"忘れたコートが教えてくれたこと" 第14話
は全部嘘だったのか
婚約を解消してしばらくの、私はつのことを何度も考えた。
博とのは、
全部嘘だったのだろうか。
答えは、たぶん違う。
彼は私を好きだったとう。
私も彼を好きだった。
楽しかったは本当にあった。
病気をしたに病してくれた。
仕事で落ち込んだ、夜まで話を聞いてくれた。
母の誕に緒にプレゼントを選んでくれたこともある。
それらを全部、
から起きたつの裏切りのために、
最初からなかったことにする必はないとうようになった。
ただし。
していたことと、
信頼できることは同じではなかった。
博は私をしていた。
それでも、
会社と母親と自分のを守るためなら、
私のを回しにできた。
そこが決定だった。
もし彼が最初から詐欺師だったなら、
話はもっと簡単だった。
騙された。
逃げた。
終わり。
でも現実はそう単純ではない。
優しいでも、
自分の都が悪くなった、
相の権利を軽く扱うことがある。
族いに見えるが、
自分の族を守るためなら、
族になる予定のを犠牲にすることもある。
その矛盾ごと、
博というだった。
だから私は、
彼を憎み続けることをやめた。
許したわけでもない。
戻るつもりもない。
ただ、
もう私のには必のないだと考えるようになった。
ある夜、恵美と事をしているにその話をした。
「最、博のこといしても、ほど腹たなくなった」
恵美はワインをんだ。
「たったもんね」
「うん」
「じゃあ許した?」
私は首を横に振った。
「違うとう」
「じゃあ何?」
し考えた。
「私と関係ないになってきた」
恵美は笑った。
「それ、番いいやつじゃん」
私も笑った。
っているは、
まだ相に自分のの部を使っている。
博がどうっているか。
幸子さんが悔しているか。
会社がどうなったか。
以はそれが気になった。
でも今は、
週末に何をべるか。
次の休みにどこへくか。
仕事で何を任されるか。
そういうことのほうがずっと切だった。
自分の活のに、
笠原がいなくなった。
それこそが、
本当に縁が切れたということなのかもしれなかった。