"宅配箱を盗む隣家の子…餌を入れた翌朝、母親が激怒" 第3話
エサの箱
の午分、スマートフォンに配達完の通が届いた。俺はのバックヤードで録画画面をいた。柱の脇に置かれた箱は、い宅配ボックスにすっぽり収まっている。配達員がふたを閉め、つまみを回した。問題はその分に起きた。学帰りの航太がランドセルを背負ったまま、まっすぐうちの柱へづいてきたのだ。
はを見てから、留め具の辺りを指で押した。ふたがし浮く。そこで度ためらい、スマートフォンを取りして誰かにいメッセージを送った。ほどなくして千晶が隣の玄関から顔をし、の向こうを指さした。航太は箱を抱え、母親のところへっていった。録画には音声も残っていた。「これも?」「そう。く持ってきなさい」。その言を聞いた瞬、俺は画面を止めた。
驚いたのは、航太が迷っていたことだった。彼は笑ってなどいなかった。むしろ母親の指示を待つように、何度も隣を見ていた。真子さんが聞いた「今ももらおう」という言葉と、今の映像はし印象が違う。子どもが自分で考えて盗んでいるのか、誰かにそう言わされているのか。俺は判断を急がず、映像の元データを別の保先にも移した。
夕方、隣から甲い声が聞こえた。「何よこれ、虫じゃない!」
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。続いて箱をに落とすような音がした。乾燥コオロギは透な袋に密封してある。虫がびしたり、刺したりすることはない。俺はにかけたが、隣の窓に航太のが見えたため、声を掛けるのをやめた。子どもを追い詰めるような面にはしたくなかった。
画を見返すと、航太が持ちった箱を千晶に渡したあと、玄関先で何か話している姿も見えた。母親は箱のさを確かめるように持ち替え、息子にはくへ入るようで示している。俺は拡した画面を見ながら、が最に度こちらを振り返ったことに気づいた。誰も見ていないとっているなら、あんなそうな顔をするだろうか。録画は俺のりより、ずっとくのことを教えてくれた。
翌朝、千晶がうちのインターホンを鳴らした。顔が悪く、には飼料の袋が握られている。「ちょっと、こんなものを宅配ボックスに入れるなんて、どういうつもり? 航太が怖がって眠れなかったのよ」。俺は袋の封が切られていないことを確かめた。「それはうちのの商品です。注文した品を自分の宅配ボックスに受け取っただけですが」。千晶は言葉を詰まらせた。
「箱がいていたから、うちの子が親切で預かってあげたの。危ないものだったら困るでしょう」。俺は袋を指さした。
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「危ないものではありません。では、なぜ預かった荷物をけたんですか」。千晶は「凍品かとった」と答えたが、箱には常温配送の表示があった。俺がそこを確認すると、彼女は急に声を荒らげた。「細かい男ね。子どもがやったことに、そこまで言う?」
「子どもがやったことだと、どうして分かるんですか」。そう尋ねた途端、千晶の目が泳いだ。俺は度だけ、彼女に会を与えた。「これまでにうちから持ちされた荷物があるなら、返してください。返せないものは何だったか教えてください。航太君の話は、まずご族で聞いてほしい」。彼女は袋を俺の元に置き、「被害妄もいい加減にして」と言って帰っていった。
玄関に残された袋には、赤い丸印と管理番号がはっきり付いていた。箱が隣に渡り、封されたことは本の言葉でも確かめられた。だが、その夜、俺が記録を理していると、もっと気になるものを見つけた。乾燥コオロギの袋の裏に、子どもの跡でさく「ごめんなさい」とかれた付箋が貼られていたのだ。航太は何を謝りたかったのだろう。