みかん小説
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"消えた妻と青いマグカップ" 第5話

は、

が分からなかった。

「俺は夫ですよ」

「分かっています」

「だったら」

さん」

刑事は落ち着いて言った。

「奥様は成です。ご本が自分のでそこにいると確認できました」

「藤田に脅されてるんじゃ」

「その能性も確認しました」

「じゃあ?」

「本は否定しています」

子に座った。

「帰りたくないってことですか」

刑事は答えにくそうにした。

なくとも、今で考えたいと」

その言葉が、

番きつかった。

誘拐なら、

藤田を責めればいい。

事故なら、

妻を探せばいい。

だが、

は無事で、

自分ので帰らない。

それだけは、

誰のせいにもできなかった。

藤田が警察署をたのは、

だった。

は駐まで追った。

「待て」

藤田が振り返った。

「先輩」

「話せ」

「何をですか」

「全部だよ」

い声で言った。

「おと美、いつからなんだ」

藤田の顔が固まった。

「何がです」

「惚けるなよ」

「違います」

泊して、妻が帰らなくなって、それで違う?」

「本当に違います」

「じゃあ何でおってて、俺がらないことがあるんだよ」

藤田は何も言わなかった。

それが、

には肯定に見えた。

「俺が京にいる、何回会ってた」

「仕事で頼まれただけです」

「美に?」

「先輩にもです」

「それだけか」

「はい」

「じゃあ何で、潟までく」

藤田は唇を噛んだ。

はさらに言った。

「おに頼んだよな」

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藤田が顔をげる。

「何度も」

——俺がいない、美を頼む。

自分で言った言葉だった。

「俺、おならだとってた」

藤田の表が苦しくなる。

「先輩」

「友達だとってた」

ってます」

「だったら言えよ」

藤田はしばらく何も言わなかった。

やがて、

さく息を吐いた。

「俺から話していいことじゃないんです」

は笑った。

「まだそれ言うのか」

「美さんのことです」

「美は俺の妻だ」

「だからって」

藤田の声が、

初めてくなった。

「奥さんの過まで、全部先輩のものじゃないでしょう」

かなかった。

数秒。

とも何も言わなかった。

藤田が先に目を逸らした。

言いすぎたとったのかもしれない。

だが健には、

別の言葉だけが残った。

「何の話だ」

藤田は答えない。

「美の過って何だ」

「先輩」

「俺がらないことを、おってるのか」

沈黙。

それで分だった。

の顔から、

りがしずつ消えた。

代わりに、

別の怖さがてきた。

「いつから?」

藤田はい声で答えた。

くらいです」

……」

は繰り返した。

自分の妻と、

自分の友が、

自分にだけ言わない何かを共していた。

「何なんだよ」

の声が震えた。

「美は何を隠してるんだ」

藤田は目を閉じた。

そして言った。

「それだけは、美さんから聞いてください」

は、

初めて藤田を殴りたいとった。

そのの午

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は松本の自宅へ戻った。

は、

と何も変わっていない。

の靴。

読みかけの雑誌。

蔵庫のには、

で買った豆腐が残っている。

それなのに、

の持ち主だけが帰ってこない。

はソファに座った。

目のには、

つのコーヒーカップ。

警察から触っていいと言われたが、

まだ片づけられなかった。

過ぎ。

藤田から話があった。

度、

画面を見たままなかった。

度目。

ようやく取った。

「何だ」

『先輩』

「用がないなら切るぞ」

し会えませんか』

「話す気になったのか」

藤田は答えなかった。

は、

自宅へ来るように言った。

藤田は玄関にっていた。

と同じ所だった。

を連れてた男が、

今度はで戻ってきた。

「入れ」

は言った。

藤田は靴を脱いだ。

リビングへく。

青いマグカップを見て、

瞬目を止めた。

「座れよ」

は向かいった。

は何もさなかった。

コーヒーも。

も。

藤田がいた。

「先輩に言うべきか、ずっと迷ってました」

も?」

「違います」

「何が違う」

ったから、俺が言うことじゃないとってました」

「何を」

藤田は黙った。

が机を叩いた。

「もういい加減にしろ」

藤田が顔をげた。

「美さんには」

度、

言葉を切った。

「娘さんがいます」

は、

しばらくが分からなかった。

「何?」

「娘です」

「誰の?」

藤田は答えた。

「美さんのです」

は笑った。

最初は、

冗談だとった。

笑うしかなかった。

「何言ってんだ、お

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