"60代からの第二の人生" 第9話
「ハワイよ」
直哉と波さんが、に打たれたように直した。
「え……? ハ、ハワイ……?」 「おたちと同じハワイだ」
浩司がな声で言葉を継いだ。
「ワイキキビーチホテル。おたちよりワンランクの、最階オーシャンビュースイートだったがな」 「う、嘘でしょ……同じホテル……!?」
波さんが信じられないという表で元を押さえる。
「ええ。のビーチであなたたちの姿を見かけたわよ。随分と険しいお顔をされていたけれど、ハワイは満喫できたかしら?」
直哉はに線を落とし、刻みに震えながら叫んだ。
「なんで……なんでそんな酷いことをするんだよ!? 子供たちに何かあったらどうする気だったんだ!」 「なんでって? 私たちも旅にきたかったからよ。、正も休まず働いてきて、今こそ夫婦でゆっくりしようと決めていたの。それを邪魔されたから、自分たちのでっただけよ」 「で、でも、子供たちを置いていくなんて……!」 「あら。あなたたちも、自分たちの子供を私たちに押し付けて旅にったじゃない。何が違うの?」
私の鋭い言に、直哉はぐうの音もず、喉を詰まらせた。
リビングに移し、の孫たちをで遊ばせた、私たち夫婦と息子夫婦はテーブルを挟んで対峙した。
「でも母さん……俺はちゃんとお願いしたじゃないですか……」
直哉の々しい反論に、私のりが静かに爆発した。
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「『よろしく』。その言のどこがお願いなの!? しかも、あなたたちのハワイ旅は、私が援助した万円でったものよね?」 「そ、それは謝してます……」
波さんが消え入りそうな声で俯く。
「謝しているが、『楽しみすぎて眠れない』なんて話を寄越せるわけがないでしょう! 私たちので旅にき、私たちにの子供を押し付け、私たちの正休みを奪いって……!」 「しかも、お玉は千円でいいから領収はいらないだと?」
浩司が机をバンと叩き、をした。
「おたち、親を何だとっている!? 便利な無料の政婦か!? 都のいいATMか!?」 「そ、そんなつもりじゃ……」 「じゃあ何のつもりなのよ! アレルギー対応の事、医学部を目指す塾の宿題指導、夜泣きの対応、毎の洗濯、作りのおやつ……! プロのベビーシッターを正に雇えば、最でも万千円、で万円よ! で万円、夜対応も含めれば百万円を超えるわ! それをタダでやらせて当然だとでもったの!?」
直哉と波さんは完全に首を垂れ、言も返せなくなっていた。
「母さん……だって、俺たち族じゃないですか……」
直哉が涙を浮かべて呟いたその言葉に、私は徹な線を浴びせた。
「族だからこそ、相の都を聞くものよ。族だからこそ、からの謝を伝えるものよ。
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族だからこそ、援助を当たりだとって甘えてはいけないの。おたちがやったのは甘えじゃない。ただの搾取よ」
苦しい沈黙が支配するリビングで、私は持参していたクリアファイルから枚の類を取りし、テーブルの央に広げた。
「これを見てちょうだい」
直哉と波さんが恐る恐る類に目を落とす。そこには、私が几帳面に記録してきた、過の援助額の細が記されていた。
私医学部 学費援助:1,200万円
結婚祝い:100万円
マンション購入援助:300万円
孫の産祝い:計120万円
今回のハワイ旅援助:50万円
その、入学祝い・細かな活支援:約100万円
これまでの孫の預かり・世話(ベビーシッター換算):約240万円
総額:約2,110万円
「に……千万円以……!?」
直哉の唇が激しく震え、顔面が蒼になった。波さんも絶句したまま、その莫な数字を見つめている。
「そうよ。千万円以。私たち夫婦が、爪にを灯すようにして貯めてきた老資の半分以よ。……これだけ援助してきて、私たちがあなたたちに何を求めていたとう?」
直哉は首を横に振ることしかできない。
「見返りも、おのお返しも切求めていなかったわ。ただつ……私たちをのとして尊してほしかった。私たちにも自分たちのがあり、休む権利があるということを分かってほしかっただけよ。
でもあなたたちは、私たちを都のいい具としてしか扱わなかった」
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