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"消えた娘、七回の間違い電話" 第9話

と答えた。

なぜ無理なのか。

はできなかった。

ただ、自分たちはもう事件を起こしたとい込んでいた。

その結果、本当に事件を起こした。

の供述をもとに、警察は奈良県境に部を捜索した。

だった資材置き

経っていた。

範囲は広かった。

何も見つからなかった。

は途から、

所を正確に覚えていない」

と言い始めた。

野は、

「暗くて分からなかった」

と繰り返した。

穂の遺体は、最まで発見されなかった。

それでも、事件の全体像はほぼ固まった。

分。

穂は公衆話から若葉女子寮へ話。

すぎ。

梅田で保と流。

BIRDへ入る。

写真に写る。

分頃。

帰ろうとして階段付で転落。

半頃。

嘔吐。

すぎ。

識状態が悪化。

台。

ほぼ識を失う。

へ運びされる。

その

因を医学に確定することはできなかった。

傷による急性血腫、あるいは血腫の能性がいとされた。

しかし遺体がない。

「すぐ搬送していれば助かったのか」

その質問にも、医師は断定できなかった。

助かった能性はある。

しかし確実とは言えない。

佳代子はその答えを何度聞いても、納得できなかった。

確実ではない。

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だから何なのかとった。

助からなかったかもしれない。

でも、助かる能性を誰も試さなかった。

それだけは確実だった。

体遺棄などの容疑で起訴された。

救護義務や当為についても争われた。

裁判では、

「事故そのものを被告が起こした証拠はない」

という言葉が何度も使われた。

佳代子は傍聴席で聞いた。

事故。

証拠。

因果関係。

過失。

法律の言葉は、穂が子で苦しんでいたとは別の世界のものにえた。

保も証言した。

彼女は最まで、

穂が帰るところを見たとっていた」

と言った。

警察に最初に聞かれた、森から、

分に帰ったやろ」

と言われ、

自分の記憶までそうだったような気がしてきたという。

由紀は傍聴席には来なかった。

代わりに佳代子へを送った。

枚あった。

佳代子は最初の枚だけ読んだ。

残りはかなかった。

修司は裁判に何度か来た。

佳代子とはれて座った。

事件の真相が分かったあと、は別居していた。

ある、裁判所の廊で修司が声をかけてきた。

「佳代子」

佳代子は止まった。

「何」

修司はしばらく言葉を探した。

「俺も、あんなことになるなんてってなかった」

佳代子は何も言わなかった。

「本当に、寮に遅れてるだけだとった」

まではね」

修司が黙る。

は?」

「……」

は?」

「……」

「次のの朝は?」

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修司は目を伏せた。

「俺が言ったら、全部俺のせいになるとった」

佳代子はその言葉を聞いて、やっと分かった。

ずっと分からなかったこと。

なぜ修司は、最初の晩だけではなく、そのも黙り続けたのか。

娘を守るためではない。

族を守るためでもない。

「そうね」

佳代子は言った。

「あなた、それが番怖かったんだね」

修司は顔をげた。

「違う」

「何が違うの」

「俺は穂のことも——」

穂がいなくなった夜、あなたが番守ったのは自分でしょ」

修司は何も言えなかった。

もし修司が最初の話で、

「娘はそちらにく予定です」

と答えていたら。

そののうちに寮から警察へ相談が入ったかもしれない。

佳代子が穂の友へ連絡したかもしれない。

ライブハウスへ辿り着いたかもしれない。

までにったか。

それは誰にも分からない。

父親の嘘が穂を殺した。

そこまでは言えない。

でも。

父親の嘘が、

穂を探し始めるを遅らせた。

それは消えない。

裁判が終わったあと。

佳代子は若葉女子寮を訪ねた。

吉川はまだ働いていた。

「これ」

吉川がさな封筒をした。

警察から返されたものだった。

305号の鍵。

「本来なら、ご本に渡すものでした」

佳代子は今度は受け取った。

たい属だった。

「部、今はもう別の方が?」

「もちろんです」

「そうですよね」

佳代子は鍵を握った。

穂がそこにんでいた未来は、どこにも残っていない。

んでいた記録も。

具も。

郵便物も。

ただ、使われなかった鍵だけが残った。

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