"昭和三十九年、父の止めた記事が暴いた新聞記者親子の真実" 第7話
「帝都物産の名を実名です気か。あそこはうちの広告主だぞ。しかもオリンピック組織委員会の協賛企業だ。この記事がたら、の朝から広告局と編集局ので血のがるぞ」
「事実です」達也は歩も引かなかった。「請法違反の疑いについては、通商産業省の通達基準と照済みです。帝都物産の請けに対する方な単価引きげの面も、番号を控えてあります。これをせば、絹紡という零細だけが世の指弾を浴びて倒産します。それでは、何のための告発か分かりません」
「だがな、達也——」
「梶、組ませろ」
背からく、しかし編集局のすべての騒音を制圧する声が響いた。
論説からてきた誠だった。仕ての古い背広のポケットに両を突っ込み、鏡の奥の鋭いを梶に向けた。
「佐伯先……しかし、層部への根回しがまだです。編集局もすでに帰宅しています」
「局には今、俺から話を入れた。『の朝刊社会面、佐伯誠が全責任を負う』とな。文句があるなら、俺の首を切れと言ってある」
誠は達也の原稿を取りげ、理部の主任デスクのに叩きつけた。
「見しはこうだ。『祝祭のに泣く請の鳴——輪ユニフォーム裏に潜む請法違反の疑い』。絹紡の病の女たちの声と、請けを締めげる巨商社の構図を並列で組め。
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段たりとも削るな」
理部デスクが青ざめながらも、誠の気迫に押されて「組版へ回せ!」と叫んだ。
鉛の活字を拾う音、型を押し固めるプレスの轟音が、の印刷から階段を通じて駆けがってきた。
午分、座のくで、巨な輪転が咆哮をげ始めた。
が揺れ、ビル全体がい鳴りに包まれる。印刷されたばかりの聞が、コンベアのを猛烈な速度で流れていく。インクのい匂いとともに吐きされた面の真んに、達也の署名がさく、しかし決して消えない墨の跡として刻まれていた。
達也は宿直の窓から、夜けの静まり返った座の通りを見ろしていた。
元には、刷りがったばかりの朝刊が部。
自分のいた言葉が、数万の庭の玄関へ、駅の売へ、そして官公庁の机へと運ばれていく。その恐ろしいほどの圧に、達也の膝はかすかに震えていた。
「怖じ気づいたか」
誠が、コップに入っためた番茶を差ししてきた。
「……怖いです。この記事で、初さんたちの活がどうなるのか。神崎社のがどうなるのかを考えると」
「怖いのは、まともな記者の証拠だ」
誠は窓枠に寄りかかり、朝焼けに染まり始めたの空を見つめた。
「ペンは銃と同じだ。度引きを引けば、弾は戻らない。
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おは今夜、巨な怪物に向けて撃った。だが、その弾の破片は、必ず元にいる罪のないたちのにもり注ぐ。その痛みを背負い続ける覚悟がないなら、今すぐペンを置け」
誠は茶をみ干し、コップを握りつぶした。
「腹を括れ、達也。朝が来れば、戦争が始まる」
昭の朝は、聞社にとってまさに蜂の巣をつついたような騒乱で始まった。
午半、編集局の話が斉に鳴り響き始めた。受話器を取った交換が鳴のような声をげ、総務部や広告局の幹部たちが青ざめた顔で社会部のフロアへ崩れ込んできた。
「梶! 佐伯! どういう見だこの記事は!」
広告局の島田が、朝刊を机に叩きつけた。
「帝都物産の総務担当役から直々に抗議の話が入ったぞ! 『事実無根の傷記事であり、名誉毀損で告訴する。本付で聞に予定していたオリンピック特集の全面広告回分をすべて引き揚げる』と激されているんだ! 損害額がいくらになるか分かっているのか!」
続いて、編集局の扉が乱暴にき、編集局の森が血相を変えて現れた。
「達也君、帝都物産側の正式な反論を取ったのか! なぜ請代支払遅延等防止法などという法条を持ちした! 通産省も騒ぎになっているぞ!」
編集局の央で、歳の達也は、罵声と号の嵐のに晒されていた。
膝が震えそうになるのを必で堪え、達也は帳を握りしめてちがった。