"三千円の温泉旅行" 第13話
来も、目から
旅当がづくにつれ、町内ではのことを冗談交じりに話せるようになっていた。
「今はバスが台に分かれたりしないだろうね」
「鶴亀楼へきたいは自腹ですよ」
そんな話を聞くたび、私は苦笑した。
矢野夫とは、あれ以来ほとんど話していない。
スーパーですれ違えば互いに会釈する程度だった。
旅の、のを掃いていると、珍しく彼女がで歩いてきた。
「あの……森川さん」
私は箒を止めた。
「はい」
しばらく沈黙した、矢野夫は言った。
「今、本当に参加してもいいんですか」
「申し込みをいただいていますから」
「私、……」
そこで言葉が途切れた。
私は続きを急かさなかった。
「皆さんので謝ったからって、なかったことになるとはっていません」
矢野夫は面を見た。
「主にもずっと言われています。私は、町内会の旅を自分のものみたいに考えていたって」
私は静かに聞いた。
「鶴亀楼にったって言えば、所のに羨ましがられるとっていました。副会の妻なんだから、そのくらいのことはできるって見せたかったんです」
初めて聞いた本音だった。
「でも、誰も羨ましがらなかった」
矢野夫は自嘲するように笑った。
「皆さん、恵の湯から帰ってきたの方がずっと楽しそうだった」
私は何と答えればいいのか分からなかった。
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謝罪を求めていたわけではない。
仲直りしたいともっていなかった。
ただ、つだけ伝えた。
「今の旅も、特別なことは何もありませんよ。千円のお昼をべて、お呂に入って、皆さんでバスに乗って帰ってくるだけです」
矢野夫はさくうなずいた。
「それでいいんです」
。
公民館には、よりくのが集まった。
美代さんは胸元のバッグに、ご主の写真を入れてきた。
留さんはみかんの袋をつ持っている。
福田さんは数を数え、嬉しそうに言った。
「今は全員そろっとるな」
番ろには、矢野夫がいた。
派なでもなく、きなバッグでもない。
普通の旅客として、静かにっていた。
バスに乗り込む、美代さんが声をかけた。
「矢野さん、隣空いてますよ」
矢野夫は驚いた顔をした。
「いいんですか?」
「もちろん。緒の町内なんですから」
は並んで座った。
私は名簿の最の名に丸を付けた。
。
全員席。
窓のでは、と同じ田んぼの景が流れていく。
恵の湯に着くと、玄関の簾がに揺れていた。
美代さんは柳ののでち止まり、バッグから夫の写真を取りした。
「あなた。今はちゃんと最初から来られましたよ」
留さんが横から声をかけた。
「美代さん、栗ご飯杯べるんだろ?」
「主の分ですからね」
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笑い声が広がった。
昼の席では、栗ご飯の湯気ががっていた。
矢野夫はしばらく茶碗を見つめてから、べた。
そして、さな声で言った。
「おいしいですね」
私は向かい側でうなずいた。
「ええ」
それ以は何も言わなかった。
帰宅した夜、私は今の会計帳簿をいた。
貸切バス代。
恵の湯代。
残額。
つずつ記入していく。
務が横から湯みを置いた。
「来の案内状も、目からか」
「もちろん」
私は笑った。
事なことは、目つ言葉で飾る必はない。
誰が読んでも同じになるように、最初から正しくいておけばいい。
付きいも、町内会のおも、案同じなのかもしれない。
私は帳簿の最に数字をき込み、ゆっくりとページを閉じた。
来もきっと、最初のにはこうく。
《き先――》
そこからまた、みんなのに度の旅が始まる。