みかん小説
本棚

"宅配箱を盗む隣家の子…餌を入れた翌朝、母親が激怒" 第5話

軒目の送り状

葉ひかりさんは、駅で美容を営む代の女性だった。翌朝、ので会うと、彼女はさな帳をいた。「最初は配達員さんのミスだとっていたんです。ところが、母に贈ったはずのストールまでなくなって」。帳には、紛失した付と品名、配達会社への問いわせ番号が几帳面にかれていた。俺と同じように記録を残していたがいると分かり、し救われた気がした。

葉さんのは俺の軒先にある。彼女が見せてくれた配達写真には、の内側に置かれたい箱が写っていた。盗まれたのはストールのほか、、イヤホン、化粧品。どれもさく、持ち運びやすいものだった。「それで、こんなものまで見つけたんです」。葉さんはスマートフォンを差しした。フリマアプリの品画面に、見覚えのある青いストールが載っている。

「同じ商品はいくらでもあるでしょう」と俺が言うと、彼女は写真を拡した。端に、縫いのさな黄いが見えた。「母の誕に刺繍を入れてもらったんです。に確認したら、この位置に入れたのは私の注文だけだそうです」。品者のアカウント名は匿名だったが、背景の材と壁には妙な既があった。以、千晶が町内会の集まりの写真を投稿したときの、あのの廊に似ていた。

広告

俺たちは画面を保し、アプリの運営に事を伝えることにした。買い取って証拠を確保する案もたが、無断で相を誘いすような真似はしない。警察に相談し、品報と購入の証を渡す。葉さんは「千晶さんとは、子どもの事でずっと緒だったのに」と唇をかんだ。俺は彼女の落胆をに、易な慰めを言えなかった。

葉さんは、品者へ直接連絡したくなるのをこらえていた。「母に贈るつもりだった物を、らない誰かが買うかもしれないとうと、腹がって」。俺も同じだった。だが、相が証拠を消したり、別のへ転売したりするきっかけになっては困る。葉さんは購入に問いわせ、刺繍の注文記録を再発してもらった。元に残ったさな伝票が、失くした品を自分のものだと示す掛かりになった。

午、へ戻ると、入の脇に航太がっていた。学の帰りらしく、ランドセルの肩ひもを両で握っている。「おじさん、ちょっとだけ」。奈々がの奥へ案内しようとしたが、航太は首を横に振った。「ここでいい。これ、返しに来た」。差しされた袋には、なくなった犬用の首輪と、封を切られたままのコーヒーカップの箱が入っていた。カップの縁にはさな欠けがあった。

「ありがとう。どうして持ってきたの?」。俺が静かに尋ねると、航太はしばらくを見つめていた。

広告

「お母さんが、持ってきたら僕が全部悪いことになるって言った。でも、もう嫌だ」。俺は返事に困った。目のの子どもを責めたい気持ちはなかったが、被害をなかったことにもできない。「話してくれてありがとう。今は帰っていい。困ったら、お父さんか学の先に話して」。航太はうなずき、をた。

袋の底には、折りたたまれた封筒がもうつあった。航太が入れたのだろうか。には数枚のレシートと、町内の学のPTA名が印刷された納品のコピーが入っていた。『登見守り用品 式』とあり、反射材付きの腕章、ライト、救急用品の数量が並ぶ。俺には関係のない類のはずだったが、ある商品名に目が止まった。先、うちのの荷物と緒に消えた撮用ライトと、型番が致していたのだ。

偶然かもしれないとい、納品のにある所を確かめた。届け先は学でもPTA会宅でもなく、宮坂千晶のだった。さらに赤いペンで「未納品分、精算」とかれている。俺は航太がなぜこれを持ってきたのか分からなかった。ただ、荷物を盗む理由が遣い欲しさだけなら、PTAの納品などてくるはずがない。そこで枚めくったとき、最も気になる数字が目に入った。すでに支払われたことになっている額は、万千円だった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: