"3年眠った財閥社長を叩き起こした3歳の道士" 第3話
黒尽くめの部とピンクの神像
病院から陸の本邸へと連れ帰られた兮兮は、案内された広な敷と宮殿のような敷に、目を黒させていた。
「さあ、兮兮。本館でもれでも、好きな部を選びなさい。気に入った部を丸ごとあんたにあげるよ」
奥様が目を細めて招きする。兮兮は迷うことなく、本館の最階、な黒漆塗りの両き扉を指差した。
「兮兮、ここがいい!」
案内していた執事の顔が変わった。
「お、お嬢様……そこは当主である男坊様……陸晏蕭様のプライベート・スイートでございます」
「陸晏蕭の部なの? ……じゃあ、やっぱりいらない」
「おい」
背から、着替えを済ませた晏蕭が静かに歩み寄ってきた。仕ての良い黒いシルクシャツにを包み、鋭い目で娘を見ろす。
「なぜ実の父親をフルネームで呼ぶ。しは礼儀というものを弁えろ」
「じゃあ、陸の男坊って呼ぶね!」
「なっ……」
叔父たちが背で噴きすのを必に堪え、奥様は嫌でを叩いた。
「いい呼び名じゃないかい! 親しみがあってよろしい! 兮兮、叔母ちゃんからはおづきの印に、の等に建つ階建てのオフィスビルを棟プレゼントしようね」
「奥様、お嬢様はまだ歳ですので法な名義変更が……」秘がや汗を拭う。
「名義が無理なら、毎のテナント料を全額この子の座に振り込みなさい! 今からここがあんたのだよ!」
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兮兮は腕組みをし、かれた部のをじっと見つめて眉をひそめた。
「んであげてもいいけど……この部、なんでこんなに真っ黒なの?」
部の内部は、壁、カーテン、特注の革張りソファに至るまで、徹底に漆黒と濃いグレーで統された、極めて無質で徹な空だった。
「ソファも黒くてくない。……変えなさい!」
「棚のも濃すぎて息が詰まる。……変えなさい!」
「テーブルも角くてくない。……変えなさい!」
「ベッドまで真っ黒! ……全部ピンクに変えなさい!」
「おい! 勝に俺の部のインテリアに指図するな!」
晏蕭の抗議を完全に無し、兮兮は奥様から渡された最ランクのブラックカードを掲げ、敷の使用たちに次々と指示をばしていった。
数、晏蕭がシャワーを浴びて部に戻ると、そこは完全に別世界へと変貌を遂げていた。
黒かった壁にはパステルピンクの蓋が吊るされ、な革張りソファのには巨なウサギのぬいぐるみが鎮座している。そして何より、部の央に飾られていた晏蕭の最も切な宝物——齢千の沈から削りされた、価数千万円の刀彫「関羽像」のに、兮兮がしゃがみ込んでいた。
「……貴様、何をしている」
晏蕭の額に血管が浮きがった。
振り返った兮兮の元には、真っつにへし折られた関羽の彫りの刀「青龍偃刀」
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が転がっていた。
「これ、邪魔だったから折っちゃった。あと、おじさんの顔が怖かったから、ほっぺをピンクに塗ってくしてあげたよ!」
名が魂を削って彫りげた威厳ある武神の顔は、蛍ピンクの絵の具でアンパンマンのようにチークを塗られ、完全にファンシーな置物と化していた。
「貴様ぁぁぁっ! これがどれほど貴な美術品か分かっているのか!」
「わざと壊したんじゃないもん! それにね、陸の男坊、この彫りの刀には悪いがこびりついてたの! このまま持ってたらおを失って、悪いに目をつけられて運気が崩れるところだったんだよ! 兮兮が折って厄を払ってあげたの!」
「ふざけるな! 誰にも躾を教わらなかったのか!」
「パパもママもそばにいなかったんだから、躾がなってなくて当然でしょ!」
堂々とき直る歳児に、晏蕭は痛を覚えてこめかみを押さえた。徹な帝王の威厳は、わずか半で々に打ち砕かれたのだった。