"死んだ母を名乗る女" 第2話
記憶のの勝な叔母
「先もここでお母様にお会いして、直接渡しでお届けしたんですが……」 池田と名乗る青は、困惑のを隠せない様子で元の配達端末に線を落とした。 「この区を担当してになりますが、私は何度か、この玄関先で『浅沼志保子です』と名乗るご婦から受領印をいただいていますよ」
「嘘よ……そんなの、絶対にあり得ないわ!」 私ののは、激しい混乱と警戒で渦巻いていた。 母がくなった、このは京で働く兄と私の共同管理となり、気や、ガスは掃除の便宜のために契約を継続していたものの、が定しているはずがなかったのだ。 に度、私が休に換気と掃除に来るだけで、平は戸を固く閉ざしていたはずの空き。 そこに、母の名を騙る「誰か」がしているというのか。
(まさか……この男、配達員を装った空き巣の見か、の詐欺グループのなんじゃないの……?) 疑暗鬼に駆られた私は、ずさりしながらスマートフォンを握り締めた。 しかし、その気な疑惑の底から、私の脳裏にの女性の歪んだ顔が、ドス黒い記憶とともに浮かびがってきた。
――母の妹であり、私の叔母にあたる、坂千恵子(さかぐち・ちえこ・歳)。
物ついた頃から、親戚同ので「絶対に子供をづけてはならない厄介者」
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として扱われていた、私のにおける反面教師そのものだった女だ。 千恵子叔母と初めて顔をわせたのは、私が学に入学したばかりのだった。 共働きで忙を極めていた母が、放課の私の面倒を見てもらうため、定職にも就かずブラブラしていた実妹の千恵子を、遣い銭を渡す条件でに呼び寄せたのが始まりだった。
『姉さん、お遣いいくらくれるのよ? バイト代くらいは弾んでくれないと割にわないわよ』 居のソファに寝転がり、テレビを見ながらせんべいを貪る叔母の姿。 母が『美咲の学事にも顔をしてあげてね』と頼んでいたにもかかわらず、授業参観や学習発表会のプリントを渡すたび、叔母は骨に嫌な顔をして丸めてゴミ箱へ投げ捨てた。
『何が学習発表会よ。ガキのくそな演奏なんか聞いて何が楽しいの? そんなのでぶのは馬鹿な親だけでしょ』
学だった私は、酷に笑う叔母の横顔を、ただ怯えながら見つめるしかなかった。 学へけば、周りの友達は両親や族に囲まれて誇らしげにを振っている。 教の隅で、誰の姿も見つけられないままで俯いていたあのの孤独と惨めさは、以が過ぎた今でも胸の奥をチクチクと刺す。 結局、の限界を迎えた私が母に泣きつき、激した母によって叔母はから叩きされた。
『度と敷居を跨ぐんじゃないわよ! 自分の姪にも注げず、おだけを毟り取ろうとするなんて、まるで詐欺師ね!』 母の号を背に、玄関先で私を睨みつけながら叔母が吐き捨てた言葉を、私は今でも鮮に覚えている。
『あんたなんか、絶対に許さないからね……!』
あの底れぬ執い目。 まさか……あの叔母が、母がくなったこのに、何わぬ顔で関わっているとでもいうのだろうか。