みかん小説
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"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第3話

産声の夜に

母の由紀子に話したのは、その直だった。「今すぐ来て」と言えば配させると分かっていたが、でを抱えたまま夫と向きうのは危険だとじた。母は理由を聞かずに「分でく」と答えた。私は夫に、母が来るまでの話を続けないこと、子どもたちので声を荒らげないことを告げた。

由紀子が到着すると、を抱きげて寝へ連れていった。私の顔を見て何か察したらしく、「話はあとで聞くから、まずをみなさい」と言った。母にられたくないとっていた夫婦の問題を、とうとう隠せなくなった。それでも母がいてくれることで、私は初めて通帳の数字に集できた。

はかにわたっていた。を妊娠して仕事を休み、私が病院で静にしていた期から始まっている。あるは万円、別のは万円。活費として渡していた現とは別に引きされていた。私は細を枚ずつ写真に撮り、夫へ「この、どこにいたの」と尋ねた。

「覚えてないよ。何か買ったんだろ」。夫は答えを曖昧にしたまま、スマートフォンを握り直した。私は付のつを指さした。週、双子がまれただ。午分、競馬の最寄り駅にあるATMから万円が引きされていた。私はそのの刻を、忘れることができなかった。

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陣痛がくなり始めたのは昼過ぎで、母と緒に病院へ向かった。夫には何度も連絡したが、話はつながらなかった。夕方には術が必と説され、夜、がまれた。護師に「ご主は来られますか」と聞かれるたび、「仕事が忙しいみたいです」と私は答えていた。

術へ向かう直、私は母に「幸から連絡があったら、子どもたちがまれることを伝えて」と頼んだ。母はうなずき、私のを握ってくれた。護師として術の流れはっていても、患者として横になるとは消えなかった。夫にそばにいてほしかったのは、何かをしてもらうためだけではない。族が増える瞬を、同じ気持ちで迎えてほしかったのだ。

「仕事で来られなかったんじゃないの?」夫は黙った。私は細の付をもう度示した。「なくとも分には、会社かられた所にいたよね」。夫はようやく「友達に会ってた」と言ったが、友達の名は言わなかった。嘘をねられるほど、私のから問い詰めたい気持ちが消え、代わりに確かめたいことだけが残った。

私は夫の料細も見せるよう求めた。以は取り万円ほどだったが、今は転職して万円あるはずだった。それなのに毎「先に使った」と言い、計には数万円しか入れていない。

夫は「全部管理されるのは嫌だ」と抵抗した。私は「今すぐ説できないなら、別々に暮らすことも考える」と答えた。

夕方、松さんがきな買い物袋を提げてやってきた。には畑の根と、親戚から受け取ったという封筒が入っていた。夫は祖母の顔を見るなり「もう終わった話だろ」と言ったが、松さんは座ってから封筒をけた。「終わっていないよ。枝さんが、あんたに渡した見の控えを持ってきてくれたんだ」。

封筒には付のかれたメモと振込記録があった。夫は祖母の入院を理由に、親戚からもを集めていた。私が万円を渡したよりから、同じ嘘を繰り返していたのだ。松さんは夫を見つめ、「おの父さんが残したは、どうした」と尋ねた。その言で、夫の肩が目に見えて落ちた。

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