"一年後の請求書" 第15話
カウンターのの百万円
そのの夕方。 法律事務所から戻ってきた弁護士と神崎弁護士が、の受領印が鮮に押された振込受領証のコピーを、カウンターのに置いた。
「橘さん、確認が取れました。指定座へ、向昭雄氏より百万円、過なく着いたしました」 「……本当に、入ったんですね」 通帳アプリの画面に並ぶ、真しい桁の数字。 、理尽な居座りと侮辱に耐えかね、夜の内でキーボードを叩き続けたあのからの戦いが、完全に終結した瞬だった。
「お疲れ様でした、マスター」 ずっと内で見守ってくれていた常連の由里さんが、カウンター席からパチパチと温かい拍を送ってくれた。 「本当に、胸がすくような結末でしたね! あの男の子が泣き叫びながら引きずられていく姿、忘れませんよ」
佐々さんも、珈琲カップを掲げてニヤリと笑った。 「マスター、見事だったよ。に任せて鳴り散らすのではなく、相の好きな『ルール』と『契約』で完璧に包囲して仕留めた。……まさにの喧嘩の真骨頂だな」
「いえ……皆さんにご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした」 俺がをげると、弁護士が穏やかな笑顔で首を横に振った。 「橘さん、謝る必などありませんよ。あなたは舗の秩序と、のお客様の適な空を守るために、正当な自権を使されたのですから。
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……ところで、この百万円、どのように使われるおつもりですか?」
俺はカウンターの奥、使い込んできた業務用のミルやエスプレッソマシンを見渡した。 「まずは、スマートメーターの設置費用や弁護士費用の精算ですね。そして……残りの資で、内の空調設備を最の省エネ型に入れ替えようといます。あとは、豆の仕入れルートを広げて、お客様により美しいスペシャルティコーヒーを還元したいですね」
「素らしい」弁護士が目を細めた。 「悪ある居座り客から徴収した正当な対価が、善良なお客様のための温かな空へと還元される。……これこそが、法と契約が目指すべき最も美しい結末です」
その夜、俺はのシャッターをろした、奥の掛けブースのテーブルを、除菌スプレーで丹に磨きげた。 タコ配線の跡も、消しゴムのカスも、すべて綺麗に拭き取られた無垢の肌は、照のを浴びて温かく輝いていた。 から、この席には、珈琲のりをからしてくれる本当のお客様が座る。 そう確信しながら、俺は静かにのかりを落とした。