|修羅場1.7萬字5 0 -
完結第13話
消えた託児代7万円
2001年、東京の外れにある義実家で暮らす保育士のゆいは、夫の妹・安奈から何度も娘の子守りを押しつけられていた。 「保育士でしょ?」 「家族なんだから」 「今日だけお願い」 そう言われるたび、ゆいは仕事帰りに1歳のクレアを風呂に入れ、寝かしつけ、夜泣きにも起きてきた。けれど夫も義母も、それを“当然の手伝い”としか見ていなかった。 ある朝5時半、安奈は39度の熱を出したクレアを抱えて現れる。 「娘の子守りよろしく」 仕事を理由に断ろうとするゆいへ、夫は笑って言った。 「保育士なんだから慣れてるだろ。ケチくさいこと言うなよ」 その一言で、ゆいの中で何かが切れた。 なぜ安奈は、そこまで頻繁に娘を預けていたのか。 なぜ“仕事”と言って家を空ける日が増えていたのか。 そして、クレアの父親だけが知らなかった事実とは――。 便利な保育士として扱われ続けた嫁が、初めて「無理です」と告げた日、義家族の隠された嘘が静かに崩れ始める。兄弟姉妹|夫婦1.9萬字5 3 -
完結第12話
桜袴の女組長
娘の入学式の日、シングルマザーの水島美咲は、校門の前でボスママ・霧谷礼子に袴を引き裂かれた。 それは、亡き母が一針一針仕立ててくれた大切な形見だった。さらに礼子は、娘の前で父親のいない家庭を嘲り、母の思い出まで踏みにじる。 美咲はただ黙って耐えていた。 娘の晴れの日を壊したくなかったから。 しかし、礼子が最後の一線を越えた時、美咲は静かにスマートフォンを取り出す。 5分後、校門前に次々と黒塗りの車が現れた。 誰も知らなかった。 この“貧しいシングルマザー”と見下された女に、学校中が凍りつくもう一つの顔があることを――。修羅場1.8萬字5 0 -
完結第12話
家賃55万の置き土産
夫の家族と13年間暮らしてきたまゆ子は、ある日突然、義母から告げられる。 「里帰り出産で長男夫婦が来るから、あなたは明日までに出ていって」 家族のために尽くしてきたはずだった。血のつながらない息子にも、義母にも、夫にも、ずっと気を遣ってきた。けれど義母にとって、まゆ子はもう“用済み”の存在でしかなかった。 しかも夫は出張と偽り、別の女性と会っている疑いまで浮かび上がる。 翌日、まゆ子は言われた通り家を出ることにした。 ただし、何もかも置いていくつもりはなかった。 月55万円の家賃を払っていたのは誰なのか。リビングを埋める家具家電を買ったのは誰なのか。 まゆ子が引っ越し業者に告げた一言で、義母たちの“幸せな同居計画”は静かに崩れ始める――。兄弟姉妹|親子関係1.8萬字5 1 -
完結第11話
部外者会長の逆襲
営業部の新年会に、夫と一緒に出席した井上ゆかり。 しかし会場に着くと、用意されているはずの席はなく、課長の獅倉からは笑いながらこう言われた。 「今日は関係者だけで飲もうよ」 部外者扱いされ、夫婦そろって追い出されるように店を出たゆかり。だが店の外には、黒いセダンと秘書が待っていた。 「帰るから、車出して」 「会長、承知しました」 実はゆかりには、会社の誰も知らないもう一つの顔があった。 翌朝、課長から慌てた電話が入る。大型契約が突然保留になり、会社のサーバーからは、ただの嫌がらせでは済まされない重大な痕跡が見つかっていた――。因果応報|修羅場1.6萬字5 0 -
完結第12話
近道看板の逆襲
海の近い小さな村で、家族と農業を営む大平浩。 数年かけて育ててきたトウモロコシ畑が、ある日突然、何者かの車に踏み荒らされていた。畑の入口には、勝手に置かれた「国道への近道」の看板。何度撤去しても、立入禁止の表示を立てても、被害は止まらない。 やがて犯人は、入院中の村長の息子・光だと判明する。 「この村のものは俺のもの」 そう言い放つ光は、畑を道路のように使い続け、ついには浩の娘まで危険な目に遭わせる。警察に訴えても、相手が村長の息子というだけで話は曖昧に流されてしまう。 証拠がなければ、誰も動かない。 そう悟った浩は、畑に防犯カメラを設置し、光が自ら罠にはまる“ある看板”を立てることにした。 家族の畑を踏み荒らした男に待っていた、静かな因果応報とは――。因果応報|修羅場1.8萬字5 0 -
完結第11話
嫌われた娘の五十八億円
父から一度も愛されたことがないと思い込み、家族からも見放された白石真琴。 父の告別式の日、兄たちから「遺産は一円も渡さない」と突き放された彼女のもとに、深夜一本の電話が入る。 それは、亡き父が最後まで隠し続けた“真実”を伝える弁護士からの連絡だった。 58億円の遺産、封印された手記、そして父が30年間演じ続けた冷酷な態度の本当の理由。 なぜ父は、最愛の娘を傷つけ続けたのか。 なぜ人生を捨てるほどの覚悟で、娘を遠ざけたのか。 一冊の手記に記された、父の命懸けの愛と、家族に隠された衝撃の真実とは――。兄弟姉妹|相続1.7萬字5 363