"義母に逆らった妻を閉じ込めた夫が、翌朝失ったもの" 第12話
「私があなたを許すことは、度とありません。自分の犯した罪のさは、これからので、あなた自ので背負いなさい」
浩司の代理弁護士がさく溜息をつき、浩司の肩を叩いた。「……浩司さん、サインしなさい。これ以の争訟は、あなたにとって刑事責任の追及をくするだけです」。
浩司は震えるで万を取り、公正証の調印欄と婚届の署名欄に、自らの名をき殴った。
インクが乾いた瞬、13にわたる呪縛が、完全に断ち切られた。
公正証の締結から2週、初の眩しい差しがり注ぐ、菜緒はかつて暮らした夫婦のマンションのにっていた。
今は、内に残されていた菜緒の私財の搬だった。作業には真紀と専の引越し業者がち会い、浩司は松田弁護士からの事警告に従い、してとなっていた。
部のは、わずか半で荒れ果てていた。
リビングのテーブルにはコンビニ弁当の空き殻が放置され、流し台には洗われていない器が積みにされていた。菜緒という「無の政婦」を失っただけで、男の活がいかに脆く破綻するかを雄弁に物語る景だった。
寝のクローゼットから、菜緒が独代から用していた類や籍、仕事の専を際よく段ボールへ詰めていく。
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業者たちが型の荷物をトラックへ積み込む、菜緒は廊の突き当たりにあるトイレのにち止まった。
あの夜、自分が閉じ込められた半畳の空。
ドアノブにをかけ、ゆっくりと扉をけてみた。には何の変哲もない、い壁と換気扇があるだけだった。
あのたいので、膝を抱えて震えていた夜。
絶望の底でスマートフォンの画面を見つめながら、自分は何を失い、何を取り戻そうとしていたのか。
「……もう、度と閉じ込められない」
菜緒はさく呟き、静かに扉を閉めた。
すべての荷物を運びし、業者のトラックが発した、菜緒はエントランスの管理へち寄った。マンションの共名義の解除続きと、今の郵便物の転送続きを済ませ、自宅の鍵を管理会社へ返却した。
敷をて駅へ向かうすがら、見覚えのある軽自が肩にしているのが見えた。
運転席に座っていたのは、義母の久美子だった。
わずかヶのに、久美子の髪は気に増え、派だった装は褪せた古いチュニックに変わっていた。直夫婦は賃滞納でアパートを制退となり、現は久美子の狭な公団宅へ転がり込んできたという。無職の息子夫婦をだけで養わなければならない獄のような常が、老いた女の肩を押し潰していた。
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久美子は窓越しに菜緒の姿を認めると、物言いたげにをもごもごさせ、めしそうに線を向けた。しかし、からりてくる勇気はもはや残っていないようだった。
菜緒はを止めることもなく、度も目をわせずにその横を通り過ぎた。
りも、復讐のすら湧いてこなかった。
の善と財産を貪りうことでしかきられなかった者たちが、自らの招いた因果応報の檻ので朽ちていく。その景は、ただただれで、そして無質なほどにい世界の来事にえた。
駅のホームへがると、初のが菜緒の髪を優しく撫でた。
バッグのには、公正証に基づいて浩司の座から振り込まれた450万円の解決が記された、真しい通帳が入っていた。
失われた13の歳は戻らない。に刻まれた監禁のトラウマが、完全に消えることもないだろう。
しかし、その代償としてに入れたものは、誰の指図も受けず、誰の嫌も窺うことなく、自らのできるための、絶対な自由だった。
婚が成してから4ヶが過ぎた、9の澄み切ったれの午。
菜緒は、完全に自分だけのとなったワンルームマンションのベランダで、洗いてのいシーツをになびかせていた。
部の模様替えは、先ですべて完していた。
古いベッドや無質な具をすべて処分し、オーク無垢材のローテーブルと、座りの良いリクライニングチェアを調した。