"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第20話
歳の質問
双子の歳の誕は、松さんので祝った。庭には根の葉が揺れ、台所には母が作ったちらし寿司が並んでいた。幸は休暇をわせて戻り、朝から飾りつけを伝った。はの輪飾りを指さして「ここ、もっとピンク」と注文し、陸はを追いかけてり回った。私はその景を見ながら、の産の部をいしていた。
あの頃、私はを抱えてを終えるだけで精いっぱいだった。夫は帰りが遅く、をけばの話ばかり。松さんが危篤だと聞かされたには、もう誰を信じればいいのか分からなかった。今、目のの松さんは歳になり、誕のろうそくを子どもたちと緒に数えている。私は彼女の元気な声に、何度も救われてきた。
事のあと、がに「パパはどうして、うちでねんねしないの?」と聞いた。幸は箸を止め、私を見た。私は以から、子どもたちにどう説するか考えていた。「お父さんはお仕事の所がいの。それに今は、別のおうちで暮らしているんだよ」と答えた。は「じゃあ、また来る?」と聞き、幸が「来るよ」と言うと、したようにうなずいた。
そのあと幸が「緒にめたらいいな」と言いかけたので、私は目で制した。子どもたちの期待を使って、私へ結論を迫ってほしくなかった。
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幸は気づいてを閉じ、代わりに「次は公園で自転の練習をしよう」と話した。私はさく息を吐いた。なら、夫はそので私を責めていたかもしれない。
松さんはと陸に、さな畑の区画を用してくれていた。が種をまくと、幸はしゃがんでをかけるのを伝った。「をやりすぎると根がくなるんだよ」と祖母が教えると、夫は真面目に聞いていた。私はその横顔を見て、誰かを支えることは全部を代わりにしてあげることではないのだと、改めてった。
午、親戚の枝さんが顔をした。幸は以借りた万円をすでに返しており、枝さんは受け取ったことを松さんにも報告していた。「あのときは本当に驚いたよ」と笑いながらも、彼女は私に「子どもたちのためにも、そろそろ許してあげたら」と言った。私はすぐに返事をしなかった。悪気がないのは分かるが、決めるのは私だった。
すると松さんが、台所から声をかけた。「枝さん、乃ちゃんが決めることだよ。子どもがいるからって、何でもさせちゃいけない」。枝さんはし驚き、「そうね、余計なことを言ったわ」とをげた。私は松さんに謝した。夫をかばうのではなく、私が選ぶ権利を守ってくれたことが嬉しかった。
帰り際、幸は私に「今、余計なことを言いそうになった」
と謝った。「子どもたちが楽しそうだったから、俺もつい……」。私は「楽しそうだったのは本当だよ。でも、それと私たちが緒に暮らすかは別」と答えた。夫は「分かってる」と言い、と陸の靴をそろえた。さなだったが、以よりずっと自然だった。
夜、子どもたちが寝たあと、私は歳の誕の写真を見返した。幸が笑い、松さんが根を抱え、母がケーキを切っている。誰も完璧ではない。けれど、写真のの私は、夫の嫌をうかがう顔をしていなかった。そのことに気づいたとき、私は初めて、今の暮らしを自分から考えてみようとった。