みかん小説
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"嫁に奪われた最後の400万円" 第1話

「400万円、助かった。ごちそうさまでした」

成田空港の喧騒ので聞こえてきたその言葉に、私は瞬、自分が何を言われているのか理解できませんでした。目のには、息子の輔と妻の美が並んでち、2とも私の反応を面がるようない笑みを浮かべています。

ヅルはもう用済みですから」

が続けた瞬、胸の奥をたいものが貫きました。族旅のために私が用した400万円、それは28働き続け、しずつ積みててきた切なおでした。

「母さん、悪いんだけどさ」

輔は気まずそうにするどころか、面倒な説く済ませたいという表で言いました。

「美のお母さんも緒に来ることになったから、母さんの分はキャンセルしたんだ」

「……私の分を?」

「そう。数は増やせないし、美のお母さんの方がぶとって」

私はそのから元が崩れていくような覚に襲われました。周囲ではスーツケースを引いた旅客がき交い、子供の笑い声や案内放送が響いているのに、それらすべてが所から聞こえてくるようでした。

の母親はし戸惑った顔をしていましたが、輔も美も気に留めていません。夫の広も数歩れたところにったまま、私を庇う言葉を言もにしませんでした。

その瞬、私はようやく理解しました。

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私は族旅に誘われたのではありません。

すために必だっただけなのです。

それでも私は、いつものように笑いました。息子が幼い頃から何度も向けてきた、穏やかな母親の笑顔を作りました。

「そう。分かったわ」

私の声がった以に落ち着いていることに、自分でも驚きました。

「楽しんできてね」

を振る指先だけが、わずかに震えていました。

輔はしたように美と顔を見わせました。まさか私がらずに受け入れるとはっていなかったのかもしれません。

「じゃあ母さん、のことよろしく」

「お義母さん、本当にすみませんね。でもお母様もずっと楽しみにしていたので」

では謝りながら、顔には申し訳なさなどしもありませんでした。

私は3ろにっている広へ目を向けました。

夫と線がいました。

は何か言いたそうに唇をかしましたが、結局、目を逸らしただけでした。

それで分でした。

28、私は族のために働いてきました。

保険交員として働き始めたのは、輔がまだだった頃です。広は優しいでしたが、若い頃は収入が定せず、計の部分を私が支えなければなりませんでした。

も顧客のを回りました。朝て、帰宅が夜10を過ぎることも珍しくありませんでした。

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輔の教育費には、私学まで含めて約650万円。

結婚すると言われたには、結婚式の費用として200万円を援助しました。さらに活を始めるための資として150万円を渡しています。

それだけでも1000万円い額になります。

それ以にもを買う、孫がまれたが壊れた輔から頼まれるたびに私は財布をいてきました。

息子が幸せなら、それでいい。

ずっとそうっていました。

通帳の残が減るたびにし寂しくなることはありました。それでも輔が「母さん、助かったよ」と笑えば、苦労など忘れられました。

しかし、美と結婚してからの3で何かがしずつ変わっていました。

最初は、さな違でした。

に1度の事会でも、私だけいメニューを勧められるようになりました。

「お義母さんは、質素なものがお好きですよね」

は笑顔でそう言いました。

その横で、美の母親にはい御膳を勧めています。

孫の誕会にも、いつのにか私は呼ばれなくなりました。

写真を見れば、美の母親だけが毎参加していました。

それでも私は、いつかまた族らしく過ごせるが来るとっていました。

だから2か輔から久しぶりに話が来た、本当に嬉しかったのです。

「母さん、お願いがあるんだ」

「どうしたの?」

族旅きたいんだけど、ちょっと資りなくて」

族旅

その言葉を聞いただけで、胸が温かくなりました。

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