"時給1111円で高齢者5人を雇った結果" 第4話
塩田がらなかったこと
塩田は翌の午、客のない帯を選んでへ入ってきた。
「いらっしゃいませ」
俺が声をかけると、彼は内を見回した。
「ずいぶん繁盛しているじゃないですか」
「おかげさまで」
「醤油ラーメンと炒飯、それから餃子」
注文を受けた桃子さんが笑った。
「塩田さん、いらっしゃい」
塩田の頬が引きつった。
「どうも……佐伯さん」
らかに気まずそうだった。
だが桃子さんは何事もなかったように厨へ注文を通した。
そのにも客が入ってくる。
族だった。
空いている席はカウンターつと掛けテーブルに客が。普通なら族を待たせるところだが、桃子さんはすぐ、客の男性に声をかけた。
「吉川さん、悪いんだけどカウンターへ移ってもらってもいい?」
「いいよ」
「ありがとう。次、玉サービスするから」
秒には族が座っていた。
塩田はそれをじっと見ていた。
料理が届く。
まず炒飯をべた瞬、彼の目が変わった。
続いて餃子。
そしてラーメン。
「以と、が違いますね」
「ラーメン自体はきく変えてませんよ」
「でも……」
「桜さんが何軒もべ歩いた経験から、油の量と麺の茹でについて見をくれたんです。齢のお客さん向けにしの選択肢も作りました」
塩田は桜さんを見た。
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「そんなこと、できたんですか」
「できたというか、うのが好きだっただけだよ」
桜さんは笑った。
「タクシー乗ってるとな、うまいは客から教えてもらえるんだ」
塩田は何も言わなかった。
その横を、梅原さんが量の餃子を載せたトレーを運んでいく。
黒田さんは鍋を振る。
青さんは蔵庫を確認しながら「麺はあと玉。便で追加」と俺へ伝える。
塩田の線が忙しくいた。
おそらく初めて見たのだ。
自分ので何も働いていたが、何を得としていたのかを。
「塩田さん」
俺は尋ねた。
「このたち、ハイパーラーメンではずっとテーブル拭きだけだったんですか?」
「……マニュアル、齢スタッフには全性を考慮して業務を限定していました」
「なるほど」
それ以は言わなかった。
俺だって、偉そうなことを言えるではない。たまたまがりず、「好きにいてください」と言っただけだ。
ただつ違ったのは、できないことではなく、できることを探したことだった。
会計を済ませると、塩田はで度振り返った。
「今はうまくいっているみたいですが、経営は期戦ですよ」
「そうですね」
「個がと価格で戦うのは難しい」
俺は笑った。
「価格で戦うつもりはありませんよ」
その答えが気に障ったらしい。
塩田は黙ってていった。
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数、うちのは元のSNSで紹介された。
《平均齢70歳い、元気すぎるラーメンスタッフ》
そんな投稿だった。
黒田さんが鍋を振るい画は、数でわぬほど拡散された。
だが俺たちは、浮かれてはいなかった。
青さんは投稿を見ても、
「客が増えるなら材料を増やす。それだけだ」
と庫表を直していた。
その静さに、俺は救われていた。
しかし同じ頃。
ハイパーラーメンの事務所では、塩田がスマートフォンの画面を睨みつけていた。
画面に映っているのは、満席のうちのだった。
彼は本部へ話をかける。
「来予定していた販促ですが、倒しできませんか」
そして、しばらくして元をげた。
「ありがとうございます。では、醤油ラーメン百円を――百円で」
その話を俺がったのは、翌朝だった。
のポストに入っていた枚のチラシ。
そこにはきく、
《から限定 醤油ラーメン390円》
とかれていた。