"消えた娘、七回の間違い電話" 第6話
「申し訳ありません。もっとく——」
「違います」
佳代子は首を振った。
「そちらは悪くありません」
事務には、の帳簿が何冊も並んでいた。
吉川が冊をした。
表には、
「入寮者連絡簿 平成」
とかれている。
。
穂。
その名があった。
16:58 本より話。
到着遅延。
19頃までには到着予定。
佳代子はそのを何度も読んだ。
「本だったんですよね」
「はい」
吉川は言った。
「私がました」
「どんな様子でしたか」
「普通でした」
「普通?」
「急いでいるじはありました。でも、怯えているとか、泣いているとか、そういうことはありませんでした」
「何て言いました?」
吉川はし考えた。
「し遅れます、までにはきますって」
「どこからかけてるか言いました?」
「いいえ」
「誰かと緒でしたか?」
「分かりません」
が帳簿を覗き込んだ。
「そのあと、を過ぎても来なかった」
「はい」
「それで自宅へ?」
「最初は台です。荷物の搬入の確認もありましたから」
吉川は別のをした。
話記録だった。
18:22
18:41
19:13
20:02
20:27
20:54
21:18
つの刻。
佳代子は見覚えがあった。
あの夜、その数字をつずつ計で見ていた。
が聞いた。
「ご主は何と?」
「最初は、本はいないと」
「回目以は?」
「話が通じないじでした」
「通じない?」
「こちらは穂さんの入寮のことで、と説しているのに、ご主は『分からない』『うちにはいない』と」
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佳代子は唇を噛んだ。
「最は?」
吉川は言いにくそうに目を伏せた。
「もう話しないでくれ、と」
帰りのので、が言った。
「捜査をやり直します」
佳代子は窓のを見ていた。
「どこからですか」
「の朝から」
「学じゃなくて?」
「ええ」
は帳をいた。
「お嬢さんは学にっていない。寮に入る予定だった。午分には本から連絡がある」
そこまでは分かった。
その先が消えている。
佳代子は聞いた。
「午分からまでのに、何があったんでしょう」
は答えなかった。
寮をる、吉川がつのさな封筒を持ってきた。
「これ、本当は入寮に渡す予定でした」
には鍵が本入っていた。
属の札に、
「305」
と刻まれている。
「穂さんのお部です」
佳代子は受け取れなかった。
鍵は結局、警察が預かることになった。
穂には、帰るとは別に、
もうつ、入るはずだった部があった。
でも、その扉をけることは度もなかった。
再捜査が始まって目。
警察は、穂が失踪当に使った能性のある駅をつずつ調べ直した。
半が過ぎている。
防犯カメラの映像は残っていない。
駅員の記憶もい。
それでも、荷物についてつだけ確認できた。
。
阪駅の荷物預かり所に、型の紺ボストンバッグが預けられていた。
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受取は来なかった。
、遺失物として保管され、その警察に届けられていた。
当は穂の物とは分からなかった。
は類。
洗面用具。
就職関係の類。
さな目覚まし計。
そして、封筒に入った現万円。
をて、しい活を始めるための荷物だった。
は言った。
「なくとも、最初から消えるつもりではなかった」
穂は荷物を駅に残した。
午分には寮へ話した。
には着くと言った。
それなのに、かなかった。
警察は、失踪の交友関係をもう度洗った。
半、誰も話していない物がいた。
佐伯保。
代の同級。
現歳。
梅田のレコードで働いている。
が保に会ったのは、だった。
最初、彼女は穂と半以会っていないと言った。
ところが刑事が、
「」
と付をした瞬、顔が変わった。
。
保は認めた。
「あの、会いました」
所は梅田。
は午すぎ。
佳代子も警察署へ呼ばれた。
保は佳代子を見ると、泣きした。
「ごめんなさい」
佳代子は何も言わなかった。
「なんで黙ってたの?」
「怖かった」
「何が?」
「私も、そんなことになるとってなくて」
保は何度もをすすった。
「穂、をるって言ってました」
「ってたの?」
「週くらいに」
穂は保に、
「やっとられる」
と話していた。
嬉しそうだったという。
母親が嫌いだからではない。
父親が嫌いだからでもない。
「このままにいたら、ずっと自分の予定を説しないといけない気がする」
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