みかん小説
本棚

"消えた妻と青いマグカップ" 第7話

「それでおは帰ってきた?」

「昨の昼に、美さんを野県内の宿まで送りました」

「どこだ」

藤田は答えなかった。

が睨む。

「警察には所を伝えたのか」

「本から連絡したあと、必な確認はしています」

は息を吐いた。

「どうしてそこまで美の言うことを聞く」

藤田は、

し苦しそうな顔をした。

「先輩」

「何だ」

「俺も違ったとってます」

は黙った。

「昨の朝には、もう先輩に話すべきだった」

「遅いよ」

「はい」

「美の秘密を守ることと、俺に妻のまで分からなくするのは別だろ」

「……はい」

藤田は否定しなかった。

しばらくして、

が聞いた。

「娘は、何で今さら美を探した」

藤田は顔をげた。

「それは……」

ってるんだろ」

しだけ」

「言え」

藤田は答えた。

「紗季さん」

度、

息を吸った。

「今、妊娠してるそうです」

は黙った。

「自分が母親になるに、度だけ産んだに会いたかったって」

テーブルのに、

静かなが落ちた。

そして藤田は、

が会うから何度もにしていた質問を伝えた。

紗季が、

母に聞きたいと言っていたこと。

それは、

「なぜ捨てたのか」

ではなかった。

もっとい質問だった。

「私がまれた、嬉しかった?」

その言葉を聞いた瞬

は初めて、

がなぜすぐへ帰れなかったのか、

ほんのしだけ分かった気がした。

歳だったのは、

広告

のことだった。

まだ、

とは会っていない。

の名字は、

森川。

を卒業したあと、

松本内のさな印刷会社で働いていた。

は、

の男だった。

同じ会社ではなかった。

の紹介でい、

ほど付きっていた。

は、

結婚するつもりだった。

なくとも、

自分はそうっていた。

妊娠が分かったのは、

歳のだった。

最初にらせた

男は何も言わなかった。

びもしない。

りもしない。

ただ、

く黙った。

「どうする?」

に言ったのは、

その言だった。

は、

その言葉が理解できなかった。

「どうするって?」

「まだだろ」

「だから?」

「俺も仕事、定してないし」

「でも、産むよ」

は迷っていなかった。

男は、

し考えさせて」

と言った。

それから、

会う回数が減った。

話も減った。

男の両親がてきた。

の両親もった。

話は、

らないところでどんどんんだ。

「育てられるの?」

母親に聞かれた。

「育てる」

「仕事は?」

「何とかする」

「何とかって何?」

答えられなかった。

父親は、

ほとんどかなかった。

ただ度だけ、

「子供まで苦労させるな」

と言った。

は、

その言葉が嫌いだった。

自分が子供を育てることが、

なぜ最初から「苦労させること」になるのか。

そんなこと、

まだ誰にも分からないはずだった。

それでも、

現実は美方ではなかった。

広告

ない。

の男は、

次第に連絡を避けるようになった。

仕事は妊娠がめば続けにくくなる。

所も、

親のにはなかった。

母親は何度も言った。

んだあとに考えても遅くないから」

何を考えるのか。

は、

分かっていた。

産予定

母親が、

ある夫婦の話を持ってきた。

子供を望んでいる夫婦。

齢は代半ば。

経済にも定している。

子供を迎える準備もしている。

「会わなくていい」

母親は言った。

「美が嫌なら、断っていい」

そう言いながら、

母親の顔は、

断ってほしくない顔だった。

には分かった。

父親も同じだった。

の男も、

もうほとんど姿を見せなかった。

は、

だった。

子供がまれたのは、

だった。

女の子だった。

千グラムにし届かないくらい。

護師が、

の横へ連れてきた。

さかった。

目は閉じている。

元だけが、

いていた。

「抱きますか?」

聞かれた。

は頷いた。

腕のに乗せられた瞬

怖くなった。

落としそうだったからではない。

この子を、

好きになりすぎるのが怖かった。

すでに、

放す話がんでいた。

だから、

抱かない方がいいのではないか。

も考えない方がいい。

顔もよく見ない方がいい。

何度もそうっていた。

でも、

できなかった。

は赤ん坊の額に触れた。

温かかった。

「女の子ですよ」

護師が言った。

は、

ただ頷いた。

正式な続きがむまで、

があった。

その

は何度も気持ちを変えた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: