"義母に逆らった妻を閉じ込めた夫が、翌朝失ったもの" 第2話
・21:10 久美子が「男の嫁のくせに酷だ」と激昂して帰宅。 ・21:30 浩司が菜緒の腕を掴み、久美子への謝罪と送を。菜緒が拒否。 ・00:05 浩司が「部の件までこじれる」と発言。菜緒をトイレへ押し込み、側から施錠。
文字を打ち終えたその、廊から軋むような音がづいてきた。菜緒は素くボイスレコーダーのアプリを起し、録音ボタンをタップした。
音は扉の真正面で止まった。
「おい、まだ起きてるのか」
扉越しに、くえ切った浩司の声が響いた。菜緒は息を殺し、切の返答をしなかった。
「朝になったら、真っ先に母さんに話してをげろ。自分がどれだけ気な態度を取ったか、全部謝れ。そうすればしてやる」
数秒の沈黙の、音は再びリビングの方向へとざかっていった。
菜緒は録音を止し、データに『418_0042分_浩司発言』とファイル名をつけた。、あるいはこの先、「そんなことは言っていない」「ただの夫婦喧嘩だった」と相に言いくるめられないための、自分を守る唯の証拠だった。
のタイルは底えがし、膝を抱えて座り込んでも体の芯まで気がいがってきた。菜緒はメモの末尾に、浩司が残した『部の件』という単語を線で囲んでき加えた。
久美子と浩司は、自分のらないところで何を企んでいるのか。
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なぜ、義弟への銭援助を断ったことが「部の件」に直結するのか。え切った暗ので、菜緒は自分がいかに夫とその族の真の姿を見落としていたかを、痛切にいらされていた。
午1を回った頃、真紀からいメッセージが届いた。
『起きてる? 朝は私の職の同僚で、弁護士のりいもい友を1連れていくから。もしてもらう』
画面を見つめたまま、菜緒の指先は返信を打つことを躊躇った。第者が現に来れば、浩司が所に対して面目を失うのではないか、族の恥を晒すことになるのではないかという、これまでの活で染み付いた考が反射に首をもたげたからだ。
だが、菜緒はハッとに返った。施錠された狭い空で膝を抱え、気に震えているのは自分なのだ。なぜ監禁されている被害者である自分が、加害者である夫の体面を真っ先に配しなければならないのか。
『ありがとうございます。お願いします』
送信ボタンを押し、トーク履歴を画面ごと保した。これで、部の第者が現の状況を直接目撃することになる。もはや「夫婦のの些細なき違い」としてに葬ることはできない。
眠気など微も訪れなかった。換気扇の切り音を聞きながら、菜緒はこれまでの13の婚姻活をので巻き戻していた。
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結婚当初、浩司は「頼りがいのある優しい男」に見えていた。しかし、2に義父がくなって以、義母・久美子の活費援助として毎8万円を菜緒の個座から自送するよう求められ、半には仕事を辞めて無職になった義弟の直夫婦へ「就職が決まるまでの支度」として3万円の仕送りが乗せされた。
始めるは「な助けい」という言葉で包まれていた。だが、度始まった送は度たりとも見直されることなく、今夜、久美子は当然の権利のように「直のところに子どもができたのために、10万円乗せしなさい」と言い放ったのだ。
断った菜緒に対し、浩司がした罰がこの半畳の監禁だった。
午3、廊の物音は完全に途絶えた。菜緒は検索エンジンをき、配偶者暴力に関する公な相談窓を調べた。午312分、役所が管轄する女性総相談窓の翌の面談予約をWeb経由で完させ、受付完画面をスクリーンショットに収めた。歩ずつ、確実にの世界へのがかりを作っていく作業だけが、凍える体を支えていた。
空がみ始めた午618分、真紀から『マンションの来客用駐に入った』と連絡が入った。
菜緒はちがり、痺れたの覚を確かめながらをえた。チュニックの埃を払い、ポケットののスマートフォンを握りしめる。
もはや夫に慈を請うつもりは毛なかった。