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"消えた妻と青いマグカップ" 第6話

藤田は笑わない。

「本当です」

「美と俺に子供はいない」

「先輩と結婚するです」

の笑いが止まった。

「何

くらいだと聞いてます」

「美が……」

声がなくなった。

で、

齢を計算した。

歳。

なら、

歳。

?」

藤田が頷いた。

歳のに、女の子を産んだそうです」

は、

しばらく何も言えなかった。

「嘘だ」

ようやくたのは、

それだった。

「美がそんな話、度も」

言いかけて、

止まった。

度も聞いていない。

それは、

否定の根拠にはならなかった。

むしろ、

こので分かったことだった。

には、

らないことがある。

「その子は?」

藤田が答える。

「養子にされたそうです」

「養子?」

「はい」

「誰に」

「そこまでは、俺もりませんでした」

「父親は?」

りません」

「何でおってる」

今度は、

鳴る声ではなかった。

もっとかった。

藤田は、

のことを話した。

〇〇

の母親がくなった。

はちょうど京へだった。

葬儀には戻れたが、

そのの片づけまでは休めなかった。

だから藤田に頼んだ。

「悪いけど、美伝ってやってくれ」

藤田は、

緒に実の荷物を理した。

古い箪笥。

類。

アルバム。

類。

捨てるものと、

残すもの。

かかけて片づけた。

その途

押し入れの奥からさな箱がてきた。

「俺は、を見てません」

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藤田が言った。

「じゃあ何で」

「美さんがけました」

箱のには、

古い写真が枚あった。

まれたばかりの赤ん坊。

い産着。

さな

写真を見た瞬

はそのに座り込んだ。

藤田は何が起きたのか分からなかった。

丈夫ですか」

はしばらく泣いていた。

それから、

自分で話した。

「この子、私が産んだの。」

藤田は最初、

が分からなかったという。

は続けた。

。」

「女の子だった。」

「でも、育ててない。」

を握ったまま、

聞いていた。

「それで?」

「美さんから、先輩には言わないでって頼まれました」

「おは?」

「聞きました」

——先輩、本当にらないんですか。

は、

らないと答えた。

「それで黙ったのか」

「はい」

「はい」

「俺の友達なのに?」

藤田が健を見る。

「だから、何度も迷いました」

「迷っただけか」

「俺が勝に言ったら、美さんの過を俺が暴くことになるといました」

は何も言わなかった。

理屈は分かる。

分かるから、

余計に腹がった。

「今回、何で娘がてくる」

が聞いた。

藤田は、

ようやく核に触れた。

「娘さんから連絡が来たんです」

「美に?」

「はい」

「いつ」

くらい

の胸が縮んだ。

自分はそのも、

妻と毎晩話していた。

には緒に夕べた。

何も気づかなかった。

「名は?」

藤田はし迷った。

川紗季さん」

「何歳」

です」

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歳で産んだ子供。

計算はった。

「どこにいる」

潟です」

は顔をげた。

潟。

藤田のが向かった方向だった。

全部が本につながった。

「会いにったのか」

藤田が頷く。

曜の夜に」

で?」

「はい」

「何でおが」

「美さんが、ではけないって」

「俺は?」

藤田は黙った。

「夫の俺じゃなくて、お?」

「先輩には言えないって」

「だからおった」

「はい」

は、

笑うこともできなかった。

「すごいな」

藤田が顔をげる。

「何がですか」

緒にいる俺には言えなくて、にたまたまったおには頼めるんだな」

「先輩」

「それで?」

は続けた。

「会ったあと、何があった」

藤田が目を伏せた。

「俺にも全部は分かりません」

「どういうだ」

は会いました」

「どこで」

内です」

「娘は何て言った」

藤田は首を振った。

「俺は同席してません」

「じゃあ美は?」

「会ったあと、戻ってきました」

「どこへ」

「俺が待ってた所に」

「どんな様子だった」

藤田はし考えた。

「泣いてました」

は、

に乗ってからほとんど話さなかった。

藤田が、

「松本へ戻りますか」

と聞いた。

は、

しばらく窓のを見ていた。

そして言った。

「まだ帰れない。」

藤田は、

「先輩が配します」

と言った。

は答えた。

「分かってる。」

「でも、今帰ったら、何もなかった顔をしてしまう。」

藤田には、

そのが分からなかった。

だからもう度、

「先輩に連絡した方がいい」

と言った。

は、

携帯話を握ったまま、

かなかった。

結局、

源を切った。

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