"時給1111円で高齢者5人を雇った結果" 第18話
を雇った結果
あのからが過ぎた。
は、今も舗だけだ。
全国チェーンにもなっていない。
テレビにたしばらく方から客が来たが、その波も落ち着いた。
それでいいとっている。
昼になると所の会社員が来る。
午には齢の夫婦。
夕方には学。
回の子ども向けのには、ランドセルがの隅に並ぶ。
いつものだ。
午。
黒田さんが厨へ入ってきた。
「、今は炒飯めにるぞ」
「なんでです?」
「俺の勘」
「青さん、どうです?」
青さんが帳簿を見る。
「昨より米割増やしてある」
「なんで分かるんですか」
「黒田の勘は割当たる」
「割れるじゃないですか」
そこへ梅原さんが餃子のトレーを持ってくる。
「今は百個」
「くないです?」
「りなくなったら嫌でしょ」
桜さんは用のバイクを点検している。
桃子さんは入で常連客と話していた。
田辺さんは壊れてもいない子を修理している。
そして塩田は、パソコンので与計算をしていた。
「赤坂さん」
「はい?」
「今、売りげいいですよ」
「よかった」
「それだけ?」
「それだけです」
昔ならの売りげが数万円がるだけで眠れなかった。
今も経営が楽なわけではない。
材料は値がりする。
費もがる。
件費だって必だ。
悩みは消えない。
ただ、俺で抱える必がなくなった。
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昼。
の若い男性がへ来た。
「求のを見たんですけど」
階の片付けや配達補助のため、しいを探していた。
「経験は?」
「ありません」
「何歳?」
「です」
俺はし考えた。
男の表がになる。
「やっぱり経験ないと駄目ですか?」
「いや」
俺は笑った。
「何が得?」
若者はそうな顔をした。
「得……ですか」
「何でもいいよ」
「自転なら。学で自転部なんで」
桜さんがすぐにいついた。
「速いのか?」
「まあ、それなりには」
「じゃあ俺と配達勝負するか」
「桜さん、歳で学に勝とうとしないでください」
が笑った。
若者も笑った。
「じゃあ、来週から来られる?」
「採用なんですか?」
「まずやってみよう」
塩田が奥から呆れた声をす。
「また面接になってないですよ」
「いいじゃないですか」
俺は答えた。
。
の老がのにっていた。
「ここで働かせてくれんか?」
俺はがなかった。
経営にも自信がなかった。
せるは1111円。
それでもを雇った。
あのの俺は、へ仕事を与えたつもりだった。
違った。
をもらったのは、俺の方だった。
料理の種類が増えた。
客が増えた。
売りげが増えた。
それ以に、が集まる所になった。
そして俺自も教えられた。
の価値は、齢でも肩でも、械を覚える速さでも決まらない。
逆に、「経験がいから必ず優秀」
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というわけでもない。
目ののが何を持っているのか。
それを見つけられる所があれば、は何歳からでも力を発揮する。
「!」
厨から黒田さんが呼んだ。
「ぼーっとしてないで麺げろ!」
「はいはい」
「返事は回!」
「学じゃないんだから」
桃子さんが笑う。
昼。
扉がいた。
「いらっしゃいませ!」
の声がなった。
には、今もしだけ列ができていた。
俺は湯切りをしながらう。
きなにはなれなかった。
けれど俺は、もうハイパーラーメンを羨ましいとわない。
このには、このにしかないものがある。
、働く所を失ったが持ってきてくれたものだ。
「、醤油つ!」
「解!」
「炒飯つ!」
「黒田さん、お願いします!」
「任せろ!」
「件!」
「俺がく!」
「桜さん、まだ注文聞いてません!」
笑い声ががる。
今もは騒がしい。
そして、そんな騒がしさを聞くたびに俺はう。
あの。
閉寸のの扉をけたへ、
「全員雇います」
と言って、本当によかった。
1111円から始まった俺たちのは、今も誰かの「まだ働きたい」を受け止めながら、湯気をげ続けている。