"結婚初夜、義母を助けた私を殴った夫の誤算" 第2話
病院で待っていたもの
横浜内の総病院へ到着すると、私は恵子さんを支えながら救急受付へ向かった。
「義母が夫から首を絞められました。呼吸が苦しそうです」
受付の護師は恵子さんの首元を見ると、すぐに表を変えた。子が運ばれ、恵子さんは処置の奥へ消えていった。
私は待のい子へ座った。
を運転しているは議なくらい静だったのに、になった途端、指先が震え始めた。頬もまだを持っている。
を見る。
結婚指輪がい照を反射していた。
数、私はこの指輪をはめてもらい、幸せそうに笑っていた。
その夜のうちに夫から殴られた。
あまりに現実がなく、笑いそうにさえなった。
分ほどして、自扉がいた。
正典と翔太が入ってきた。
翔太のには応急の固定が施され、胸のへ吊られている。そのろにはのスーツを着た男がいた。
名刺を見るから分かった。
の顧問弁護士だった。
「佐藤直美さんですね」
が私のへった。
名刺を隣の子へ置き、淡々と話し始める。
今夜の来事を部へ話せば、翔太への傷害について法責任を追及する。私の仕事の信用についても、必な措置を取る。
私が公認会計士であることも調べてあった。
「職業倫理に関する申てがわれれば、資格にも響がる能性があります」
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「私を脅しているんですか」
「事実をお伝えしています」
その横で正典がをいた。
「でも裁判に付きわせることはできる」
声は静かだった。
「もも、こちらにはある。君が耐えられるとうのか」
私は返事をしなかった。
腹がたなかったわけではない。
ただ、それ以にはっきりしたことがあった。
正典は病院へ来てから度も、妻の容体を尋ねていない。
翔太も同じだった。
妻は首を絞められ、母親は救急処置を受けている。
それなのに、このたちが最初にしたことは、私のを塞ぐことだった。
次に翔太がへた。
さっきまでのりを消し、私がっていた優しい恋の顔を作っていた。
「直美。今は疲れすぎたんだよ」
「……」
「式の準備もずっと変だっただろ? 父さんは母さんの具が悪くなったから支えていただけだ。そこへ君が突然入ってきて、勘違いして……」
私は夫の顔をじっと見た。
「やめて」
翔太が黙った。
「私の記憶をき換えようとしても無駄」
「直美」
「私は何を見たか、どこに誰がいたか、順番に説できます」
翔太はさく息を吐いた。
すると今度は作戦を変えた。
「し休んだ方がいい。りいの病院がある。精神科の専医もいる。僕が緒にくから」
優しい言い方だった。
けれど目はらかだった。
私を「結婚式の疲れで錯乱した嫁」
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にする。
そうすれば、私の証言そのものを信用できないものへ変えられる。
私はちがった。
「あなたたちが何をしようとしているか、よく分かりました」
顧問弁護士のが私を見た。
私は続けた。
「私は仕事で何億円、何億円という正を調べています。相がどれだけきな会社でも、証拠をつずつ積みげれば嘘は崩れる」
正典の目が細くなった。
「私の資格を脅しに使うなら、の会社も同じように調べます」
「何だと?」
正典が歩づいた。
そのがわずかにがる。
私はすぐに受付へ声をかけた。
「警備員さん、来てください」
待のたちが振り返った。
「義母への暴力について警察へ話します。このたちを処置へづけないでください」
病院側はすでに恵子さんの状態から庭内暴力の能性を把握し、警察へ連絡していた。
警備員がへ入り、正典たちは処置区域からされた。
そこへ、今度は女が駆け込んできた。
翔太の妹、彩佳だった。
披宴で着ていた着物のまま、髪も化粧も崩れている。
私を見るなり、声をげた。
「お兄ちゃんに何をしたの!」
財産目当てで嫁いだ。
母を連れった。
兄を突然襲った。
翔太から聞かされたらしい話を、息を切らしながら並べていく。
私は言い返さなかった。
彩佳のろから入ってきた男性を見つけたからだ。
彩佳の夫、。
刑事事件や企業正にも詳しい弁護士だった。
さんは数秒だけ周囲を見た。
警備員。
警察官。
私の赤くなった頬。
翔太の固定された。
そして、鳴り続ける彩佳。
やがて妻の腕へ静かにを置いた。
「彩佳。で待っていなさい」
「でも、この女が――」
「今の君は、翔太君から聞いた話しからない。ここは病院だ」
彩佳は満そうに私を睨んだが、さんの表を見て、やがてへていった。
自扉が閉まる。
さんは私の向かいへ座った。
「ほど、翔太君から話があった」
「何て?」
「君が突然おかしくなって族を襲ったと」
「信じたんですか」
さんはく笑った。
「いや。説が妙にいすぎていた」
そして声を落とした。
「それに、恵子さんは週、私の事務所へある物を送ってきている」
着の内側から、さな属製の記憶装置を取りした。
私ののひらへ置く。
「緒にいメモが入っていた」
さんは私の目を見た。
「『私に何かあったら、直美さんへ渡してください』」
たい属が、急にくじられた。
その瞬、初めて理解した。
恵子さんは今夜突然、助けを求めたのではない。
ずっとから。
誰かが扉をけてくれるを待っていたのだ。