みかん小説
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"水を盗んだ隣人の末路" 第5話

黒杉は怯むどころか、笑をめて言い放った。

「来週からね、私は、ヨーロッパへ買い付けと商談のツアーにくんですよ。留守も自システムはフル稼働させておくから、勝にホースを抜いたり細したりしないでくださいよ。もしが止まってが傷んだら、損害賠償請求の訴訟を起こしますからね。腕利きの顧問弁護士がついてるんでね」

「自分のを使えばいいだろうが! なぜを使うんだ!」

声に対し、黒杉は肩をすくめて平然と言い放った。

「うちの代を節約するためですよ。何か文句あります?」

悪びれる様子など微もない。むしろ「自分はで賢い選択をしている」と本気で信じ込んでいる顔だった。

私はく息を吸い込み、震える指先を固く握りしめた。これ以、この狂に言葉を費やしても無駄だ。話が通じるではない。

「黒杉さん。最にもう度だけ言います。今にホースをし、うちのを使うのをやめてください。そして増額されたをお支払いください」

黒杉は馬鹿にしたようにフンと笑い、自宅の玄関ドアにをかけた。

「嫌ですね。文句があるなら、どうぞ警察でも呼べば?」

バタン、といドアが閉まり、施錠される音が響いた。

その言葉、その顔を、私は絶対に忘れまいとに刻みつけた。

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黒杉との交渉が決裂したそのの午、正は会社に半休を取り、ホームセンターで頑丈なステンレス製の蛇用ダイヤルロックを購入してきた。

栓から、黒杉の庭へと伸びていた緑のホースを力任せに引き抜き、境界フェンスの隙から隣の敷へ投げ返した。そして、の蛇ハンドルに属製の頑丈なロックを取り付け、桁の暗証番号で施錠した。

さらに、私は域の局のお客様センターへ話を入れた。事を説すると、対応した女性担当者は刻そうに相槌を打ってくれた。

『お客様、それはらかな正使用の疑いがありますね。過の使用量データと照らしわせても、今の380方メートルという数値は異常です。現の写真、メーターの数値、相方とのやり取りのなどを克に記録に残しておいてください。警察へ被害届をされる際にも、局から使用量証を発できますので』

「ありがとうございます。必ず記録しておきます」

私はスマートフォンのカメラで、あらゆる角度から証拠写真を撮した。 栓の型番。 取り付けられたダイヤルロック。 ペンチで曲げられた境界フェンスの網目。 隣の庭に転がされた緑のホースの先端。 そして、異常な数値を刻み続けるメーターの文字盤。

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そのの夜、は数ぶりに平穏な夕を迎えた。

「お父さん、もう丈夫なの?」

が豚肉とキャベツの噌炒めを頬張りながら尋ねてきた。

「ああ、鍵をガチガチにかけてやったからな。さすがのあいつでも、鍵を壊してまで盗はできまい。もし壊したら器物損壊と居侵入で即刻現犯逮捕だ」

がビールをみ、満げに頷く。

「お母さん、今はシャワー分浴びてもいい?」

「今は特別よ。でも、節約活はまだ終わってないんだからね」

「はーい!」

がりの芽の笑顔を見て、私はようやく胸のつかえが取れるいがした。な隣への恐怖は消えなかったが、物理を遮断したのだから、もう丈夫なはずだった。

だが——私たちは、黒杉という男の執と異常性を、あまりにも甘く見ていた。

翌朝、午600分。 カーテンの隙から朝が差し込む寝で、私は階からの異様な物音で目を覚ました。

ガリガリ、バキッ。

属同士が擦れい、何かが破壊されるような鈍い音。 続いて、庭の方から「紀! 紀、く来てくれ!」という正の切迫した号が響いた。

臓ががった。寝着のにカーディガンを羽織り、裸で階段を駆けりて裏庭へした。

「な、何……!? どうしたの!?」

朝靄がち込める側の通。蛇ち尽くす正元を見て、私は息を呑んだ。

取り付けたばかりのステンレス製ダイヤルロックが、型のボルトクリッパーか何かで無惨に両断され、無残な鉄くずとなってに転がっていた。

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