"帰る場所を奪われた妻、4階で取り戻した人生" 第2話
夫は自分のだと言い、義母も「ここは私の」と何度もにした。しかし実際には、2がっているほど自由に扱える建物ではなかった。
そして4階の戸は、ここ数か空いたまま売りにされていた。
義母は昔から、階の活音に異常なほど敏なだった。
し音がしただけで井を棒で叩き、管理会社へ話する。だからこそ私は、4階が空いたとったから佐藤へ頼み、売却のきを確認してもらっていたのだ。
話を切り、私はマンションを見げた。
3階の角部には、温かなオレンジのかりが灯っている。
きっと今頃、義母は私を追いした祝杯でもあげているのだろう。夫も、ようやく自由になれるとんでいるはずだ。
その1つ。
4階は真っ暗だった。
私はもう、3階へ戻るつもりはなかった。
守らなければならない母がいる。
退院した母がして休める所も必だった。
そして何より、私自がこれ以あので息を殺して暮らす理由などなかった。
歩きそうとしたところで、スマートフォンが震えた。
夫からだった。
『荷物はの夕方、実へ送る。の夜、弁護士事務所へ来い。事な話がある』
私は画面を見つめた。
事な話。
弁護士。
とうとう夫も、自分の計画を隠さなくなったらしい。
けれど返信はしなかった。
バッグの底には、自分名義の通帳と印鑑が入っている。
広告
そして病院のロッカーには、夫が机の奥へ隠していたある類のコピーがあった。
夫はまだらない。
から締めされた妻が、何も持たずに追いされたわけではないことを。
病院へ戻ると、夜勤の護師が温かいお茶を入れてくれた。
「お母様、し顔が良くなりましたよ」
その言葉に、私はようやくさく笑うことができた。
病を覗くと、母は静かな寝息をてている。点滴につながれたは以より細く見えたが、呼吸は落ち着いていた。
私は待の隅へ移し、バッグの奥から1枚のコピー用を取りした。
夫の斎で見つけた、マンション売却に関する類だった。
そこには夫の署名とともに、私が聞かされていない額がかれていた。
しかも3階の戸だけではない。
建物全体をまとめて処分することを提としたような資料まで混じっていた。
最初にこの類を見た、私は目を疑った。
夫はずっと、「このは父さんが残した切な財産だ」と言っていた。義母も毎のように、「このだけは何があっても守る」と話していた。
それなのに、夫は面で売却をめていた。
さらに類の束には、見らぬ若い女性の名がかれた賃貸契約関係の資料もあった。
。
私のらない女性だった。
夫は数かから、妙に優しくなっていた。
広告
「おのお母さん、最体調悪いんだろ」
ある晩、卓で突然そんなことを言った。
「俺たちのことはいいからさ。実に泊まり込んで、しばらく面倒を見てやったらどうだ」
言葉だけを聞けば、いやりのある夫に見える。
しかし、その目の奥には焦りのようなものがあった。
なぜ急に私をからざけようとするのか。
以、私が母のところへ1泊しただけで、「事は誰がやるんだ」と嫌になった男だ。
その夫が突然、「何でも泊まってこい」と言い始めた。
自然でないはずがなかった。
私は何も指摘せず、静かに様子を見た。
するとさな違は、次々とつながっていった。
休になるとする。
帰宅するとスマートフォンを肌さず持つ。
浴へくさえ、以はテーブルに置いていた端末を持っていくようになった。
私は疑いながらも、直接問いたださなかった。
問い詰めれば警戒される。
証拠を消されれば終わりだ。
だから自分の財産をしずつ夫婦の活座から切りし、夜に続けていたデータ入力の副業収入も、自分だけが管理できる座へ移した。
夫は自分の料をほとんど庭に入れなかった。
義母の活費や固定費を理由に、私の収入まで管理しようとした。
さらに夫は、私がしでも反抗すると母のことを持ちした。
「おのお母さんに毎渡してる援助、俺が止めてもいいんだぞ」
実際には、その援助の半は私自が稼いだだった。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
追放母の25億売却
お盆のため、長崎から東京の息子夫婦のペントハウスを訪れた田中春江。 亡き夫に手を合わせ、息子の好物を詰めた重箱を抱え、半日かけて上京した彼女を待っていたのは、温かな家族の食卓ではなかった。 嫁・里奈は春江の手料理を目の前で捨て、安いホテルの予約票を差し出す。さらに息子夫婦は、自分たちが旅行へ行く間、愛犬の世話だけを春江に押しつけようとしていた。 長年、息子のために働き続け、すべてを与えてきた母。だがその日、春江はようやく気づく。 自分は家族として呼ばれたのではない。ただ都合よく使われるために呼ばれただけだった。 その夜、春江は20年以上連絡を取っていなかった“ある人物”に電話をかける。 翌日、息子夫婦が暮らしていた天空の城は、静かに動き始めた――。人生逆転|親不孝|親子関係1.6萬字5 6 -
