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"父の死後、姉に追い出された私が嫁いだ農家の秘密" 第13話

番田んぼの秘密

そのの夜過ぎ。 方への張を終えた輔さんが、のついた軽トラックで帰宅した。 遅い夕を終え、きりになった居で、私は昼に姉たちへ言い放った部始終を包み隠さず打ちけた。 遺産分割協議を突き返し、自分の権利を主張したこと。もう誰の顔もうかがわずにきていくと決めたこと。

輔さんは湯呑みを両で包み、扇の回る音を聞きながら、黙って私の話にを傾けていた。 そして、すべてを聞き終えると、く頷いて優しく微笑んだ。

「美咲さん、よく言ったね。偉かったよ」 「……私、きついこと言いすぎたかな」 「ううん。美咲さんは違ってない。鳴り散らすわけでもなく、相を憎むわけでもなく、ただ自分の尊厳を守るために凛とちがった。俺が惚れたのは、そういうさと優しさを持った美咲さんなんだよ」

輔さんは照れくさそうに首筋を掻き、それからし居まいを正した。 「……実はさ、美咲さんに、もうつだけずっと言えずにいたことがあるんだ」 「えっ? ま、まだ隠し事があったの……?」 構える私を見て、輔さんは苦笑いを浮かべた。

「悪い話じゃないよ。……美咲さんが、お父さんのために内の直売所で毎週曜に買っていた、宮田農園のキロの米袋。……あれ、何の米だったか覚えてる?」

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「ええ、輔さんの農園のお米でしょ? お父さんがすごく気に入って、毎週欠かさず買いにってたわ」

「あれね……実は、うちの『番田んぼ』の米だったんだ」

「え……?」 私は息を呑んだ。 番田んぼ。輔さんのき父・しげるさんが涯最も切にし、現も農薬を極限まで減らして作業で育て、般の流通には切さずに自消費と特別な贈答にしか使わない、最峰の極米。

「あの、収穫祭のテントでお父さんの話を聞いた、喉の通りが良い美い米を探している美咲さんの切実な姿を見てね。どうしても、番田んぼの米をべさせてあげたいとったんだ。だから最初の曜から、そのの朝に番田んぼの米を精米して、キロ袋に詰めて直売所に持ってったんだよ」

輔さんの告に、私の胸が激しく鳴った。 「付きい始めてからも、美咲さんは『お父さんのに入るものは、自分の働いたおで買いたい』って、まで米を届けるのを頑なに断っただろ? だから直売所のに頼み込んで、美咲さんが来るまで番田んぼの袋を取り置きしてもらってたんだ。値段も、普通の米と同じシールを貼ってもらってね」

父がくなるまでの。 毎週曜、仕事帰りに私が握りしめていたあのい米袋。 父がべるたびに『今も旨いな』と目を細め、命を繋ぎ止めていたあの粒粒は――輔さんが無言で注ぎ続けてくれた、のように静かで巨なだったのだ。

「どうして……どうして今まで教えてくれなかったの……」 私の瞳から、粒の涙がポロポロと畳のに落ちた。 「言ったら、美咲さん、悪いからって絶対に受け取らなくなるだろ? 親父がよく言ってたんだ。『番田んぼの米は、本当に切なにべてもらうための米だ』ってさ。お父さんが毎んでべてくれたなら、それだけで俺は分だったんだよ」

輔さんは私の震える肩を抱き寄せ、優しく背をさすってくれた。 私が父を介護していた孤独な々。私は決してきりではなかった。 目に見えないところで、私と父を支え、温かいで照らし続けてくれていたがいたのだ。

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