みかん小説
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"消えた妻と青いマグカップ" 第10話

「今に連絡してください」

は頷いた。

それでも、

藤田が松本へ戻ったあと、

けなかった。

ようやく警察へ話した。

であることを確認され、

全であること。

藤田に制されていないこと。

自分ので宿にいること。

つずつ答えた。

に、

「ご主所を伝えますか」

と聞かれた。

は、

しばらく黙った。

「今は、まだ」

そう答えた。

話を切ってから、

自分でもひどいとった。

は、

何もらない。

娘のことも。

潟へった理由も。

自分がなぜ帰れないのかも。

それでも、

今すぐ話をすれば、

言えなかったことを、

本で説しなければならない。

には、

まだできなかった。

の夜。

携帯話に、

からしいメールが届いた。

ってる】

【でも帰ってきてほしい】

は、

初めて返信画面をいた。

何度も消した。

に残ったのは、

たっただった。

話します】

送信したあと、

く息を吐いた。

の携帯話が鳴った。

画面には、

の名

瞬、

られなかった。

待ち続けた話だった。

なのに、

いざ鳴ると怖かった。

回目の呼びし音で、

通話ボタンを押した。

「もしもし」

『……健さん』

の声だった。

は目を閉じた。

きてるな」

『うん』

「怪ないな」

『ない』

?」

『うん』

それだけ確認してから、

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は黙った。

も黙った。

最初に謝ったのは美だった。

『ごめんなさい』

は、

すぐには答えなかった。

「誠司から聞いた」

話の向こうが静かになった。

「娘のこと」

『……うん』

「名も」

『そう』

に産んだことも」

『うん』

は、

何度目か分からないほど、

同じ疑問をにした。

「何で俺に言わなかった」

は答えなかった。

だぞ」

『分かってる』

「結婚するも?」

『言おうとった』

「いつ」

『何度も』

「でも言わなかった」

『うん』

は、

く言いすぎないようにしていた。

それでも、

声にはりがた。

「俺だけらなかったんだな」

『……そう』

「誠司はってた」

『うん』

「それが番きつい」

が、

さく息を吸った。

『藤田さんが悪いんじゃない』

「分かってる」

は言った。

「でも腹はってる」

『私が頼んだの』

「それも分かってる」

『だから』

「分かってるって」

声がきくなった。

度、

を閉じた。

「分かってるから、余計に嫌なんだよ」

は黙った。

「おが俺には言えなくて、誠司には言えたことが」

『あのには、偶然られただけ』

「そのあとってただろ」

返事はない。

は続けた。

「娘が連絡してきたも、俺じゃなくて誠司を頼った」

けなかった』

「俺とく選択はなかったのか」

の声が、

し震えた。

『あなたに言ったら、全部変わるとった』

「変わるよ」

は即答した。

が黙った。

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「変わるかもしれない」

は言い直した。

「でも」

度、

息を吸った。

「変わるかどうかを決める会くらい、俺にもくれよ」

は、

泣いていた。

声で分かった。

『怖かった』

「何が」

『あなたが私を見る目が変わること』

「それは変わるかもしれないって言ってるだろ」

『だから怖かったの』

「でも隠したら、もっと変わるだろ」

は何も言えなかった。

その通りだった。

しばらくして、

が聞いた。

「帰ってくるのか」

い沈黙。

は、

『分からない』

と答えた。

は、

る気力さえ瞬なくなった。

「何で」

『帰っていいのか分からない』

「誰が決めるんだよ」

『え?』

「俺か?」

『……』

「俺が“もう帰ってくるな”って言うとってるのか」

『分からない』

「じゃあ勝に答えすなよ」

の声がくなった。

「帰れるかどうかまで、おで決めるな」

野駅くの喫茶で会うことになった。

が松本から向かった。

は、

宿からで来た。

ぶりに見る妻は、

し痩せたように見えた。

は、

顔を見た瞬

抱きしめたいとった。

でも、

できなかった。

も、

づかなかった。

「久しぶり」

が言った。

は、

だけどな」

と答えた。

とも笑わなかった。

は、

最初から全部話した。

歳の妊娠。

の男。

両親。

産。

養子縁組。

娘を抱いたこと。

写真。

母親の

藤田ので秘密を話したこと。

は、

で何度も止めた。

「結婚する、何で言わなかった」

は答えた。

「最初に言わなかったから」

「どういう

「付きい始めに言わなかった。

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