"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第13話
元に戻りたい
変化はまっすぐにはまなかった。別居からかが過ぎた頃、松さんから「幸が昨、仕事の帰りに寄りした」と話があった。本は最初、友に会ったと説したらしい。けれど松さんが何気なく尋ねた競馬の催を、幸は妙に詳しくっていた。問い直されて、馬券売へったことを認めたという。
私はその話を聞き、すぐには夫へ話しなかった。と陸の夕飯を終え、を寝かせてから、約束していた支払記録を確認した。今の活費は振り込まれていたが、本の遣いから万円を賭けていたらしい。額がさいから問題ない、とはえなかった。嘘を隠すが戻ってきたことのほうがだった。
翌、松さんので話をした。幸は「万円だけだよ。借は増やしてない」と言った。私は「万円を使ったことだけを話しているんじゃない」と答えた。「かないと約束した所へき、聞かれるまで隠した。私が番困っているのはそこ」。夫は腕を組み、しばらく黙っていた。
幸は「よりずっとしてる」と繰り返した。私は、という言葉に引っかかった。競馬へかないことを、族にしてあげている親切のように考えているのなら、いつかその見返りを求めるだろう。「しているだけの約束なら、私はできない」
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。そう言うと、夫は初めて、自分が何を守るために変わろうとしているのか分からなくなったような顔をした。
「俺だって息抜きくらいしたいんだよ」。幸が声をめた。「仕事して、畑やって、返済して。いつまでこんな活なんだ」。私はその言葉を聞いて、夫がまだ『罰を受けている』とっていることに気づいた。「誰かに閉じ込められているんじゃない。自分で使ったおを、自分で返しているんだよ」。
松さんは湯のみを置き、「嫌なら畑はやめていい」と言った。幸が驚いて顔をげる。「ここにむのも、仕事を変えるのも、あんたが決めることだ。ただし、乃ちゃんのを使った事実も、借りたも消えないよ」。夫は返事をしなかった。祖母は続けた。「私が見張っていれば直るとったなら、私も考えが甘かったね」。
私は週末の面会を度見送ることにした。子どもたちへの支払いは続けてもらうが、私との話しいを先にする。「会わせないための罰じゃないよ。あなたが嘘をついたままなら、して子どもたちを預けられないから」。幸は満そうだったが、最終にはうなずいた。私は松さんへも、夫の監をで背負わないでほしいと頼んだ。
数、幸から『相談窓へもう度ってきた』と連絡が来た。以は回けば終わるとっていたが、定期に相談を続けることにしたという。
私は『分かった』と返した。信じるかどうかは、しばらくを見てから決めるつもりだった。夫が自分の問題に自分で向きわない限り、誰が隣にいても同じことが起きる。
その週末、松さんが私につ提案をした。「幸が本気で働き方を変えたいなら、紹介できる仕事があるんだ」。彼女の甥の達夫さんが、沿いの町で漁業と産加の仕事をしているという。ただし、甘い仕事ではないし、採用するかどうかは達夫さんが決める。「私の顔で入れてもらうんじゃない。本に面接へかせるよ」。