"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第15話
に乗るの
幸が産加で働き始めて半が経った。最初のかは腰が痛いと毎のように連絡してきたが、やがて魚の種類や揚げの刻を話すようになった。達夫さんからは「を守るし、仕事も覚えてきた」とだけ報告があった。内だからと甘く評価するではないことをっていたので、私はそのい言葉を信じた。
方で、夫が借を返すために転職したからといって、私の活が急に楽になるわけではなかった。双子は歳を迎え、歩き始めると目がせなくなった。私は保育園の申し込みをめ、勤務先と復職期を相談した。母や松さんの助けを借りながら、子どもたちの活を自分のでえることに集していた。
先、達夫さんから幸へ、数かの航を伴う員の仕事について打診があった。経験者の補助として乗り、必な講習や健康診断を受けたうえで、正式に契約するという話だった。収入は陸の仕事より増える能性があるが、候や漁獲にされる部分もある。幸は条件を持ち帰り、私にも面を見せた。
「どうう?」と聞かれ、私は「あなたが続けられるなら、選んでもいいとう」と答えた。「でも、に乗ったら全部許されるわけじゃないよ」。夫はうなずいた。私は活費の振込を自でうこと、借の返済記録をごとに共すること、子どもたちの緊急に連絡を取れる方法を決めることを求めた。
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仕事の選択と、父親としての責任は切りせなかった。
私は、夫がへているの連絡先を枚にまとめた。の会社の緊急窓、達夫さんの連絡先、帰港予定が変わったときの確認方法。夫がいないと困る続きがないかも洗いした。以は『そのうち何とかなる』という言葉を信じていたが、今は具体な準備がにつながる。幸も初めて、自分のが族へ何を残すか考えているようだった。
契約の、幸は私の座から使ったについて、返済の約束を面にした。法律相談で確認した内容に沿って、百万円の返済方法と振込記録の扱いを記した。夫は「信用してないんだな」と言いかけ、途でを閉じた。私は「今は、信用しなくても確認できる形が必なんだよ」と答えた。
航の夕方、幸は双子に会いに来た。陸は夫の子をつかみ、はその横で靴を脱いでいた。夫はを交互に抱き、「しばらく会えないけど、帰ったらまた遊ぼう」と言った。まだ言葉のを理解できない子どもたちは、ただ笑っていた。その無邪気さを見ていると、夫が失ったのきさをじた。
子どもたちが眠ったあと、幸は「俺、また失敗するかもしれない」と言った。私はにった。以の夫なら「もう絶対に丈夫」と言い切っていたはずだからだ。
「失敗しそうになったら、隠さず相談して。私が何でも助けるわけじゃないけど、嘘をつかれるよりはずっといい」。夫は静かにうなずいた。
翌朝、港にはまだいが残っていた。達夫さんが乗の確認をしている横で、幸は私へ「ってくる」と言った。私は「気をつけて」と返した。夫の背を見送りながら、これが族の再発になるのか、それとも別々のへ向かう途なのか、まだ分からなかった。ただつ、私自の活を止めて待つことだけはしないと決めていた。