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"消えた妻と青いマグカップ" 第3話

刑事は頷いた。

「奥様は、なくともこの点では自分で助席に座っていたように見えます」

「どういうですか」

「無理やり乗せられた様子は確認できない、ということです」

の胸に、

いものが落ちた。

「じゃあ……自分から?」

「映像だけではそこまで断定できません」

刑事は慎だった。

しかし、

では別の言葉が浮かんでいた。

自分から。

妻は、

藤田のに自分から乗った。

その夜、

の職の同僚にも事を聞いた。

に美が医院をたのは、

の午分頃。

特に変わった様子はなかった。

番だから」

そう言って帰ったという。

「最、何か悩んでいる様子は?」

刑事が尋ねた。

受付の女性は首を振った。

「特には」

し考えてから、

「あ、でも」

と付け加えた。

「先週、休みを取りたいって言ってました」

が顔をげた。

「休み?」

「はい。

?」

「そうです」

らなかった。

「何のために?」

「私たちも聞きました。でも、“ちょっと用事があるから”って」

刑事が健を見る。

「奥様から聞いていませんでしたか」

「何も」

「普段、休みの予定は?」

「言います」

の声がさくなった。

なくとも、俺はそうってました」

最初から仕事を休む予定だった。

藤田はの夕方から姿を消している。

緒にで松本をた。

それは、

突然起きたことではないのかもしれない。

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はそう考えた瞬

胸の奥がたくなった。

いつから決めていた?

何のために?

なぜ自分だけらなかった?

自宅へ戻ると、

つのコーヒーカップがそのまま残っていた。

警察の確認が終わるまで、

は触らないよう言われていた。

いカップ。

青いマグカップ。

つ並んでいる。

なら、

何でもない景だった。

藤田が来た。

がコーヒーをした。

ただそれだけ。

回も見てきた。

だが、

度疑い始めると、

同じ物が別のに見えた。

は何を話していた?

いつから会っていた?

自分が京にいる平

藤田はどれくらいこのに来ていた?

翌朝。

所への聞き込みで、

さらに嫌な話がた。

向かいに代の女性が言った。

「藤田さん、よく来てましたよ」

「どのくらいですか」

に何回かは」

は聞いた。

「最も?」

「ええ。このも庭のところにいましたし」

かけたりしてました?」

「そこまでは分かりません」

女性はし困ったように笑った。

「でも、仲は良さそうでしたよ」

仲が良さそう。

ただそれだけの言葉だった。

それでも健には、

異様にく聞こえた。

に戻り、

の記憶をつずつした。

「今、藤田さんが来てくれた」

は何度もそう言っていた。

「台所の蛇、直してもらった」

根のところ見てもらった」

「庭の、切ってくれた」

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そのたびに、

は言った。

「助かるな」

「誠司に任せとけばだ」

そして藤田にも、

何度も頼んだ。

「美だからさ」

「何かあったら見てやってくれ」

今になって、

その言葉が自分へ返ってくる。

自分が、

づけたのか。

そんな考えまで浮かんだ。

「馬鹿か」

は声にした。

何を疑っている。

緒に暮らしてきた妻だ。

付きった友だ。

度に疑うなんて、

どうかしている。

それでも、

とも帰ってこない。

昼過ぎ。

警察から連絡があった。

藤田のが、

野県部へ向かう国沿いのカメラに映っていた。

、午

さらに、

その先のサービスエリアでも確認された。

「どこへったんですか」

が聞いた。

「まだ特定できません」

潟方面ですか」

能性はあります」

「何で?」

刑事は首を振った。

「それを調べています」

に、

潟とのつながりはなかった。

なくとも、

る限りでは。

藤田の会社の社員が、

警察署へ呼ばれた。

も同席した。

「社曜は普通でした」

社員は話した。

「何まで?」

半くらいです」

「そのの予定は?」

「俺には“私用がある”って」

「泊まりだと聞きましたか」

「いえ」

「何か荷物を持っていました?」

社員は考えた。

さいボストンバッグはありました」

が顔をげた。

「ボストンバッグ?」

「はい。普段、に置いてるやつですけど」

「着替え?」

「分かりません」

で、

またつ何かが組みがった。

藤田は、

最初から泊まるつもりだった。

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