"三千円の温泉旅行" 第10話
写真が証したもの
そのの夕方、町内会のグループに矢野夫から投稿があった。
《昨、森川会計さんについて積の使い込みを疑うき込みをしましたが、私の計算違いでした。バス代万千円と次度繰越万千円を見落としていました。森川さんに正はありません。誤った内容を投稿したことをお詫びします。》
い文章だった。
言い訳をこうとえば、いくらでもけたはずだ。
けれど福田さんから「余計な説はいらん。違っていたことだけきなさい」と言われたらしい。
投稿の、今度は何件もの返信がついた。
《静子さん、いつも会計ありがとうございます》
《帳簿、ちゃんとしてるの分かりました》
《来もお願いします》
私は件ずつ読みながら、胸がくなった。
、会計をしていて褒められたことなどほとんどなかった。
会費を集めれば「また集か」と言われ、支を抑えれば「細かい」と言われる。領収をお願いすると面倒そうな顔をされることもある。
けれど、おを預かる役目とは、本来そういうものだとっていた。
誰かにばれるためではなく、あとから誰が見ても説できるように残す。
務が隣で言った。
「皮肉なもんだな」
「何が?」
「矢野さんは、静子の正を証するつもりで写真を町内に配った。でも実際は、その写真が番分かりやすい潔の証拠になった」
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「本当ね」
私は笑った。
「私が説するよりかったわ」
「だから言っただろ。写真が全部言ってくれるって」
数、美代さんががへ来た。
にはさな袋を持っている。
「恵の湯でいただいた栗まんじゅうです。静子さんにもとって」
茶を入れると、美代さんは仏壇へ持っていくつもりなのか、残りを事そうに膝へ置いた。
「主と最にったも、同じ匂いのお湯だったんです」
「けてよかったですね」
「ええ」
美代さんはし笑った。
「鶴亀楼のお料理は確かに派でした。でも、何をべたのか、もうほとんど覚えていないんです」
「そうなんですか」
「恵の湯でんだお茶と栗まんじゅうは覚えています。湯がりに留さんが“ご主も緒に来てるよ”って言ってくれたことも」
私は何も言わず、うなずいた。
いものがいになるとは限らない。
いものが粗末だとも限らない。
が覚えているのは、値札ではなく、その誰と緒にいたかということなのかもしれない。
帰り際、美代さんは玄関で振り返った。
「来も恵の湯だったら、私、番に申し込みます」
「福田さんに伝えておきます」
「今度は案内状、目から最までちゃんと読みますね」
で笑った。
あの目は、矢野夫を言い負かすためにいたものではない。
ただ、切なことから順番に伝えようとっただけだった。
けれど、その当たりのが、最には誰が嘘をつき、誰が約束を守ったのかまで示してくれた。