"朝八時までのヒーロー弁当" 第2話
枚の通
しず子はそのの夕方、台所のテーブルに帳簿を広げた。米代、油代、卵代、容器の洗浄に使う代。細かい数字をしていくと、昼の予約がなくなったに残るのは、夜勤けと番の客が買う朝の弁当だけだった。の建物は自分たちの持ち物で賃はかからないが、古い蔵庫の修理も、ガス設備の点検も、売がなくなればくのしかかる。
「度、理由を聞いてみようか」。しず子が言うと、正夫は帳簿の端を押さえた。「堂ができるなら、昼の注文が減るのは仕方ない。ただ、全部なくす必があるのかは聞いてもいい」。は翌朝、総務へ話をかけることにした。鳴ったり、昔の恩を並べたりするつもりはなかった。数を減らしてでも続けられるなら、仕込みの量を調してを守れるからだ。
翌、総務担当者は受話器の向こうで申し訳なさそうに言った。「決定は産管理部からています。私の判断では変更できないんです」。しず子が担当部の名を尋ねると、「浦幸部です。本社から型向けの産ラインをちげるために来られました」と答えた。正夫は横で聞きながら、名と付を帳簿の余にいた。
浦は歳。しい産計画と経費削減を任され、着任してもないうちに社員堂の設をめた。
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昼休みに社員が構へるを減らし、事の提供数を定させたいという会社側の狙いがあった。しず子もその理屈は分かった。の都との都がいつも致するわけではない。だからこそ、の取引を終えるなら度くらい話を聞いてほしかった。
、しず子は総務へいを渡した。昼の予約を半分にする案、夜勤者向けの朝に切り替える案、必なら営業許証や調理順を見てもらう用があること。正夫は文章をくのが苦だったが、最のだけ自分でいた。「べるに迷惑がかからない形を、緒に考えたいといます」。しず子はそれを読んで、黙って封筒を閉じた。
返事を待つにも、堂の事はんだ。昼休みには事業者のが入りし、い壁の内側にテーブルや子が運び込まれていく。若い社員たちはしいメニューの話を楽しそうにしていた。しず子は客に「堂ができるんだってね」と言われるたび、「温かいものがべられるならいいね」と返した。自分たちのを客に背負わせるのは違うとっていた。
堀だけは、しず子の返事のさに気づいた。「昼の分、なくなるのか」。しず子が頷くと、堀はしばらく黙っていた。「俺たちは弁当を買う所がつ減るだけだが、おには仕事そのものだな」
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。正夫は「働く所が変わることもあるさ」と言い、堀の包みにいつもの卵焼きを添えた。堀はそれ以聞かなかったが、翌から班の若い者にの営業を確かめるようになった。
、総務から話があった。しず子はエプロンでを拭いて受話器を取ったが、返事は「既に決定した事項なので、個別の調はできません」というものだった。朝の提案についても、現点では会社として検討しないという。正夫は話を代わらず、横で静かに聞いていた。通話が終わると、しず子は受話器を置くをしだけ震わせた。
「は返してもらう必はない。控えはある」。正夫はそう言って、帳簿のに挟んであった複写を取りした。そこには、が提案した内容と提が残っている。争うための証拠というより、何も言わずに諦めたわけではないと、自分たちで確かめるためのだった。しず子はその控えを透な袋に入れ、営業許証の写しと緒に引きしへしまった。
末がづいた朝、のの内側にの幕が張られた。堂の業式が翌に迫っていた。正夫は最の予約分の米を研ぎながら、昼の弁当箱を数えた。使った箱は、洗って乾かせばまたも使える。だが、そのを誰が注文してくれるのかは、まだ決まっていなかった。