"義母に逆らった妻を閉じ込めた夫が、翌朝失ったもの" 第10話
堀は、音をてて埋まりつつあった。
自分が被害者面をして周囲を方につけようとする浩司の悪あがきは、彼自が過に撒き散らしてきた実の種によって、自らの首を絞める縄へと変わっていた。
真紀のマンションのリビングで、菜緒は松田弁護士から届いた『接禁止命令申』の控えに目を通していた。
「菜緒、顔つきが変わったわね」
コーヒーカップを差ししながら、真紀が微笑んだ。
「そうかな……」
「ええ。はいつも浩司さんの顔を窺って、お義母さんの嫌を直すことばかり考えて、怯えた物みたいだった。今は、自分のでちゃんとってる。の女性の顔よ」
菜緒は温かいカップを両で包み込み、窓のの夜景を見つめた。
誰かの嫌を損ねないために、自分の正当な権利を差しす活はもう終わったのだ。たとえどれほど激しい嵐が吹き荒れようとも、真実と証拠を武器にして、最まで自分のを戦い抜く覚悟が、その胸のに静かに根を張っていた。
嵐は、わぬ方向から物理な破壊を伴って襲いかかってきた。
曜の午2、菜緒が職で決算資料を作成していた最、スマートフォンの防犯アプリがけたたましい警告音を鳴らした。
菜緒が独代に購入したワンルームマンションの玄関ドアに設置しておいた、体検能付きのスマートドアベルが作したのだ。
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画面をくと、リアルタイムの映像が鮮に映しされた。
そこには、血相を変えた義母の久美子と、ジャージ姿の義弟・直、そして具箱を抱えた見らぬ作業着の男がっていた。
「くけなさいよ! 鍵でしょう! 息子の嫁が勝に鍵を替えて、私の荷物を閉じ込めてるのよ!」
久美子がドアをドンドンと叩きながら、連れてきた鍵解錠業者を鳴りつけていた。直も横で苛たしそうにタバコを咥え、「さっさと壊してけろよ、俺たちの部なんだからよ」と吐き捨てている。
業者はお困りの様子で分証の提示を求めていたが、久美子が提示したのは、以菜緒から渡されていた失効済みの古い鍵と、の民票の写しだけだった。
「お母さん、この物件の所者は『菜緒』さんになっています。依頼のお名と致しませんし、委任状もありません。鍵の制破壊はできませんよ」
「私が母親よ! 族なんだから同じでしょうが! けなさいよ、警察を呼ぶわよ!」
久美子が狂乱状態でドアノブをガタガタと揺らした瞬、菜緒はアプリの通話ボタンを押し、スマートドアベルのスピーカー越しに徹な声を響かせた。
『警察なら、私が今、このスマートフォンの回線から110番通報いたしました』
エントランスの廊に、菜緒の透き通るような声が響き渡った。
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久美子と直がびがるようにしてカメラのレンズを凝した。
『映像と音声は、すべてクラウドサーバーに自録画されています。鍵解錠業者の方、直ちに作業を止してそのをれてください。所者の承諾なき解錠作業は、建造物侵入の共犯として件されます』
作業員は青ざめ、「冗談じゃない、巻き込まないでくれ!」と叫んで具箱を抱え、目散に非常階段を駆けりていった。
「な、菜緒さん!? あんた、どこから見てるのよ!」
久美子がレンズに向かって鬼のような形相で詰め寄ってきた。
「直たちが今からここにむのよ! 荷物も運び込むはずになってるの! 鍵をけなさい! 親孝な嫁め、罰がるわよ!」
『建造物侵入の現犯です。あと3分で最寄りの交番から警察官が到着します。そのままお待ちください』
菜緒が告げると同に、くからウーウーとづいてくるパトカーのサイレン音が、スマートフォンのスピーカーから微かに拾われた。事に警察へ相談実績を作り、防犯登録をっていたため、通報からの初が極めて迅速だったのだ。
「おい、母ちゃん! マジで警察が来たぞ! 逃げようぜ!」
直が青ざめて久美子の腕を引っ張ったが、エレベーターの扉がいた瞬、駆けつけてきたの制警察官と鉢わせになった。
「かないでください! 何をやっているんですか!」