"義母に逆らった妻を閉じ込めた夫が、翌朝失ったもの" 第5話
な修飾を排し、何に何が起き、どのような言葉を投げかけられたかを淡々と語る菜緒の調に、相談員は元の記録用へペンをらせながら、折く頷いた。
「昨夜、ボイスレコーダーで録音した音声があります」
菜緒がスマートフォンの再ボタンを押すと、静かな個に浩司の濁った声が響いた。
『朝になったら、ちゃんと母さんに謝れよ』
く、暴力な響きを孕んだその言を聞き終えると、相談員は厳粛な面持ちで顔をげた。
「菜緒さん、ご自を責める必は切ありませんよ。から鍵をかけて退を断つ為は、らかな体・精神暴力、すなわちDVに該当します。あなたが朝まで警察を呼ばなかったことを悔やむ必もありません。命の危険を避けるための、そのでの最善の防だったのですから」
専による客観な肯定の言葉が、え切っていた菜緒のに染み渡っていく。
「今の活についてですが、相方が激昂して職や現の滞先に押し掛けてくるリスクを考慮し、警察への相談実績を作っておくことをくお勧めします。また、法な続きをめるのであれば、法テラスや弁護士会の相談窓をご紹介できますが、いかがなさいますか」
「……弁護士の先に相談したいです。婚するかどうかはまだ即決できませんが、対等なで話ができる状態を作りたいんです」
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役所をた、の陽がり注ぐ駅広のベンチに腰をろし、菜緒はバッグからもうつの鍵束を取りした。
キーホルダーについている、さな真鍮製のディンプルキー。
それは、菜緒が独代に貯蓄と親からの遺産の部を元に購入した、都内のワンルームマンションの鍵だった。結婚は賃貸にすことも検討したが、浩司が「いつか斎や荷物置きとして使うかもしれない」と言い張り、空のまま固定資産税と管理費を菜緒が払い続けていた物件だった。
そして半、久美子が「学病院への通院の際、待ちに体を休める所が欲しい」と涙ながらに訴えてきたため、善から鍵を1本渡してしまっていた。
その鍵のをいした瞬、菜緒の脳裏でパズルのピースが音をてて噛みった。
『これ以母さんをらせて、あの部の件までこじれたらどうする気だ』
昨夜、浩司がトイレの扉を閉める直に吐き捨てた言葉。
菜緒は震えるでスマートフォンを操作し、義母の久美子宛てにメッセージを作成した。
『お義母さんにお貸ししている私のワンルームマンションの鍵についてですが、今は使用を取りやめていただきたくじます。恐れ入りますが、今週末までに郵送にてご返却ください』
送信、わずか3分で既読がついた。
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しかし、返信を寄越したのは久美子ではなく、浩司だった。
『母さんから泣きながら話があったぞ! お、何様のつもりだ! あのマンションは来から直夫婦がむことになってるんだぞ!』
画面に表示された文字を凝したまま、菜緒の呼吸が止まった。
直夫婦が、む?
菜緒名義の、菜緒がローンを完済し、税を払い続けている個資産に、なぜ無職の義弟夫婦がむことになっているのか。
『直夫婦がむとはどういうことですか。私は切そんな承諾をしていません』
菜緒が即座に打ち返すと、浩司からの返信はさらに居直りを極めた。
『母さんが決めたんだよ! 直たちの今のアパートの賃が払えなくなって追いされそうなんだ! 空き部にして遊ばせてるくらいなら、内に貸すのが筋だろうが! 族が困ってるのに見捨てる気か!』
全の血が逆流するような激しい憤りが、菜緒の胸を貫いた。
昨夜、久美子が10万円の追加送を求してきたのは、ただの序曲に過ぎなかったのだ。現を求して断られれば、次は「じゃあせめて部を寄越せ」と迫る筋きだったのか、あるいは両方を同に奪い取る腹積もりだったのか。
浩司は妻に切の相談もなく、実母と結託して、妻の個財産を無職の弟夫婦へ無償でけ渡す約束を交わしていたのだ。
菜緒をトイレに閉じ込めたのは、単なる答えへのりではない。