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"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第8話

通帳に残る跡

へったのは、産からかが過ぎた週だった。母に双子を預け、私は通帳と分証を持って窓に座った。事を説すると、担当者はの履歴を確認し、カードの利用止と暗証番号の変更を配してくれた。夫に暗証番号を教えていたため、がすべて補償してくれるとは限らないとも説された。

私はそれを承していた。必なのは、これ以勝に引きされない仕組みと、どのに何が起きたかを示す資料だった。担当者は定期の取引細の発方法を案内してくれた。私はしい座を作り、育児休業付などの振込先も順次変更することにした。座の印鑑と通帳は、夫が入りしない母のにに預けた。

履歴を並べると、妙な規則が見えた。料の直に数万円、競馬催のに万円以。夫が計へ入れると約束したには入がなく、代わりに私の座から引きされている。私が病院で静にしていた週には回もがあった。私は枚のに付と額を転記し、計簿の記録と突きわせた。

細にはしたATMの所も記されていた。病院のくではなく、駅や競馬へ向かう途のがい。私は夫が「病院の支払いを頼まれた」と言ってカードを持ちしたをいし、計簿の余にその付をき加えた。

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数字だけなら記憶違いと言い逃れできても、所と刻が並ぶと説は難しくなる。私は責める言葉より、確かめられる記録を増やすことにした。

「あなたが払ったと言っていた気代も、私の座から引き落とされてる」。夜、松さんのにいる夫へ話で伝えると、幸は「そこまで覚えていない」と答えた。私は「覚えていないなら細で確認して」と言った。相の記憶にわせて話を終わらせるのをやめた。これまで何度も『そのうち返す』という言葉で、数字の話が消えていたからだ。

法律相談で紹介された窓へも連絡し、夫婦での無断引しと返済について相談した。担当者は、私の座からたおと夫が個で負った借を分けて理すること、返済のを作るなら具体な額と期を記することを勧めた。夫婦だから自に相の借を背負うわけではないと聞き、私はようやく落ち着いて数字を見られた。

私が別の座を作ったことを夫に伝えると、幸は「夫婦なのに信用されてないみたいだ」と言った。私は「今は信用できないから、こうしている」と答えた。言葉にしてみると、ったほど苦しくなかった。信頼は、相の希望にわせて与えるものではない。何をされても疑わずにいることが優しさだとっていた自分を、私はしずつ変えたかった。

その晩、私は『百万円』といたの横に、子どもたちの分の費用を並べた。ミルク、おむつ、類、健診にく交通費、保育園へ通い始めたときの備品。額をつずつくうちに、失ったおのみが変わった。これは私が独代から貯めたおであり、これからの暮らしを支えるためのおでもあった。

翌、幸から枚の写真が送られてきた。古い財布のに入れていた、競馬の投票券の束だった。『全部捨てた』というい言葉が添えてあった。私は返事をしなかった。を捨てることと、嘘をつかずに活することは同じではない。それを夫が本当に理解するまで、私はだけを見ると決めた。

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