完結第13話
車が狭いからと言われた妻
15年間、夫と義母のために家事も介護もすべて背負ってきた由美。 ある日、義母の誕生日旅行当日、突然こう告げられる。 「車が狭いから、あなたは留守番ね」 半年も前から準備し、費用まで負担した旅行から外された由美。 しかし彼女は怒らなかった。 なぜなら、すでに知っていたから。 夫・浩司と義母は、由美が父から相続した家を自分たちのものにしようとしていた。 さらに浩司には妊娠した愛人がいて、由美を追い出した後、その家で新しい生活を始める計画まで立てていた。 そして二人は、由美の名前を偽造して名義変更まで企んでいた。 だが、家の本当の所有者は由美だった。 旅行へ出発した二人を見送った3時間後―― 由美は静かに立ち上がる。 もう、誰かのために我慢する人生は終わり。 15年間奪われ続けた自分の人生を取り戻すため、妻の反撃が始まる。親不孝1.9萬字5 0 -
完結第12話
タダ宿の代償
64歳の佐々木敦子のもとに、久しぶりに長男・大輔から電話がかかってきた。 連休に家族で帰ってくるという話に、最初は孫に会える喜びを感じた敦子。だが大輔は、当然のようにこう言った。 「母さんの家に泊まるから。ホテル代もかからないし」 しかも泊まりに来るのは、息子一家だけではなかった。嫁の両親、妹夫婦、友人夫婦まで含めた総勢10人。食事、布団、タオル、駐車場、留守番まで、敦子の家はいつの間にか“無料の宿”として扱われていた。 それでも家族のためならと我慢しかけた敦子だったが、旅行の三日前、切れていなかった電話の向こうから、息子夫婦の本音を聞いてしまう。 「母さんの家使えばタダじゃん」 「お母さんってちょろいよね」 その瞬間、敦子の中で何かが静かに切れた。 この家は、3500万円を出して自分が買った家。誰かが当然のように使っていい場所ではない。 翌日、敦子は弁護士へ相談し、玄関の鍵を替える。 そして連休当日。何も知らずに10人で家の前へやって来た息子夫婦を待っていたのは、もう開かない玄関だった――。親不孝|親子関係1.9萬字5 5 -
完結第10話
形見を捨てた嫁の代償
妻の三回忌の日、68歳の竹内正男は、久しぶりに帰ってくる息子一家のため、亡き妻がよく作っていた煮物と甘い卵焼きを用意していた。 孫に妻の思い出を伝えようと、正男は40年間大切に使われてきた花柄のエプロンを見せる。それは妻が家族のために台所に立ち続けた証であり、正男にとって何より大切な形見だった。 しかし嫁の彩花は、そのエプロンを何のためらいもなくゴミ袋へ放り込む。 「古いものは整理した方がいいですよ」 その一言で、正男の中の何かが静かに崩れた。 ところがその後、彩花は仏壇の横に置かれた一通の封筒を見つける。そこに書かれていたのは、マンション2棟と預金3000万円、そして遺言書という文字。 次の瞬間、さっきまでゴミ扱いしていた形見を、嫁は突然「大切にします」と言い出した。 形見の本当の価値は、金で測れるものなのか。 亡き妻が残したエプロンをめぐり、家族の本音が静かに暴かれていく。親不孝|親子関係1.5萬字5 5 -
完結第12話
母の認知症は芝居だった
30歳の大倉明かりは、仕事に追われる日々の中、田舎で暮らす母の変化に気づき始めていた。 電話の向こうの母は、以前より言葉が噛み合わず、声にも力がない。兄夫婦からは「認知症が進んでいる」「もう家では見きれない」と告げられ、明かりは母を介護施設へ入れる話し合いに同意する。 久しぶりに会った母は、明かりの顔を見ても娘だと分からず、亡くなった妹の名前で呼んだ。 やはり認知症なのか――。 そう思いながら家族で施設見学へ向かった明かりだったが、途中で施設長に呼び止められる。 「娘様だけ、こちらへ来てください」 別室にいた母は、先ほどまでとは別人のようにはっきりと明かりの名前を呼んだ。そして職員は、母の体に残された不自然な痕を見つけていた。 「今すぐ警察に行ってください」 認知症だと思われていた母は、本当に何を隠していたのか。 父の仏壇に残された古いボイスレコーダーが、家族の中で起きていた恐ろしい真実を暴き出す――。親不孝|介護1.8萬字5 1502 -
完結第10話
形見を捨てた嫁の代償
