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"父の死後、姉に追い出された私が嫁いだ農家の秘密" 第19話

周忌の墓

季節は巡り、の肌寒い曜。 内の菩提寺において、父・寺正の周忌法が執りわれた。

本堂の焼台のに現れたマリ子姉さんとゆか姉さんは、の割烹での騒以来、私と目をわせようともしなかった。 法のの親族控で、片桐弁護士を伴った私が同席すると、の顔には隠しようもない居の悪さと苛ちが浮かんでいた。

片桐弁護士がテーブルのに広げたのは、裁判所の調委員会によって確定された【遺産分割調調】の正本だった。 「産鑑定士による厳正な査定の結果、ご実の建物の価評価額は千百万円。被相続の預貯残が百万円。計千百万円が遺産総額となります」

片桐弁護士は、然と並べられた領収の束を指し示した。 「女の美咲さんが過にわたり負担された介護実費、医療費のて替え分、ならびに寄与分として認められた額は、計百万円。これを遺産総額から優先控除した残余千百万円を、法定相続分に従い、等分いたします。すなわち――」

片桐弁護士の鋭い線が、姉を射抜いた。 「女・マリ子氏、次女・ゆか氏の相続額は、それぞれ約百万円。美咲さんの取得額は、寄与分とわせて千百万円となります。

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産を売却して現化する、美咲さんへの支払いが完するまで、名義変更の続きは切執できません」

「そんな……! 寄与分百万円ですって!?」 マリ子姉さんが鳴をげたが、片桐弁護士はピシャリと言い放った。 「、お父様の介護誌と計簿を完璧に記録されていた美咲さんの証拠能力は、庭裁判所でも極めてく評価されました。介護を完全に放棄されていたおに、これ以異議を唱える法根拠はありません」

は唇を噛み締め、悔しさに顔を歪めながら、調調に署名捺印せざるを得なかった。 実を売り払ってをに入れようと目論んでいた姉たちの元に残ったのは、税と解体費用を差し引けば、微々たる額に過ぎなかった。

法を終え、寺の墓へ向かう参。 私の隣には、仕ての良いスーツにを包んだ輔さんと、綺麗に髪を結いげたさんが並んで歩いてくれた。 輔さんのには、今の番田んぼで収穫された極の米が、純の呂敷に包まれて握られていた。

墓をで清め、米を供えてをわせる。 「お父さん。約束通り、お茶碗のお礼、ちゃんと言えたよ。……今の私にはね、こんなにも温かくて自の、しい族がいるからね」 線の煙が、の青空へと真っ直ぐに吸い込まれていく。

参ので、に乗り込もうとしていたゆか姉さんが、ふとを止め、私の方を振り返った。 その顔には、かつてのような傲な嘲笑は消え失せ、惨めな嫉妬と悔のが滲んでいた。 「……美咲。あのは……悪かったわね」 消え入るような声でそれだけ呟くと、ゆか姉さんは逃げるように助席のドアを閉めた。 りる姉たちのを見送りながら、私のには、憎しみもりも残っていなかった。 の痛みを踏み躙ってきる者と、の温もりを信じてきる者。 歩む世界が、完全に分かたれただけのことだった。

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