みかん小説
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"死んだ母を名乗る女" 第3話

父のと、消えた典

私の胸をよぎった吉な予は、過に起きた数々の事件によって、より層の真実を帯びていた。 千恵子叔母というは、肉親の幸やの匂いにすら、浅ましい欲望を剥きしにして群がるハイエナのような女だったからだ。

度目の決定な事件は、私が学を卒業して就職したばかりの、父・尾(たかお)が病に倒れてくなったのことだ。 元々病だった父の容態は急激に悪化し、闘病からわずからずで帰らぬとなった。 親戚や仕事関係者が集まった葬儀のに、数もの音信通だった千恵子叔母が、何わぬ顔で現れたのだ。

喪の襟元をだらしなく崩し、焼を済ませるや否や、叔母が真っ先に向かったのは、参列者がち入らない親族控だった。 兄の斗が審にってを追い、私と母に打ちした。 『母さん、叔母さんが控でカバンを漁ってるように見えたぞ』

母と共に控へ踏み込むと、案の定、叔母は親族が預けていたコートや提げバッグの隙を、血った目で物している最だった。 『あら……久しぶりね、姉さん。尾さんがくなって寂しいだろうとって、配して駆けつけたのよ』 々しい言い訳をにする妹に対し、母は徹に言い放った。 『私の配をする暇があるなら、自分の借をどうにかしなさい。

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男に逃げられてむ所も失ったって、親戚から噂を聞いているわよ』

母の撃に顔を引き攣らせた叔母は、そのから逃げるようにちった。 だが、本当の獄は、それから――母自が癌で倒れたに訪れたのだ。

母の病状がし、入退院を繰り返すようになった頃、どこから聞きつけたのか叔母が再び現れた。 『姉さんの介護を伝ってあげるわよ。その代わり、活費と謝礼を万円しなさい』 り目に祟り目とはこのことだった。 仕事を辞めるわけにいかない私と、京で働く兄。私たちは葛藤の末、背に腹は代えられず、叔母に事の補助を頼む契約を結んでしまったのだ。 母は『あの子におを渡すのは納得がいかない』と眉をひそめていたが、私たち子供に負担をかけまいと、悔しさを押し殺して受け入れてくれた。

そして――母が息を引き取った、の初。 通夜と告別式が執りわれた葬儀で、叔母は親戚同の信頼を完膚なきまでに踏みにじる凶に及んだ。

『ちょっと喉が渇いたから、お茶をもらってくるわね』 受付を伝っていた叔母は、の親族が会葬者の対応に追われていたわずか数分の隙を突き、受付の引きしに保管されていた典袋の束から、数分――現にして約万円を抜き取り、そのまま忽然と姿を消したのだ。

式が終わった、典帳の額と現の致に気づいた親戚同は騒然となった。 防犯カメラの映像には、典袋を自分のバッグへ素くねじ込み、に通用からちる叔母の姿が克に記録されていた。 くなった実の姉の典を盗み、棺にすがる子供たちの背を嘲笑うようにして逃した肉親。

『絶対に許さない……いつか必ず、あいつに相応の報いを受けさせてやる』 葬儀の裏で、兄・斗が拳を血が滲むほど固く握り締め、震える声で誓った言葉。 その以来、親戚の連絡を拒絶し、方をくらましていた千恵子叔母。 その忌まわしい記憶が、今、この放置された実ので、カチリと音をてて現実と噛みおうとしていた。

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