妻の三回忌の日、68歳の竹内正男は、久しぶりに帰ってくる息子一家のため、亡き妻がよく作っていた煮物と甘い卵焼きを用意していた。 孫に妻の思い出を伝えようと、正男は40年間大切に使われてきた花柄のエプロンを見せる。それは妻が家族のために台所に立ち続けた証であり、正男にとって何より大切な形見だった。 しかし嫁の彩花は、そのエプロンを何のためらいもなくゴミ袋へ放り込む。 「古いものは整理した方がいいですよ」 その一言で、正男の中の何かが静かに崩れた。 ところがその後、彩花は仏壇の横に置かれた一通の封筒を見つける。そこに書かれていたのは、マンション2棟と預金3000万円、そして遺言書という文字。 次の瞬間、さっきまでゴミ扱いしていた形見を、嫁は突然「大切にします」と言い出した。 形見の本当の価値は、金で測れるものなのか。 亡き妻が残したエプロンをめぐり、家族の本音が静かに暴かれていく。親不孝|親子関係1.5萬字5 3617 -
完結第12話
タダ宿の代償
64歳の佐々木敦子のもとに、久しぶりに長男・大輔から電話がかかってきた。 連休に家族で帰ってくるという話に、最初は孫に会える喜びを感じた敦子。だが大輔は、当然のようにこう言った。 「母さんの家に泊まるから。ホテル代もかからないし」 しかも泊まりに来るのは、息子一家だけではなかった。嫁の両親、妹夫婦、友人夫婦まで含めた総勢10人。食事、布団、タオル、駐車場、留守番まで、敦子の家はいつの間にか“無料の宿”として扱われていた。 それでも家族のためならと我慢しかけた敦子だったが、旅行の三日前、切れていなかった電話の向こうから、息子夫婦の本音を聞いてしまう。 「母さんの家使えばタダじゃん」 「お母さんってちょろいよね」 その瞬間、敦子の中で何かが静かに切れた。 この家は、3500万円を出して自分が買った家。誰かが当然のように使っていい場所ではない。 翌日、敦子は弁護士へ相談し、玄関の鍵を替える。 そして連休当日。何も知らずに10人で家の前へやって来た息子夫婦を待っていたのは、もう開かない玄関だった――。親不孝|親子関係1.9萬字5 7753 -
完結第11話
追放母の25億売却
お盆のため、長崎から東京の息子夫婦のペントハウスを訪れた田中春江。 亡き夫に手を合わせ、息子の好物を詰めた重箱を抱え、半日かけて上京した彼女を待っていたのは、温かな家族の食卓ではなかった。 嫁・里奈は春江の手料理を目の前で捨て、安いホテルの予約票を差し出す。さらに息子夫婦は、自分たちが旅行へ行く間、愛犬の世話だけを春江に押しつけようとしていた。 長年、息子のために働き続け、すべてを与えてきた母。だがその日、春江はようやく気づく。 自分は家族として呼ばれたのではない。ただ都合よく使われるために呼ばれただけだった。 その夜、春江は20年以上連絡を取っていなかった“ある人物”に電話をかける。 翌日、息子夫婦が暮らしていた天空の城は、静かに動き始めた――。人生逆転|親不孝|親子関係1.6萬字5 4330 -
完結第9話
食卓追放の1億3000万
「お母さんは、ここでは食事しないでくれる?」 67歳の佐々木洋子は、息子一家との夕食の席で、突然そう告げられた。 その料理を作ったのは、30年間ホテルの厨房に立ち続けた元料理長の洋子本人。家族のために腕を振るったはずの食卓で、彼女だけが別室へ追いやられる。 嫁は台所から洋子を遠ざけ、息子は妻の味方をし、夫までも見て見ぬふりをする。小さな違和感は、いつしか明確な排除へと変わっていった。 その夜、客間で眠れずにいた洋子は、リビングから聞こえてきた家族の本音を耳にしてしまう。 「洋子はもう用済みなんだから」 さらに彼らは、洋子を施設へ入れ、実家の土地まで売ろうとしていた。 けれど彼らは知らなかった。洋子が守り続けてきた資産の本当の名義も、彼女がまだ失っていない“料理人としての誇り”も。 食卓から外された母が、静かに取り戻したものとは――。親不孝|絶縁|親子関係1.3萬字5 3195 -
完結第10話
弁当箱の中の復讐
長年寝たきりだった娘・ゆりえを、夫とともに介護し続けてきた百合子。 夫を亡くした後は、長男夫婦と同居しながら、残された娘を必死に支えていた。嫁の美和は表向きは優しく、家事も手伝ってくれる理想的な嫁に見えた。 しかし、娘の葬儀の日。 休憩室のそばで、百合子は美和の本音を聞いてしまう。 亡くなったばかりの義妹を侮辱し、介護を「迷惑だった」と笑う声。さらに、美和が普段から周囲に見せていた顔とはまったく違う一面も、少しずつ明らかになっていく。 娘を傷つけられた母は、何も知らないふりをしたまま静かに動き出す。 優しい姑の笑顔の裏で、百合子が仕掛けたものとは何だったのか。 そして、美和が会社でも家庭でも居場所を失うことになった“ある弁当箱”の中身とは――。親不孝|親子関係1.4萬字5 4377