みかん小説
本棚

"嫁に奪われた最後の400万円" 第2話

「どこへくの?」

級リゾートで5泊6。せっかくだから、いいホテルに泊まりたいんだ」

輔が説した計画では、交通費や宿泊費、事、現での費用まで含め、4分で約400万円必になるという話でした。

「400万円……」

わず聞き返しました。

、すぐかせる私の貯のおよそ半分でした。

しだけ迷いました。

それでも、族全員で過ごす6像すると、最には頷いていました。

「分かったわ。私がす」

「本当? ありがとう、母さん!」

その声を聞いた、昔の輔が戻ってきたようで嬉しかったのです。

私は旅として400万円を用しました。予約そのものも、で変更がしやすいよう私の名義で配し、決済にも私名義のカードを使いました。

それから私は、旅を指折り数えて待っていました。

しかし、づくほど、輔と美の態度はたくなっていったのです。

の打ちわせに参加したいと言った、美は面倒そうな声をしました。

「お義母さんは何も気にしなくていいですよ。私たちで全部決めますから」

「でも装とか、予定くらいはっておいた方がいいでしょう?」

丈夫です」

話はそこで打ち切られました。

発1週、私は輔へ話しました。

「ねえ、輔。向こうではどんなを着ればいいのかしら。夕しきちんとした方がいい?」

広告

話の向こうで、輔がきくため息をつくのが聞こえました。

「母さん、自分で考えてよ。子供じゃないんだから」

隣にいたらしい美の声も聞こえました。

「お義母さんって本当に細かいですよね。いちいち聞かれると面倒なんですけど」

胸にさな針を刺されたような痛みがりました。

けれど私は、2とも旅の準備で忙しいのだとうことにしました。

発3には、しいワンピースを買いました。

65歳の私にはるすぎるかともいましたが、員さんから「とてもお似いですよ」と勧められた淡い紺でした。

級な所へくのだから、息子夫婦に恥をかかせたくない。

そんないもありました。

輔のへ届け物をしたついでにワンピースの話をすると、美が興を示したのでスマートフォンの写真を見せました。

は画面を見るなり眉をげました。

「え、それ着るんですか?」

「変かしら?」

代遅れすぎて、正直ちょっと笑えます」

輔まで横から画面を覗き込みました。

「母さん、センスないんだから普通のでいいって」

顔がくなりました。

自分なりに楽しみにして選んだでした。

それでも私は何も言えず、「そうね」と笑ってスマートフォンをしまいました。

帰りので窓に映る自分を見ました。

髪が増え、目元にはい皺ができています。

広告

確かに若くはありません。

もしかしたら私は、息子たちにとって緒に歩くことすら恥ずかしいになったのかもしれない。

そんな考えが浮かびました。

、最の確認のため美話しました。

は朝8でいいのよね?」

すると、すぐに刺すような声が返ってきました。

「いちいち確認しないでください。認症じゃないんですから」

私は言葉を失いました。

輔の笑い声も聞こえました。

「本当、母さん最もの覚え悪いよね。丈夫?」

「……分かったわ。ごめんなさい」

話を切った、私はしばらくリビングにったままでした。

鏡のには、疲れた65歳の女性が映っていました。

涙がそうになりました。

それでも私は泣きませんでした。

けば変わる。

みんなで事をして、を眺め、昔のように輔と笑えば、また族に戻れる。

そう信じたかったのです。

そして迎えた発当の朝。

輔がで迎えに来ました。

玄関をた私は、を止めました。

席には、すでに美の母親が座っていたのです。

「おはようございます」

の母親がにこやかに振り返りました。

「おはようございます……」

何も聞いていなかった私は戸惑いましたが、部座席には美が座っています。

「お義母さん、ろお願いします」

私はきなスーツケースを抱え、空いている所へ押し込むように座りました。

内では、美と母親が楽しそうに旅の話を続けていました。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: