みかん小説
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"消えた娘、七回の間違い電話" 第3話

佳代子は息を止めた。

「何を?」

修司は答えなかった。

穂が、何を言うなって?」

修司は鞄を置き、そのまま居へ入った。

その背を見ながら、佳代子は確信した。

夫は最初から何かをっていた。

そして娘が消えたあとも。

その何かを守るために、嘘をつき続けていた。

 

が過ぎた。

桜が咲き始めていた。

穂は、まだ見つかっていなかった。

最初のは毎のように話が来た。

警察。

聞社。

穂の友

「駅で似たを見た」

京で働いているらしい」

「男と緒にいるのを見た」

そのたびに確認した。

全部違った。

目になると話は減った。

目には、ほとんど鳴らなくなった。

修司は会社へく。

裕太は学く。

佳代子もパートを再した。

族は、穂がいない状態のまま活する方法を覚え始めていた。

ただつだけ変わらなかった。

佳代子は、穂の部を片づけなかった。

机のには、失踪みかけだった

壁には雑誌から切り抜いたの写真。

棚には、途まで読んだ文庫本。

何かをかせば、穂が本当に帰らなくなる気がした。

佳代子は居話台を掃除していた。

の横には、修司が仕事でも使う黒い帳が何冊か積まれていた。

古いものを捨てようとい、冊ずついた。

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その帳をいただった。

のページ。

付の横に、鉛話番号がかれていた。

06から始まる番号。

そのに、さく文字。

「寮」

佳代子のが止まった。

もう度見る。

寮。

それ以には何もない。

会社の寮かもしれない。

取引先かもしれない。

それでも胸が速くなった。

佳代子は受話器を取った。

番号を押す。

度。

度。

度。

女性の声がした。

「はい、若葉女子寮です」

佳代子は何も言えなかった。

「もしもし?」

「……あの」

喉が乾いていた。

と申します」

「はい」

「そちらに、穂というが……」

女性はし黙った。

「現の入寮者でしょうか?」

「いえ。半です。

々お待ちください」

保留音もなかった。

受話器の向こうで、引きしをける音がした。

をめくる音。

くで誰かが話している。

佳代子は子に座った。

しばらくして、別の女性がた。

配の声だった。

「お待たせしました。寮母の吉川です」

佳代子です。穂の母です」

が黙った。

その沈黙だけで、佳代子には分かった。

っている。

穂さんのお母様ですか」

「はい」

「警察の方ですか?」

「違います」

「そうですか……」

佳代子は受話器をく握った。

「娘をごじなんですか?」

「ごじというか……」

吉川は言葉を選んでいた。

、こちらへ入寮される予定でした」

で、何かが止まった。

「入寮?」

「はい」

「いつですか?」

です」

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佳代子はがった。

子がろへ倒れた。

?」

「はい」

「そのです」

「え?」

「娘がいなくなったです」

受話器の向こうが静かになった。

佳代子は続けた。

「娘、そちらにったんですか?」

「いいえ」

ってない?」

「結局、到着されませんでした」

が震え始めた。

「でも、予約してたんですよね?」

「正式な続きも済んでいました。部も決まっていました」

「娘から連絡は?」

「ありました」

佳代子は息を止めた。

「いつ?」

々お待ちください」

またをめくる音。

「記録があります」

吉川の声がく聞こえた。

、午分」

佳代子は計を見るように壁へ目を向けた。

のない作だった。

「本から話。到着がし遅れる。午までには来る、と」

穂本

失踪したの午分。

まだきていた。

自分ので、しい部へ向かおうとしていた。

「それで……になっても来なかったんですか?」

「はい」

「どうしたんですか?」

「何度か、ご実へお話しました」

佳代子の指から、受話器が滑りそうになった。

に?」

「緊急連絡先として、ご自宅の番号をいただいていましたので」

「何回ですか」

「え?」

「何回、話しました?」

向こうで、またを確認する音がした。

しお待ちください」

佳代子は目を閉じた。

もう分かっていた。

それでも聞かなければならなかった。

吉川が言った。

「記録では、回です」

佳代子は何も言えなかった。

の夜。

分。

分。

分。

分。

分。

分。

分。

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