"「お前には継がせない」と言った父が、最後まで守り続けたもの" 第11話
「郎、魚から鮭切れ預かってきたぞ!」 百の若旦が、箱を抱えて佐々商のに駆け込んでくる。 「こっちは豆腐の綿丁だ! 崩れねえように聞で包んである!」
は、まるでさな集散配送センターの様相を呈していた。 健が伝票と商品を照し、郎と商の若たちが、自転の荷台へと際よく積み込んでいく。
「代の支払いは、末の括払いで結構です!」 郎が商全域に配ったきの案内状には、こうかれていた。 【お買い物のい荷物は、すべて私たちが運びます。のも、のも、話本でお台所の棚までお届けします】
効果は劇だった。 駅の『まるよし』へ売りの砂糖を買いにった主婦たちも、い根や割れやすい卵、々の噌や醤油の買いしには、話本で玄関まで運んでくれる佐々商の御用聞きを選び始めたのだ。
「まるよしはいけど、あそこまで歩いて往復するだけでかかるもの」 「佐々さんの郎ちゃんは、うちの醤油の好みの銘柄まで覚えててくれるからねえ」
『まるよし』のメガセールは、確かにな集客を誇ったが、常の卓を支える「リピート客」の胃袋を完全に奪うことはできなかった。 むしろ、資本の無質なセルフサービスに疲れた齢者や子育て層が、郎たちの顔の見えるサービスへと、固に引き寄せられていったのだ。
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夜、帳のそろばんを弾いていた健が、歓声をげた。 「兄さん……すごいよ! 今の売、過最を記録した! 形どころか、しい配達用のオート輪が買えるくらいの利益がてる!」
郎は掛けをし、煙にをつけた。 だが、その線の先――奥の仏の入りで、腕を組んでじっとっていた父・源の顔には、まだ笑みは浮かんでいなかった。
昭の暮れ、。 気象観測史稀に見る猛烈な寒波が、町を襲った。
夕方から吹き荒れた吹は、またたくに膝までを積みげ、線が切れ、商の灯は次々と消えていった。 駅の通りすら除が追いつかず、自はスリップしてち往し、あの巨スーパー『まるよし』ですら、「悪候のため午をもって臨閉」の板を掲げてシャッターを閉ざした。
町全体が、吹き荒れるの底で凍りついていた。
「兄さん、もうを閉めよう。は零度だ。こんな吹じゃ、誰も歩いてないよ」 ガタガタと震えるで戸を閉めようとする健に、郎が頷きかけた、そのだった。
チリリリリリ……ン!
吹き荒れるの音を切り裂いて、帳の黒話が細く、鳴のように鳴り響いた。
郎が受話器を引ったくる。 「はい、佐々商です!」
受話器の向こうから聞こえてきたのは、歯の根もわないほど震える、泣きしそうな老女の声だった。
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の婆さんだった。
『い、郎さん……! 助けておくれ……! ストーブの灯油が……切れちまったんだよ……。のも凍ってないし……寒くて、の覚がなくなってきて……』
「おばあちゃん! 布団に潜り込んでて! 今すぐ灯油持ってるから!」
郎は受話器を叩きつけるように置くと、防寒具を引っ張りした。 「兄さん、正気か!?」健が血相を変えて腕を掴む。 「は見通しも利かない猛吹だぞ! 自転なんてれるわけない! リットルの灯油缶を担いでまで歩くなんて、途でき倒れになるよ!」
「の婆さんが凍しちまうんだぞ!」郎は振り払った。「『まるよし』が閉まってる今、あの婆さんを助けられるのは俺たちしかいないんだよ!」
「待て」
奥の暗がりから、く、しゃがれた声が響いた。 杖をつき、丹を羽織った父・源が、へりてきたのだ。 狭症の発作からヶ、に臥せっていた老が、に仁王ちになった。
「父さん……寝てなきゃダメだろ!」郎が叫ぶ。
源は何も言わず、の隅にてかけてあった、古びた製のソリを引きずりしてきた。 昭代の豪の際、米俵をので運ぶために自作した、頑丈なぞりだった。
源は灯油缶を缶、ソリのにドカンと乗せると、太い麻縄で際よく縛りげた。