"濡れた水泳帽、7年後に暴かれた母の真実" 第10話
「らなかった。そんなつもりじゃなかった。お母さんに任せていた」
「ずっとそれだけだよね」
修は、妻を殺していない。
游泳馆の正にも、事故にも関わっていない。
それでも母のを、無限に使えるものだとっていた。
朝。
病院。
介護。
洗濯。
買い物。
父や美咲ができないことは、母がすればいい。
できないと言えば、族なのにと責める。
「お母さんが毎週泳ぎにくの、どうってた?」
美咲が尋ねた。
「気らしだとってた」
「私は、から逃げたいんだとってた」
「俺も、しはそうっていたかもしれない」
修は顔をげられなかった。
「でも、逃げたかったのは族からじゃなかった」
美咲は相談記録を閉じた。
「族ので、お母さんだけが自分じゃなくなることからだった」
*
葬儀には、朝泳会の元会員も何か参列した。
恵理は来なかった。
代わりにいが届いた。
【許していただきたいとはっていません】
【私は真理子さんが倒れているのを見ながら、自分の活が元に戻ることを恐れました】
【あのを失わないために、真理子さんの残りのを奪いました】
美咲はを最まで読んだ。
返事はかなかった。
破りもしなかった。
母の遺骨は、佳代が眠る墓とは別の所へ納めた。
父方のの墓に入れることを、美咲が望まなかった。
、母は度だけ、
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「んだまで、お義母さんの隣で世話をするのかな」
と冗談を言ったことがある。
その、美咲は笑った。
今になって、その言葉が冗談だけではなかったと分かった。
*
母の部を片づけていると、求報誌の切り抜きが見つかった。
内のさな弁当。
勤務は午から午。
週。
欄に、母の字でかれていた。
【・・なら働ける】
そのに、
【曜の朝は泳ぐ】
とある。
母が望んでいたしいは、きなものではなかった。
婚でも、い町への逃でもない。
週に働くこと。
に度、介護を休むこと。
曜の朝、だけ泳ぐこと。
それだけだった。
けれど族は、そのさえ母が勝に持つことを許していなかった。
事件の再捜査が始まってから、。
潮見プールは、しい運営会社のもとで再した。
辺健康ネットは解散した。
補助の正使用については、が返還を求め、関係者への捜査もめられた。
森川と野々は、母の事故のと証拠を隠した経緯について責任を問われた。
は最まで、
「殺すつもりはなかった」
と繰り返した。
その言葉を、美咲は否定しなかった。
殺すつもりはなかったのだろう。
ただ、助けるより先に守りたいものがあった。
団体。
仕事。
補助。
自分たちの評判。
そして、ここまで隠してしまった自分自。
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母の命は、そのすべてのへ回された。
*
佐伯恵理は、裁判で証言した。
母が泳いでいなかったこと。
階段から落ちたも話していたこと。
救急を呼ぼうとして、最にはやめたこと。
子と浴巾を濡らし、拖を排のくへ置いたこと。
証言を終えた、恵理は法廷ので美咲へをげた。
「何も言わなくていいです」
美咲が先に言った。
恵理はをげなかった。
「謝られても、今は受け取れません」
「はい」
「でも、証言したことまで無だとはいません」
恵理の肩が震えた。
「それだけです」
美咲は通り過ぎた。
許したわけではない。
同したわけでもない。
ただ、恵理の恐怖を理解することと、を許すことは別だと分かるようになった。
*
父との関係も、すぐには変わらなかった。
修は以より事をするようになった。
洗濯。
事。
病院の予約。
だが美咲には、それが母への償いのように見えて苦しかった。
母がいないをえることで、
自分も反省していると証しようとしている。
ある、修から話がかかってきた。
「曜、墓参りにこうとう」
「うん」
「その、の片づけを伝ってくれないか」
以の美咲なら、予定を変えて帰った。
父では変だとった。
族だから仕方がないと考えた。
そのは、友と美術館へく約束をしていた。
特別な用事ではない。
別のにしても問題はない。
だからこそ、美咲はし迷った。
「今は無理」
にすと、父が黙った。
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