"結婚初夜、義母を助けた私を殴った夫の誤算" 第3話
義母が残した記憶装置
さんから渡された記憶装置は、のひらに収まるほどさかった。
けれど、それを恵子さんが週に秘密で送ったと聞いた瞬、私にはの分の沈黙が凝縮されているようにえた。
「は見たんですか?」
「試した。ただ、かなりい保護がかかっている。うちの報管理担当でも、資料を壊す危険なくくのは難しかった」
封筒にはい付箋が入っていただけだという。
《私に何かあったら、直美さんへ》
私は喉が乾くのをじた。
恵子さんは私の仕事をっていた。
正調査を専にする会計士で、複雑な資移や隠された帳簿を調べている。それを婚約に何度か話したことがある。
あのは、族の誰かではなく私ならへたどり着けるかもしれないと考えていたのだ。
「どうして私だったんでしょう」
「今なら分かる気がする」
さんは答えた。
正典にはと脈がある。
翔太は父親の側にいる。
彩佳も裕福な実に活のくを依している。
族のに、恵子さんがして頼れるはいなかったのだ。
その夜、さんからいくつかの話を聞いた。
恵子さんの体に自然な痣があったこと。
族の集まりへ突然来なくなることがあったこと。
理由を尋ねても「転んだ」「体調が悪かった」としか言わなかったこと。
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そして、「精神に定だから薬が必だ」と族から説されてきたこと。
どれもつだけなら説がつく。
けれど並べると、別の形が見えてくる。
翌朝、私はさんの法律事務所にある隔された作業を借りた。
記憶装置そのものを壊さないよう複製を取り、部から切りした環境で内容を確認する。
細かな順をね、保された資料の構造を慎に調べていった。
そのにも私の携帯話は震え続けていた。
正典と翔太は、晩で別の戦いを始めていた。
元のネット記事や匿名掲示板に、ほぼ同じ筋きの記事が並んでいた。
《結婚式直に嫁が錯乱》
《資産に嫁いだ女性会計士が夫へ暴力》
《義母を無理に連れし所を隠す》
匿名の関係者が、「以から緒が定だった」と証言している記事まであった。
私が何も続けてきた護術も、「を傷つけるための訓練」のようにかれていた。
私は記事を保した、携帯話の通を切った。
「反論しないのか」
さんが聞いた。
「今はしません」
「なぜ?」
「反論させるのが目だからです」
正を隠す企業でもよくある。
相の目のできな騒ぎを起こす。
評判を傷つけ、反論や謝罪へを使わせる。
そのに帳簿や資産を別の所へ移す。
私は仕事で何度も見てきた。
「が本当に隠したいものは、私の記事じゃありません」
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私は記憶装置へ目を戻した。
「こっちです」
しばらくして、ようやく資料を閲覧できた。
画面いっぱいにフォルダ名が現れる。
最初に目についたのは、法だった。
ケイマン諸島。
キプロス。
ルクセンブルク。
実体を確認しにくい会社が何層にもつながり、その先にの産会社や資産管理会社があった。
私は送記録をいた。
数分、翔太から聞いていた「成功物語」が崩れ始めた。
翔太は、自分の力で産会社をきくしたと話していた。
しかし創業期の資のくは、恵子さんが結婚から所していた相続財産からていた。
正典は財産管理を任されたを利用し、いをかけて資産を別会社へ移していた。
翔太も経営へ入ってから、その仕組みにく関与している。
さらに「医療」と名付けられたフォルダをいた、私はを止めた。
恵子さんを診ていた医師への継続な支払い記録。
処方記録。
資産移転の付。
そのつが、自然なほどなっていた。
「さん」
「何だ?」
「薬が増やされた直に、きな資産移転が何度もわれています」
恵子さんの署名も残っていた。
けれど、通常の署名と比べると線が震え、形が崩れているものがある。
跡だけで制されたとは断定できない。
それでも、暴力の記録、薬の増量、の資産移転。
偶然というにはなりすぎていた。
資をさらに追った。
数億円ではなかった。
数億円でも終わらない。
私は画面を見ながら、ゆっくり息を吐いた。
「これ……庭内暴力だけじゃない」
さんも言葉を失っていた。
妻の体を支配する。
判断力を奪う。
財産をかす。
そして抵抗すれば暴力を使う。
ので続いていたのは、度の夫婦喧嘩ではなかった。
それは、恵子さんというの女性を閉じ込めるために作られた、仕組みだった。